COMPASS神埼言葉を得て、そして輪の中に | COMPASS（コンパス）発達支援センター

COMPASS神埼　言葉を得て、そして輪の中に

2022年3月9日

水曜日のCOMPASSです。
COMPASS神埼に昨年の11月から通って来ているのは２歳のお友達。
言葉が遅いことを心配され、保護者様がご相談に来られたのだそうです。

お友達はまだ２歳で、幼く、体幹もしっかりしていません。
もちろん着座が難しく、すぐに離席をして走り回り、課題を見せても集中できません。
余暇の時間にはたくさんのお友達が遊んでいるのですが、輪に入れず、ひとり遊びばかりでした。

保護者様は就学までにはコミュニケーションが取れるようになってほしいと望まれていました。
すぐに言葉で伝えられるようにならなくても、気持ちを表現する方法を身につけてほしいとおっしゃっていました。
お友達は保育園に通っていますが、そこでも周囲の声掛けを理解できるようになり、落ち着いて過ごせるようになり、周りのお友達と仲良く接してくれたらと願いを語っておられました。

支援計画は保護者様のご意向に沿って立てられます。
着座、集中、そして周りと仲良く過ごすという目標に向かって、まずはCOMPASSに慣れ、いろいろな体験から学ぶことからお友達との日々がスタートしました。

しっかりと背筋を伸ばし、正しい姿勢で座ることはCOMPASSで学ぶ最初の課題です。
着座することで、視線は目の前の課題に向き合い、集中して楽に取り組むことができます。
座って課題に取り組むことで、思考がうまく繋がって取り組む効率も上がっていきます。

お友達の場合、座って何かをする習慣がなかったこともあり、一瞬座ってもすぐに飽き、じっとしているのが辛くなって離席してしまいます。
先生が声をかけてもその意味もわかっていないのか、目についたものに興味を奪われると、そこにまっしぐらです。

このため座ることや、そこで取り組むことがお友達にとって当たり前のことになるまで、何度も繰り返し声をかけ、離席したお友達を迎えにいきます。
お友達が関心を示す課題は何だろう？
お友達が楽しく思える課題を見つけ、それで着座と集中へと導くように探っていきました。

お友達は「絵カード」の中でも特に「昆虫」や「車」のカードを見ることは大好きでした。
絵を見て、先生がその絵の名前を伝え、真似するように促します。
最初はカードを見せると触りたがり、好きなカードだとそこで何度も中断し次のカードに移れません。
何度も絵カードで言葉を学ぶ課題を日々繰り返していくうちに、少しずつ複数のカードを見て、語りかけるようになりました。

言葉もそうですが、いろいろな生活動作もお友達は未成熟でした。
最初はトイレに誘っても素直に動いてくれず、遊びに夢中になっているといつの間にかお漏らしするという繰り返しでした。

人と関わることも苦手で、先生が間に入って一緒に遊ぼうと誘って交わるように促します。
ところが、興味のあるおもちゃで誰かが遊んでいると、容赦なく奪うことも度々ありました。
利用が始まった頃のことですが、言葉で「貸して」を言えないだけでなく、その動作もできないためにトラブルが起きがちでした。

通い始めてひと月が経ちました。
お友達は着座姿勢を学ぶより前に、絵カードの発語練習では、ポツリポツリと発声ができるようになっていました。
先生の言葉の真似をするという模倣訓練は特に上手になり、どんどん物真似をして、いろいろな言葉、仕草を吸収していくお友達です。

そして今では絵カードを使った発語の練習時には「これなに？」「これはセミ」など２語文の発語出来るようになりました。
先生や周りのお友達が話しているときには、興味がある言葉があると、自ら真似をして復唱することもどんどん増えて来ました。

特にお友達がお気に入りの「昆虫」のカードや絵本では、例えば「セミ」を見せると、お友達が「ミーンミーン」と虫の声を言ってみたり、「蛍」のあとに「ピカピカ！」と光る様子を表現したりすることまでできるようになりました。

通い始めて5ヶ月目ですが、ご自宅でも質問したり、気持ちを伝えてくれるようになったりと軽いコミュニケーションが取れるようになって来たことを保護者様も喜んでおられます。
同居してらっしゃるお祖父様やお婆さまからも、お友達の言葉を聞き取れるようになったことで、気持ちを分かってあげられるようになって嬉しいとお話を伺いました。
ご家庭でも言葉の表出に伴って笑顔が増え、次第に目線が周囲へと広がり、声掛けを理解し、行動できるようになってきたと、この早い成長を喜んでおられます。

お友達は素晴らしい吸収力の持ち主ですが、ここに来て真似をすること、復唱することが得意なあまり、同時に悪い言葉や仕草もすぐに吸収してしまうという困った側面も現れて来たのだとか。
先生たちはその素晴らしい能力が悪癖にならないよう配慮しながら、着座時間や集中の向上を目指し、まだ不明瞭さが残る発声の改善を目指し、楽しいコミュニケーションへと繋げたいと願い、お友達と一緒にワクワクの新しいページをめくる春を迎えます。