COMPASS本部教室受け入れる心の準備ができて | COMPASS（コンパス）発達支援センター

COMPASS本部教室　受け入れる心の準備ができて

2021年12月16日

木曜日のCOMPASSです。
COMPASS本部教室のお友達は幼児期からCOMPASSに通い、就学のタイミングで放課後等デイサービスに移ってきました。
お友達は初めてのこと、見慣れない場所、そして人の輪に入るのが苦手です。

お友達にとってすでにCOMPASSは通い慣れた場所ですが、関われるのは一部の先生やお友達だけでした。
やりたいことへ制限をかけられたり、思いと違う場合などには自分の頭をガンガン叩き始めたり、人を叩いたりするのだそうです。
お友達の場合もこだわりが薄らぎ、学びをしっかり受け入れられるようになることが肝心です。
個別支援計画には、①決まった課題に毎回取り組むこと、②発語練習に取り組み、思いを表現できる様になること、③気持ち、行動の切り替えが上手にできるように自制心を養うこと、④運動の習慣を身につけることが設定されました。

滑らかな発語をめざして、お友達が集中しやすいように大好きな図鑑やカルタなどで興味を惹くことを狙い、教材として取り入れました。
感情表現の言葉と語彙の認識、そして発語できる言葉それぞれに制限があるため、ジェスチャー表や文字ボードを用いてお友達の言葉の補助をする取り組みも試してみました。
また指示をよく聞き理解することや集中を狙って運動プログラムも取り入れました。

こだわりは確かに強いのですが、その分自分が納得して決めたことに対してもこだわるので、良い結果となる傾向にあります。
そこで療育のスタート時に、毎回、お友達と先生とで一緒にスケジュールを話し合い、確認とお約束をするようにしました。
時折やむを得ない事情で予定が変更になるとき、お友達は軽くパニックになるようでした。
時間へのこだわりが特に強いお友達は、予定通りに進まないと周囲の状況に関係なく大声を出したり、自分の頭を叩いたり、先生を叩くような激しい行為を見せることもありました。
そんなときは落ち着ける場所に誘導し、優しく声をかけ、ジェスチャーや文字ボードでお友達の気持ちを丁寧に聞き取っていったといいます。

それからは変更があるかもしれないことも、療育前の話し合いであらかじめ伝えるように心がけ、お友達がいつでも今は何をする時か、次は何をするのかと確認しやすいように、大きく見やすいスケジュールボードを活用しました。
3ヶ月ほど経った頃には、自分の時間の流れより、スケジュールボードに書いてある予定を確認して行動できるようになっていきました。

そのスケジュールボードに慣れてくれたものの、今度はそのボードの予定へ強いこだわりを見せるようになり、スケジュール通りに進まないと混乱し始めます。
それも繰り返しの声かけや、変更する場合には「こう変わるけど大丈夫？」といった確認を必ずするように配慮したことで徐々に大きな混乱は見られなくなっていきました。
やがてこだわりよりも、学習や運動の予定が自分で掌握できることへの安心感から『好きな学習や活動の予定が楽しみなんだ』といったジェスチャーを見せてくれるようになってきました。

この頃から周りも『どう動くかわかるといいかもしれない』と考えるようになったのか、下腹部を触るジェスチャーで『トイレに行きたい』と伝えてくれるようになり、思いが伝わる喜びがわかるようになり、ジェスチャーを多用して伝えようとする意欲が見られるようになってきました。

ボードと同じ時期から始まった運動プログラムも功を奏して、まずお手本の動きをしっかり見て、指示をよく聞いて、同じ動きをすることが楽しくなってきて積極的に参加するようになりました。
保護者様にも協力を仰ぎ、自宅でもできるクマ歩きなどの簡単な運動プログラムを楽しく実践・継続していただいています。
やがて集団活動での運動プログラムも参加を嫌がることなく参加できるようになり、笑顔が増えていきました。

そればかりか、これまで見られなかった余暇の時間にもお友達の輪に入り、カルタ取りなどを楽しむ姿も見せています。
言葉によるコミュニケーションはまだ不十分でジェスチャー混じりではありますが、気持ちはずいぶん安定してきているようで以前のような激しい憤りや頭を叩く、また手を挙げるような仕草は見られなくなってきています。
学習での着座姿勢が大切なように、心の安定がなければ何事も習得するのは難しいものです。
お友達はまさに今、こだわる心で何でも弾き返すことから、吸収する態勢へと成長を遂げているといえるでしょう。