金曜日のCOMPASSです。
長崎にあるCOMPASS児童発達支援センター大村は、児童専門の事業所です。
ここに令和4年の秋から通い始めたお友達は、着座ができず、目についたものに向かっていきなりダッシュ。
体は柔軟ですが、関節、筋肉が弱く、姿勢の保持が難しいようでした。
何か書くものを持たせると、机、壁、手あたり次第に落書きをしてしまいます。
大抵衝動的に何かが始まってしまうので、ご家庭では”大事な物は置いておけない”と手が届かないように高い所に保管しておく必要がありました。
発語がないため明確な意思表示を捉えづらく、思い通りに行かないときは大泣きしたり、勝手に動き始めたりと目が離せませんでした。
保護者様はお友達が話せるようになって欲しいと言葉の表出を願っておられました。
また突発的に動いてしまうため、危機を予測して動ける様になって欲しいと話され、園では落ち着きがなく、集団活動に参加することも難しいので、集団の場で落ち着いて過ごせるようになり、お友達との関わりを増やして欲しいと望んでおられました。
COMPASSの立案した個別支援計画では、お友達がCOMPASSに通うことに慣れ、生活リズムを整えて、過ごしやすい環境を整えることから取り掛かり始めることにしました。
何もかも自分のやりたいようにといった毎日から、いろいろなことを受け入れ、ルールを知り、集団活動への参加や、周囲のお友達と一緒に楽しく過ごせるようになることを目指していきます。
小さなお友達は最初はCOMPASSと自宅の環境の違い、それぞれのルールの違いが理解できていません。
お友達も通い始めの頃はCOMPASSに着くと手当たり次第に気になるものを引っ張り出していました。
着座を促して「お勉強始めましょうね。」と先生が優しく語りかけても、何かが目につくといきなり離席という状況を度々繰り返していました。
そこでパーテーションで視界を遮ったり、その日使う教材・教具を1つのカゴに入れて目移りしないで済むようにと工夫を重ねながら活動が始まります。
余暇の時間には好きなおもちゃで遊べるのですが、一旦出したおもちゃを片付けられないため、これも学びと捉え、先生が付き添って一緒に片付けながらやり方を教えていきます。
当初は発語が殆ど見られませんでしたが、先生は根気強く言葉を添えながらジェスチャーをやってみせる「ままごと遊び」に取り組みました。
日常で交わされる「ありがとう。」「おいしい。」「いただきます。」といった簡単な言葉を何度も何度でも繰り返し、沢山聞かせて理解を促しました。
同時進行で絵カードでの活動も行われ、イラストと言葉(単語)のマッチングと模倣を繰り返していきます。
着座が維持できるように、まずは足置きを活用するなどして姿勢の保持を目指しました。
活動中、興味を持てない課題のときなどの離席は誰にでも見られますが、お友達は体幹が弱く、座るための筋力も弱いことも着座姿勢を維持できない要因でした。
そこでサーキットトレーニングを導入し、身体を動かして筋力をつけ、同時に情緒の安定を試みます。
運筆につながる過程の遊びとして、お絵描きが大好きなお友達のために大きな紙を準備して、自由に描くところから始める活動も工夫しました。
好きなものを描きながら、知らず知らずお友達は色やものの形を学んでいきます。
COMPASSのプリントで同意発見シール貼りなどを楽しんで、着座学習の習慣化に勤めました。
大好きなアンパンマンの絵本にも一役買ってもらいながら、読み聞かせでお友達の文字への興味を促し、いろいろな活動につながる試みを続けました。
翌年の春、園に行きはじめると活動量も増え、発散する場が増えたためか、落ち着きを見せ始めたお友達。
COMPASSでもトイレでの排泄や、衣服の脱着ができるように促し、練習を続けています。
まだ体力がないので、COMPASSの利用の後に幼稚園の流れでは、お昼寝の時間を設けます、眠たいはずなのにお昼寝を嫌がって身体をよじらせてぐにゃぐにゃとすり抜け、抵抗することが多かったのだそうです。
案の定眠れなかったときは身体もきついようで、機嫌も悪くなってしまいがちだったため、保護者様とご相談して適宜休息できる機会を作っていきました。
ここで浮上してきたのが、やはり食の問題でした。
スープの野菜すらよけるほどの偏食のお友達です。
保護者様は以前から園で提供される給食の取り方を心配されていました。
お弁当を持参したCOMPASSの1日利用では、自分でスプーンで好きなものだけを選んで食べていました。
給食でも、好きなおかずがないときは、ご飯だけしか口にしないこともあるとのことで、栄養の偏りが気にかかります。
そこで、食に興味を持ってもらおうと、ままごとセットや食べ物カードなどを使用した取り組みで、お友達は野菜の名前や、いろいろな食べ物の名前を覚えて、言えるようになってきました。
この取り組みは今も継続しています。
(後編へ続きます)
COMPASS児童発達支援センター大村
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