COMPASS.Clover 最初に学ぶべきこと(1)

水曜日のCOMPASSです。
COMPASS.Cloverに一昨年の8月から通うお友達は、この春、年長さんになりました。
お友達もまた言葉によるコミュニケーションに問題を抱えていた一人でした。
語彙数が少なく、充分に気持ちを表現できず、気持ちが伝わらないと苛立ちから癇癪を起こし、時には泣き出してしまっていました。
気持ちの切り替えも苦手だったと言います。

保護者様は当時年少さんのお友達ができていなかった身の回りのことができるようになって欲しいと望まれ、言葉でのやりとりができるようになって欲しいと願っておられました。
切り替えが難しいことも、しっかり話を聞いて、自分で納得して気持ちを切り替えられるようになってほしいと希望しておられました。

COMPASSでは、保護者様の願いに寄り添った個別支援計画が立案され、お友達が自分でできることが増えるように導くこと、そしてお友達が理解でき、また表現できる言葉を増やし、コミュニケーションが円滑になることを目指すことになりました。

語彙が少ないお友達に、まだ知らないたくさんの言葉を「絵カード」や「絵本」などに触れ、新しい言葉の世界を伝えていきました。
着座を教え、集中を促しながら、一番易しいCOMPASSの「プリントA1」からの取り組みをに導き、人との関わりも人と触れ合うことで学べるように「ルールのある運動遊び」や「小集団活動」、また「模倣」などの活動を提案していきました。

通い始めた頃、お友達はもうすぐ4歳になる直前でした。
お友達は、自由に好きなときに好きなように振る舞うことが当たり前だったのに、COMPASSではそうはいかないことに戸惑います。
気にいったオモチャで遊びたくて独占してしまったり、お友達の好きな色を選んだり、順番を守る意味も理解できませんし、それを譲ることなど思いもよらないことでした。

ところがCOMPASSの先生は、「周りのお友達と交代で遊びましょう。」とか、「順番を守って自分から譲ってあげましょう。」とか、お友達にしてみれば無理なことを言います。
ルールを守ることが理解できず、強引に他のお友達が遊んでいるオモチャを取り上げてしまったり、指示に従うことができないでいたお友達です。
思い通りにならないとき、伝わらない悔しさで胸がいっぱいになり、どうしようもなく涙が溢れて泣き出してしまうこともありました。

そこで、自然に譲り合いや助け合いを学べるように、また順番を守って遊ぶことがどんなに心地よいことか理解してもらえるように、先生が一緒に関わりながらやり取りの仲介に入り、言いたいことを充分に言えないお友達に言葉を誘導したり代弁したり、「こうしたらどう?」と違う考え方や代替案を提案したりしました。
なかなか順番を受け入れづらいようなので、視覚的にわかりやすいフープを活用してその輪の中で順番を待つように促し、運動遊びでも「どうぞ」と言われた後で行動に移すことを練習しました。

言葉の学びももちろん行なっていましたが、その前に、お友達に必要だったのはルールを守り、先生の指示に従うという学ぶ姿勢でした。
週に3回、来所のたびに同じように落ち着いて声をかけ、何度も何度もやり直しながら指示に従って自主的に動けるようになってきたのは、3ヶ月ほどが経過した10月を迎えた頃からでした。
(後編へ続きます)

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