水曜日のCOMPASSです。
COMPASS多良見に昨年夏から通うお友達は、今年の春年中さんになりました。
お友達には、発語がありませんでした。
独特なこだわりがあり、神経質なのかな?と感じられるような一面もあったそうです。
例えば、すぐに着替えたがったり、ベタベタするものなどは感覚過敏と思うくらい苦手。
大きな音やトイレの流水音なども敏感に感じるようで、耳をふさぐ仕草をします。
トイレにひとりで行くこともできません。
コミュニケーションも困難でした。
言葉によらない意思の疎通ではやりとりが難しく、自分の言いたいことが伝わらないために癇癪が起きていました。
思い通りにならないことを許容できず、離席が多かったり、順番を待てなかったり、切り替えもできずに些細なことで怒って泣き、長泣きする姿が見られていました。
COMPASSは母子分離での療育ですが、保護者様と離れがたく、ずっと泣いていたお友達です。
保護者様はそんなお友達が「事業所に慣れて、元気に通ってほしい。」と望まれていました。
トイレに自分ひとりで行けるようになり、少しずつ会話ができるようになって欲しいと話されます。
そして、お友達と楽しくコミュニケーションがとれるようになってほしいと願いを語られていました。
個別支援計画は、まず元気に事業所に来所し、先生や周りのお友達との関わりが始まるところからスタートします。
次の段階では事業所に慣れ、くつろげるようになったお友達自身の視野が広くなり、事業所の流れの中で身支度を自分でしてみようとしたり、自分の思いを自分なりの表現や簡単な言葉で伝えてみようとする自主性が育ち、お友達同士の触れ合いを楽しめるようになり、人との関わり方を学ぶことを目指していきます。
そのためにさまざまな活動プランと教材が準備されました。
例えば、活動の前に伝える「スケジュールの確認」「体操」「絵カード」「ひも通し」「サーキット運動」「絵本」「COMPASSのプリント」「集団活動」「他児と玩具を使用してのやりとり」「指先の活動としてペットボトルキャップのパズル」などなど・・・
当時お友達はまだ3歳。
当然のことながら社会のルールやいわゆる常識は全く知らないし、理解も及ばない状態です。
日常生活の動作にもぎこちなさが拭えないこともあり、例えば身支度も視覚的にカードなどを活用しながら、先生と一緒にひとつひとつ動作を学び、見様見真似の模倣からお手本通りにやってみて、少しずつ身についていくように図りました。
人間は幼くても快・不快は本能的に感じています。
嫌な感じのするものは近づきたくないし、やりたくありません。
お友達にとってほとんど世界のすべてという存在の保護者様が視界からいなくなる状態は、どれだけ不安なことか想像に耐えませんが、保護者様の姿が見えなくなると、もうパニックです。
そこでお友達が関心を示す「好きなもの」を活用しながら、COMPASSや先生たちとの信頼関係を築こうと丁寧に関わっていきました。
その好きなおもちゃを挟んで、先生とお友達で「貸して」「どうぞ」「ありがとう」の微笑ましい貸し借りのやりとりです。
運動では例えばサーキット運動で「ハイハイ」「ジャンプ」「トンネル」などに取り組みながら、指示した座る場所を示し、先生と一緒に順番が来るのを「待つ」という練習をしました。
また「体操」で「ボディイメージ」を育み、身体の発達も促せるように取り組みました。
次第に保護者様に代わる存在として先生が認められたのか、対応を肌で感じて信頼を寄せてくれるようになったのか、母子分離に見られていた抵抗は和らいでいきました。
それでも癇癪が起きることもありました。
思い通りにいかないときに泣きわめきなかなか切り替えが難しく、それは根気のいる取り組みでした。
癇癪が始まったら、お友達と一緒にクールダウンできるように部屋の隅に移動し、すぐそばで見守りながら一緒に落ち着くのを待ち、切り替えのタイミングを見逃さず、「よく頑張ったね!えらいね!」としっかりと褒めていきました。
(後編へ続きます)
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