COMPASS川崎 心を開いて言葉を発して(1)

火曜日のCOMPASSです。
COMPASS川崎に、お友達が通い始めたのは一昨年の6月でした。
当時のお友達の発語はひとりごとやオウム返しばかりで、意味のある言葉の発声はありませんでした。
言葉以外のコミュニケーションもできていませんでした。
強いこだわりを表し、思い通りにならないと激しい癇癪を起こしてしまいます。

そんなお友達への保護者様の願いは「言葉の理解が進んで、自分のしたいことや感情を伝えたり、保育園の先生やお友達とのコミュニケーションがとれるようになって欲しい。」ということでした。
保護者様の願いを受けて、立案した個別支援計画はまずはCOMPASSに慣れて、楽しく過ごすことくを目標とします。
そして着座姿勢の維持、そのうえで正しい発音と言葉の習得ができるよう導きます。
慣れてきたら言葉を増やすことにシフトし、ルールを守って過ごすことを学び、学習でも集中して取り組めることを目指していきます。

当時年中さんのお友達との活動に選択したものは、発語や語彙力向上のために絵本の読み聞かせ、絵カード、書くことに慣れていく手始めとしてクレヨンで点描を打つところから始める自由画、そしてお友達のマイブームのお気に入りキャラクターの描かれたツールたち、巧緻性の向上のための微細運動として洗濯ばさみ・押込み棒などの手や指を使う活動などです。

絵カードは、先生の発語を見て模倣してもらうのですが、発音がかなり不明瞭だったと言います。
そこで、母音の発音を整えるために、口元の動きや舌の動かし方をしっかり見てもらい、模倣を導きます。
そのほかにも絵カードや絵本を用いた発声練習は来所のたびに丁寧に繰り返されました。
ところがお友達は集中が度々途切れ、離席し、室内の冒険を始めてしまいます。
先生は、その都度しっかり理由を伝えて再度の着座を促しますが、口頭での指示だけではなかなか座り直してくれません。
そこでパズル・運筆など、お友達が関心を示す課題を提示し、提示のタイミングを測りながら提供し、着座に繋げていきました。

遊びたいときに遊べないなど、思い通りにならない場面ではかなりの頻度で癇癪がみられたお友達。
そんなときは、落ち着くまで待ってから改めて指示を伝えたり、中断したことにもう一度挑戦してみるように促しを続けました。
また、癇癪だけでなく、先生を叩くなどの乱暴な行動も見られました。
先生は優しく制止して「叩くと痛いよ。」「優しくして欲しいな。」などと注意だけでなく、取るべき行動をお友達にわかるまで、何度も繰り返し伝えていきました。

通い始めてしばらく経つと、お友達自身が好きな課題、嫌いな課題が明確になってきました。
好き嫌いで取り組む意欲に差が見られ、拒否を示すことが多かったがお友達ですがその原因が「できない・苦手」が引き金となっていることから、自信が持てるように小さなことでも達成感を得て成功体験となるように、細かく丁寧に促し、できれば褒め、励ましていきました。

余暇や工作の時間では限られた玩具や教具を皆で使うのですが、当初お友達は貸し借りが出来ませんでした。
自分だけがいる世界を一歩出てお友達の存在を意識できるよう、先生は楽しいゲームや遊びに誘うように心がけました。
やがて、少しずつ誰かと一緒に過ごすことに馴染んでいったお友達です。

(後編へ続きます。)

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