月曜日のCOMPASSです。
保護者様は「社会に出ても困らない様に自立した生活が出来るようになって欲しい。」と願っておられました。
当時2歳のお友達は発語がなく、伝わらないもどかしさで人に手を上げてしまうこともありました。
見慣れないものへ警戒心の強い部分があるかと思えば、気分の向くまま行動する奔放な部分もありました。
個別支援計画の長期目標は「語彙力を伸ばし、発語力を育むこと。」が設定され、総合的な成長を目指すことになります。
もちろん着座は難しく座ることから学習が始まるのですが、すぐに離席することもあったので、興味を引き付けながら傍で声かけをしたり、何をする時間なのかを伝えながら着座時間、立腰姿勢を維持出来るように支援していきました。
語彙力の確保は、一文字ずつをゆっくりと口唇を使って発語を促し、名称とことばの一致に向けて毎回フラッシュカードなどを使用、また身近な言葉や会話から語尾が言えることを目指すところからスタートしました。
教材は、絵カード、50音唱和、ひらがなのうた唱和、絵本、月プリ、日記、かずのおけいこなどが活用され、少しずつCOMPASSに馴染んでくれるように導きながら課題を進めます。
当初のお友達は、バス、パパ、単語の一文字、数字8は言えました。
ジェスチャーの意思表示でも、ご挨拶、お返事のはい、ごめんなさい、ありがとう、イヤイヤなどはできていたお友達。
そのできる範囲での会話から広げていこうと、あらゆる機会を活用したチャレンジの日々が続きます。
利用日にはCOMPASSの車で送迎しますが、その送迎車の中でもできるだけ話しかけ、お友達と楽しくおしゃべりをしながら言葉を引き出す機会をたくさん作り、会話のキャッチボールができるよう関わっていきます。
月日が経ち次第に着座に慣れてきた頃から、お友達とは月プリや数のおけいこで学力アップを目指し、5H1Wを使い言葉を引き出しながら文書構成が出来るように日記作成に取り組むようになりました。しかし着座できていても、学習になると途端に落ち着きがなくなり、手遊びをしたり、椅子の上に足を上げたりする姿も。
時折、お友達は「もう終わります。」「何ページしたら遊んでいい?」と聞いたりする様子も見られたのだとか。
そこを逆手に取って「あと何枚頑張ろう。」と約束することで、自然に気持ちが切り替えられるようになったようで、最後まで頑張れるようになりました。
少しずつ言葉を身につけ、会話に慣れていったお友達。
しかし昨年は、世界中が体験したコロナ感染症という壁がお友達の生活に大きな影響を与えることになります。
自粛期間には、保護者様がお友達の生活リズムが崩れないように最大限の配慮をされたご家庭で親子で学習を継続されたそうです。
この時COMPASSのご利用は「オンライン指導」でした。
初めてのオンラインで画面の向こうにいる先生と話すお友達。
いつものように先生がすぐ側にいないのは、心の距離を引き離されたような感覚を覚えたに違いありません。
その距離を埋めるのが「言葉」に他ならず、いつも以上に集中すること、会話を一生懸命組み立てることが求められます。
大変な時期ではありましたが、結果としてこの経験はお友達の成長に大きく寄与することとなりました。
利用当初のお友達の余暇はミニカーでひとり遊びや絵本を見たりとマイペースなものでした。
現在は情緒も安定し、日常会話がスムーズになったことで人との関わりが見られるようになりました。
周りのお友達も優しいお友達が大好きで、楽しそうに遊ぶ姿を見せています。
学習面も、会話の成長とともに指示を聞き入れて取り組めてきたことがステップアップに繋がりました。
ご両親からも特にこの1年の成長が大きく、学習面では幼稚園でも褒められたと嬉しいご報告があり「COMPASSさんのおかげです。」と保護者様から感謝の言葉をいただいたそうです。
会話の成立にはまだ課題を残すものの、ずいぶん成長が見られるお友達に保護者様も次のステージへの期待を話されるようになり、就学に向け学習面でのレベルアップを図っていきたいと話されるまでになってこられました。
実はお友達は大変遠くから通ってきています。
事情もあり、この春をもってCOMPASSを退所することになりました。
しかし、お友達や保護者様と築いてきた4年半の信頼関係という心の繋がりは退所という形でも切れることはありません。
ずっとこの場所から思いを寄せ続け、成長を願う気持ちはこれからも変わりません。
お別れに際して保護者さまに「ご心配な事があった時は、どうぞいつでもご連絡下さい。」とお伝えし「その際はどうぞよろしくお願いします。」と話された保護者様です。
手を振るお友達の姿が見えなくなるまで見送ると、先生たちは元気な声で溢れるCOMPASSにまた戻るのでした。
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