COMPASS熊本東 君と話したいから…(1)

月曜日のCOMPASSです。
COMPASS熊本東の昨年の4月から通い始めたお友達はこの春年中さんになりました。
お友達、何か目につくものがあれば、もうそれが気になって仕方がありません。
衝動的に走り出し、向かう先に何かが転がっていようが家具があろうが、踏んだりぶつかったりするかもしれないという危険の予測ができません。
発語はあるのですが、気持ちを十分に伝えるまでに至っておらず、身振り手振りが言葉の補助です。
それでいて思い通りにならなかったり、伝わらないとそのイライラが癇癪となって噴き出し、切り替えるまでには相当の時間がかかります。

そんなお友達への保護者様の願いは「コミュニケーションが取れるようになって欲しい。」「身の回りのことができるようになって欲しい。」そして「指示を素直に受けいれ、気持ちを切り替えられるように。クールダウンが上手になってほしい。」というものでした。
保護者様のご意向に即し個別支援計画では、まずは語彙を増やし、コミュニケーションへの足がかりを掴み、周囲との交流を図っていきます。
様々な課題の中でたくさん「できた!」という成功体験を重ね、自己肯定感をが育つよう促していきます。
やがて会話を理解し、言葉で状況や気持ちを伝えられるように導き、危険への認知を高め、回避できるように導くことを目標とされました。

課題は、絵本の読み聞かせや絵カード、興味を引くアイテムで楽しく語彙力の向上を目指しました。
気持ちをお友達はまだ言葉で表現できていませんでしたが、先生は表情や仕草から想いを汲み取るように心がけ、言いたかったその一言を言葉に変えて、まずは模倣からお友達と練習をするようにしました。
どのアイテムより、自動車に目がないお友達。
車のおもちゃに向けて「ブーブー」と催促の発語が多く、この好きな気持ちを活かして車の型はめパズルや絵本を多用し、すぐに離席していた着座の時間を延ばしていくように努めました。
プリントや絵カードなどの課題では「”ここまでやったら”車で遊ぼうか」と、提案をして他の課題も頑張れるように促しました。

それほど大好きな車。
課題が終わって一旦遊び始めると「帰る時間になったらおもちゃを返してね」と約束をしていても、なかなか手放せないという状況が続きました。
「帰る支度しましょう。」と言う先生の声に反応して、名残惜しくても素直に返せたとき「偉かったね!! 約束を守れたね!!」と、出来たことを褒め、自己肯定感を高められるように心がけていきました。
同様に苦手で面倒なプリント課題に対しても、とりあえずは「いや!」と言うお友達ですが、「今日もできたらお母さんに見てもらおうね。」と、先生が励まし、楽しく声をかけていくと、指示を受け入れ、だんだんと頑張りを見せていきます。
頑張った成果を保護者様がご覧になり、いつも褒めてくれることがお友達のパワーの源になっていきました。

ただ集団活動への参加はお友達にとってハードルが高かったようで、活動に入る前は、歩き回ったり、寝転んだりと行動で苦手だと訴えていました。
座って活動するあいうえお唱和や発表などは、やはりお友達の「好きな気持ち」を活かし、ミニカーを椅子の上に置くと「座りましょう」のサインだと認識するようになり、離れていても戻って座り直し、少しずつ活動の輪に入ることができるようになっていきました。

日常の動作は全くひとりでできなかったお友達ですが、少しずつ一つずつ自分の手や体を使って自分一人で動作ができるように、お友達が自分からやろうとするまで、ひとりでできるようになるまで何度も何度でも繰り返していきました。
お友達がCOMPASSに慣れ、学ぶことに馴染み、変化と呼べる状態が見られるようになったのは、おおよそ利用開始から半年が過ぎた9月に入った頃でした。

(後編に続きます)

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