COMPASS大野城厚い壁を壊すために…（２） | COMPASS（コンパス）発達支援センター

COMPASS大野城　厚い壁を壊すために…（２）

2023年7月19日

水曜日のCOMPASSです。
COMPASS大野城のお友達が通い始めたのは一昨年の春からでした。
初めてやってきたCOMPASSに、始めの数回は緊張した面持ちで、なんだか落ち着かない様子でした。
ひと月経つ頃には、場所にも人にも慣れ、リラックスして過ごせるようになりました。
当初からお友達に働きかけたのは、挨拶から始まるルーティン、そして着座です。
座って何かに取り組むという経験のなかったお友達が、座れるようになるまでには時間を要しました。
3ヶ月ほど経つと、着座して先生と向き合えるようになり、課題であった発語トレーニングにも力を入れ始めます。

着座姿勢のままで集中を促しながら、口の体操やマッサージで口元をしっかり結べない状況の改善を試み、絵カードを見て、先生の発声時の口の形を見て、次第にその形を真似て同じ音を出すように促していきます。
少し経つと発声練習の成果として「わんわん」などの幼児語や不明瞭さは残るものの、次第に語彙数が増えていきました。
トイレに行けないお友達でしたが、この頃から先生の促しでトイレに行って座れるようになってきました。
当初は利き手が定まっておらず、手先の不器用さが目立ったといいます。
どちらが使いやすいのか、しっかり観察しながら利き手の選定を行い、さまざまな活動を組み込みながら、右手、左手のそれぞれの役割が発達する様に関わっていきました。

こうして繰り返し、繰り返し、COMPASSで学ぶお友達の「新しい日常」は、少しずつお友達の中に定着していきました。
半年が過ぎる頃には、ただ真似るだけでなく、意味のある言葉を発することが増えていたお友達。
そればかりでなく、ごく自然に「〇〇ください。」「どうぞ。」などの言葉のやり取りや、挨拶なども聞かれ始めます。
そして、1年が経過した昨年の春には、2語文での発話が始まりました。

現在、4歳になったお友達の語彙数はかなり伸びました。
自発的な発語が増え、3語文以上の会話ができる様になり、その日に起こった出来事を話すといった言葉でのやりとりを楽しめるようになってきています。
ぎこちなかった手の動きも上手になってきて、今は食事でもエジソン箸を使って、自分で食べられる様になっています。
トイレでの排泄が出来る様になったことも大きな成果でした。
そしてもう一つの特筆すべきことは、COMPASSで顔見知りになったお友達と一緒に仲良く遊べる様になってきたことです。

お友達の様子をご覧になり、保護者様は「言語面については、望んでいた8〜9割程は改善出来たと感じます。」と成長を認めていただいたうえで、「まだ言語面では少し言葉の不明瞭さがあることや、上手く気持ちを伝えられない時に癇癪を起こしてしまうことなど課題を残している。」と言うことや「手先の不器用さがまだ残り上手く出来ない時に途中で諦めてしまうので、最後まで取り組めるようになって欲しい。」と言う新しい課題も感じておられます。

その一方で「身辺自立が図れ、着替え、食事、トイレが自分で出来るようになったことが嬉しい。」と喜びの言葉もかけていただきました。
先生たちもあんなに一言も話せなかったお友達が、こんなにお話しが上手になり「昨日〇〇したよ。」と教えてくれるようになったり「これ何？」「何してるの？」とたくさん質問してくれたりして、その度に大きな成長を噛み締めているのだそうです。

現在お友達は4歳、COMPASSに通い始めて3年と4ヶ月。
大きな成長を見せるお友達は楽しいことや興味を覚えることも増え、できることも増えて積極的になっただけでなく、お友達と一緒に行動する様子も見られ活発にやり取りができてきました。

保護者様のおっしゃるように、できない難しいことには諦めがちなところもあり、また、現時点での会話の力では伝わらなかったり、思いが通らないときに見せる癇癪も課題として残ります。
癇癪はお友達自身にとっても辛いことなので、癇癪になる前に意思表示や気持ちの発信ができれば癇癪頻度が減っていくであろうことから、嫌な気持ち、困ったこともいつでも言葉にして、それを発信できるようになっていくこともこれからの目標の１つです。