木曜日のCOMPASSです。
それは4年前の11月。
保護者様とやってきたお友達は、次の春に小学校へ就学する年長さんでした。
保護者様から語られたのは「話をちゃんと聞いて行動できるようになってほしい。コミュニケーションの力を伸ばしたい。」と言うこと。
そして何より「学校の友達と仲良くして欲しい。学習でも力をつけて欲しい。」という深い愛と優しい願い。
保護者様との話し合いの上で立てられた個別支援計画は「人との接し方や伝え方を身につけ、相手に合った言葉づかい、気持ちの切り替えや適切な言動ができるようにしていくと言うこと。」を軸に置きます。
更に「出来ることを増やして自信をつけ、学習への興味関心を広げ、自分で学習する姿勢を身につけること」を促していきます。
そのプランを達成すべく、基礎学力をつけながら集中力を高めるため「音読」「計算プリント」「社会性やマナーについての題材」「点つなぎ」「記憶力問題」などが課題として設定されました。
通い始めた11月のお友達は、目移りしがちでした。
着座は出来るものの、ふらっと離席したり、課題と関係のない私語が目立ち、全く集中できませんでした。
集団活動や余暇の時間でも、自分の主張を何がなんでも通そうとして一切譲ることができないため、他のお友達とのトラブルになり暴言や他害行動もみられました。
自由であることと自分勝手とは全く違います。
それが学習中であってもお友達は自分勝手に振る舞い、私語を続け、出されたプリントや課題に応じず、自分のやりたい事をやろうとします。
先生にも暴言、他害も目立ち、叱られても自分以外の何かのせいだと主張します。
先生はそれでもお友達には正義感もあり、冷静に考えさえすれば正しい行動を導き出せる力があると信じていました。
そこで、お友達同士でトラブルになったときには自らを振り返らせてみます。
自分が間違っていたところ、相手の悪かったところは何だったと思うかなどを考え、ではどうしたら良かったか?と言うことをしっかり考えさせます。
初めは脈絡ない言い訳が出てきますが、次第に冷静に考えられるようになり、やがて答えに辿り着くまで先生は黙って静かに寄り添います。
学習面でも数々の工夫を行ったそうです。
提示された課題への拒否を回避するため、得意な課題・好きな事と、不得意・苦手な事の二通り用意。
どちらを最初に取り組むかの選択を任せてみます。
大人でもこの選択肢がある場合、二択でも自由さを感じることができ、自分の選択には責任を持とうとする傾向を見せると言われています。
大抵お友達が選択するのは、まず苦手な事から取り組み、楽しい・得意な課題で終わるパターンでした。
集中を導き出すためにも工夫が行われます。
負けず嫌いのお友達の特性を活かし、タイムアタックを試みます。
タイムアタックとは短い時間でクリアを目指すゲームの用語です。
タイムを測ること学習に導入すると、お友達はしっかり集中を見せたと言います。
今、この4年間を振り返ると、最初の快活な性格を残しながらも当初の身勝手な自由奔放さはすっかり影を潜めてきました。
実は同じエリアにある運動療育が得意なNEXT、集団活動が得意なLinkと3つのCOMPASSを併用するようになり、環境の変化にも順応して、年上のお友達とも仲良く関わるうちに小さなお友達にも優しく接することができるようになりました。
たまにトラブルがあっても間に入った先生の話に耳を傾け、冷静に考えて納得し、素直に謝ることができるようになりました。
集団活動においても静かに話を聞き、自分の主張ばかりではなく友達の話しを聞き入れられるようになり、コミュニケーションが円滑になっていきました。
大きな成長ぶりは学習態度でもはっきりわかります。
少しずつできることが増えて自信を得られるようになると、学習意欲が芽生えて「もっと勉強したい!」と口にする事が増えてきました。
あれほど困らせていた療育中の離席は無くなり、目の前の課題が何であれきっちり集中して取り組めるようになりました。
本当は苦手な事、やりたくない事はあるはずですが、気持ちに折り合いをつけ、頑張ろうとしているお友達です。
警察官になりたいという将来の夢ができて、今にも増して学習に対して意欲を見せるようになったお友達。
就学時は普通級でしたが実は2年生では支援学級になり、普通学級に戻って欲しい思いが強かった保護者様。
現在では再び普通学級に戻り、学校やCOMPASS以外の活動や剣道に打ち込んでいる事を保護者様はとても喜ばれています。
妹が生まれてからは保護者様の手伝い、妹のお世話を積極的に手伝ってくれるようになっているそうです。
今月でお友達は、COMPASSを卒業です。
折り紙が好きで壁面の制作時はいっぱい折ってくれたこと。
菜園活動では積極的に水やりや草抜きを頑張ってくれたこと。
車を洗うお手伝いもニコニコで頑張ってくれたこと。
グループワークではリーダー的存在に成長し、他のお友達の話しを聞き入れ、話し合いをリードしてまとめる姿を見せてくれるようになったこと・・・
思い返せば止めどなく溢れてくるこの4年の交流を懐かしく思いながらも、眩しい光へと巣立っていく後ろ姿を誇らしい想いで見送る先生たち。
幸多き素晴らしい未来を心から願って・・・
COMPASS発達支援センター丸亀
所在地:〒763-0082
香川県丸亀市土器町東2丁目75-1
連絡先:0877-85-3428
(施設名をクリックして頂くと、施設案内ページへ。また電話番号のクリックで電話がつながります。)