COMPASS高知ひと文字から豊かな未来へ | COMPASS（コンパス）発達支援センター

COMPASS高知　ひと文字から豊かな未来へ

2021年7月6日

火曜日のCOMPASSです。
COMPASS高知のお友達は通い始めて２年半になります。
当時小学生のお友達は排泄の自立が不十分、また発語がなく、手の力が弱いため鉛筆が持てずに文字や絵を書くことが難しかったといいます。
数の認識では、小さい１〜３程度の数については理解できていたものの、それ以上は難しいようでした。

お友達の明るい未来を目指し、個別支援計画に記載された目標はまず言葉について「語彙数を増やし、言葉の意味を知るとともに、正しい発音を身に付けること。」を目指します。
学習面については「ひらがな、カタカナ、数字の読み書きができるようになること。」を目指します。
たくさんの苦手なこと、嫌なことにも取り組めるように、自分の力で解決できるように、寄り添い支援していくことが設定され、挫けそうになっても手を伸ばせばゴールが見えるよう、見通しが持てるよう、そして前向きに気持ちが切り替わるように取り組むことを目指していきます。

お友達にとってCOMPASSは大層居心地の悪い場所だったかもしれません。
慣れない着座を嫌がり、しばらくはまず着座するまで時間をかけた取り組みが必要でした。
そこで来所すると気が逸れないようにすぐに着座して療育するよう工夫してみると機嫌よく最後まで取り組める日もありましたが、大抵は嫌がり、激しい抵抗があったそうです。
しばらくそんな日々が続きましたが、その間もお友達の状態を見ながら休むことなく療育は行われます。
手や指の力をつけるためにクリップ留めやチェーン繋ぎ、ペグ挿しを、そして数の把握のためにはCOMPASSのプリント「数のおけいこ」が使われ、ドミノやペグを数え、数量の把握に努めました。
発語を目指して絵カード、絵本、あいうえお表の唱和が、正しい発声のためにパタカラ体操、発声練習表、絵カードが活用されました。
手や指の握力をつけ、文字を書くため正しい持ち方で鉛筆を使えるよう塗り絵やひらがなの何十枚もの視写も行われました。

初めからご機嫌斜めでも何とか療育に向かえるようにこれまでの関わりで探ったお友達の好む課題を示し、少しでも気分が乗ってくれるように導きます。
療育中の本当に些細な、驚くほど小さなことでもお友達が何かできたとき、プリントが最後までできたとき、数を数えられたとき、にっこり微笑んだとき・・・とにかく褒めて一緒に喜ぶように努めたといいます。

着座を促し、繰り返し、褒め、人と関われるようにと少しでも１歩でも先へと歩み続けた日々。
やがて、もうすぐ２年になろうとした昨年の秋頃になると、お友達の抵抗がおさまり素直に課題に取り組む姿が見られるようになりました。
言葉のうち母音を発することができるようになってきたお友達、言葉にはっきりできなくても、身振り手振りや、母音の発音で言いたいことを伝えられるようになってきたといいます。
これはお友達なりの言葉の獲得でした。

やがて今年の春はお友達にとって小学校を卒業し、中学校へ進学しました。
この「卒業」では式典の決まりごとを守らなければいけないことを経験することになります。
この卒業式の練習が、お友達を変えたきっかけの１つだったようです。
これを機に少し大人になったお友達は、卒業式本番や中学の入学式も見違えるほど立派にやり遂げることができました。精神的にもぐんと成長を見せたお友達。
まだ不明瞭ではあるものの、言葉を受け止め、自分からも発信しようと頑張る姿が見られ、来所時にも騒がず素直に着座し、課題を集中して頑張っています。

ご要望があり、６年生になってからは学校の宿題を課題の後で見守ることになりました。
学校からはCOMPASSで宿題をした翌日は、お友達が学校での取り組む姿勢が素晴らしいとのことで、継続してお願いしたいと申し出をいただいたそうです。
それ以降、更に学校と密に連絡を行いながら、学校の進みと並行してCOMPASSの課題も組んでいくと学力の向上に相乗効果が見られているといいます。
保護者様もとても喜んでおられて「COMPASSのおかげです。」と、そんな嬉しい言葉をいただきました。

これからのお友達のテーマは深く、広く、そして豊かに、とでもいうのでしょうか。
学習だけでなく色々なことへの理解を深め、自主的に取り組めることやコミュニケーションの力を向上させたいと願います。
発語を極める傍らお友達同士の交流を通して人との距離感を知り、相乗効果で会話でのやり取りが増えるようになることも目指していきます。
全てはお友達の豊かな人生に繋がるようにと長い長い道のりを、今日も１本のペグを刺し、ひと文字を書き、一枚の紙を仕上げるという継続をブレない姿勢で丁寧に行なっていきます。