木曜日のCOMPASSです。
COMPASS高松Jrに通っている年長さんのお友達。
通い始めてからもう3年半が過ぎました。
3年前のお友達は、感情を言葉で表現できないことが悔しくて、叫んだり、泣いたり怒ったりと激しい感情がむき出しでした。
そのため保護者様は思うように外出もできないのだと、助言を求めて来られたのだそうです。
保護者様のご意向としては、手を引かなくても自分で歩けるようになるなど自立して欲しいと願っておられ、COMPASSで人との関わり体験してほしいと希望しておられました。
また、当時は通園していなかったので、意思の疎通や気持ちの伝達ができるようになって園にも通わせたいと望んでおられました。
こうして通い始めたお友達ですが、人でいっぱいの部屋では落ち着きません。
すぐに「おしっこ」とトイレに離席し、わずか30分の間に何度もトイレに逃げ込んでしまいます。
また、誰かが大きな声をあげているともうその部屋にはいられなくなり、他のお友達から声をかけられても逃げ出してしまうと言った様子でした。
トイレに向かってもおしっこが間に合わず、お漏らしもあったそうです。
想いが伝わらないことで起こる癇癪は、会話が成立して伝わるようになると次第に収まっていくはずです。
このため支援計画では、まずトレーニングで明瞭な発声ができるようにすることを目指します。
そのうえで、言葉による会話のやりとりで自分の思いを伝えられるようになり、ルールのある遊びなどで集団活動を通して人との関わりを学んでいくことを目標としました。
お友達の発語の不明瞭さの改善のためには、口舌のトレーニングが有効だと考えられました。
お友達は口を左右には動かしやすいようですが、上下の動きが少しぎこちないようでした。
この口舌の訓練は、お友達が来るたびに毎日おこなわれました。
仲良く人と関わることを学ぶために「かるた」や「数字カード」を数名のお友達と一緒に活動します。
療育前には、ご挨拶、お返事、そして天気や食べたものなどを毎回インタビューして会話へと導きます。
他にもイベントや季節の制作の後には、必ずみんなの前で感想とお友達の良いところを言うというトレーニングもおこないました。
それでもしばらくは他のお友達との関わりや、人がいること自体が嫌で、逃げ出すか、泣いてばかりという印象だったそうです。
就園を目指し、日常生活動作でもたくさんの学びを実践していった2年前。
園に通うことになると必ず昼食の時間があるため、COMPASSでも練習も兼ねてお弁当持参です。
食が細いお友達は、お弁当を食べ終わるのに1時間もかかっていたのだそうです。
利用開始から10ヶ月経った翌年の4月には、お友達は保育園に通い始めました。
その頃には口舌の訓練の成果が見られ、同年代のお友達とも仲良く会話し、楽しく関われるようになっていました。
お弁当も以前の半分の時間でひとりで完食できるようになっています。
そればかりか、イベントや製作等の時の発表では一番に手を挙げて堂々と発表し、発表では他のお友達を褒めてあげられるような素敵な内容なのだそうで、先生たちも感心させられたと言います。
このお友達が部屋にいられず、外出も憚られるほど保護者様を困らせていたと、誰が想像できるでしょうか?
利用当初には逃げ出していた周りの騒音も気にならなくなり、トイレの失敗もなくなりました。
お友達は今、就学に向け新たなステージを歩み始めています。
今後は、COMPASSでは同世代のお友達とのより豊かな関係性を築き、必要な社会性を身につけられるように導きます。
就学に向けて始まった学習で「ひらがな」を書くことが好きになったお友達は、よく先生にお手紙を書いてくれるようになったそうです。
この「ひらがな」の正しい書き順で書けるようになり、数の合成や分解、時計の理解もできるようにと、まだまだたくさんの学ぶべき課題が用意されています。
一つひとつ無理なく、何度も、何度でも繰り返し、お友達自身がしっかりと自分で考えて習得できるよう導きながら、笑顔でくぐる桜のアーチを目指します。
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