COMPASS川崎 COMPASSに来ると算数がわかるんだ

火曜日のCOMPASSです。
保護者様と最初の面談は、お友達が小学校1年生の夏でした。
保護者様は数(算数)がまったくわかっていないこと、小さな刺激にも過敏に反応してすぐ泣きだしてしまうことが気がかりだとのことでした。
保護者様は、今後の学校生活において授業についていけるだろうか、友達と上手くやっていけるだろうかと不安を感じておられました。
6歳の時に受けた発達検査でワーキングメモリと処理速度が低いと評価され、集中力の欠如や聞き漏らしがあることも不安に感じておられたようです。

個別支援計画の長期目標は、ワーキングメモリの器を広げていくこと、相手の話を聞き、自ら行動へ移していくこと、・数の概念理解を深めていくこととされ、 短期目標 では、集中できる時間を伸ばしていくこと、相手に注意を向くように導くこと、数に対する苦手意識を減らし、興味が持てるようにしていくことが設定されました。

初回利用のとき、お友達は緊張している様子でしたが、問いかけにもしっかり答え、声かけや促しにもスムースに動くことができていました。
学習課題への拒否的な言動は見られませんでしたが、算数の教科書で「いま学校で勉強しているところはどこ?」と尋ねても答えられなかったそうです。

算数では1~10まで正しく数え読むことはできていたものの、足し算になると「1+1=11」と答えたりしていたそうです。
「+(の記号)とか、10より大きい数とか、わからなくなるんだ…。」
俯きながら自信なさそうに答えていたお友達の姿は忘れられないといいます。
着座姿勢での集中力は短いものでしたが、1つの課題に対して「ここまでやってみよう!」と見通しを持たせると、最後まで取り組むことができていました。

放課後等デイサービスは宿題をやる場ではなく、補講で学習への理解を深めていくことが目的です。
学習色の強いプリントや計算は、最初の段階で苦手意識を払拭するためにはむしろマイナスになると考えました。
そこで算数では、まず数の増減への抵抗をなくし、お友達が心から楽しいと思えるようにサイコロや数字カード、おはじきなどを使い「数字や数に親しむ」ことに取り組みます。
お友達は、その中でも先生との数の遊びが特に楽しかったようでした。
降ったサイコロと同じ数だけおはじきが貰えるゲーム(おはじきが多い方が勝ち)は、笑顔を見せ、楽しく取り組み、サイコロを1つから2つ、3つと増やすことで「足す」ことの概念を育てていきました。

国語は、50音が曖昧で、文字を書くことに慣れていないようでした。
まずは、あいうえおパズルでひらがなの理解、点つなぎの図形で筆記具の使い方を自然に学べるように導きました。
また、お友達が興味のあるものや事柄をひらがなにしてみるという練習を行いました。

ワーキングメモリの向上に関しては、短期記憶が養われるように絵カードを2~3枚並べ覚えてもらい、目を瞑っている間に1枚隠し「なんのカードがなくなった?」というクイズを楽しくやってみました。
迷路では行き止まりになった際に、通った道を思い出しながら戻る練習を繰り返します。
1つの課題ごとに「ここからここまで」と見通しをつけることで課題ごとに集中力が持続できるように工夫。
苦手意識のある算数や国語の学習の間に、必ずお友達が楽しんで取り組める課題を挟むことで意欲の継続を狙います。

実際にお友達はとても素直な性格で、提示された課題には頑張って取り組む姿勢を見せていました。
ただ苦手な課題では「わからない。」「むずかしい。」という気持ちをなかなか言い出せず、ただ黙って悲しい表情浮かべるお友達です。
そこで「困ったときは先生にその気持ちを言ってみて?」と声をかけたり、療育時間以外でも関係性を深め、どの先生も皆お友達が話しやすい環境を作ることを心がけました。
そして半年が過ぎて、秋になった頃、明らかな変化があらわれてきます。

苦手だった算数は、得意とまでにはなっていませんが、計算問題の足し算、引き算、繰上りも冷静にしっかり取り組めるようになってきました。
ただ、繰り下がりだけに躓きが見られたので、先生同士で「お友達にとってわかりやすい方法はなんだろう?」と何度も話し合い、その日の療育後に「今日はこうしたら、こうだった。」とお友達の取り組みの様子を情報共有に努めました。
そうして試行錯誤の上で探し当てた「お友達に理解しやすい方法」をどの先生も同じように算数に取り入れていきました。

「COMPASSに来ると算数がわかるんだよなぁ・・・」とお友達が療育中に呟く場面があったそうで、その言葉が成果だと言えるでしょう。
今後は日常生活に即したお金の計算や、時間などの学習にシフトできるまでに成長を見せています。
文字を書くのが苦手だった国語。
丁寧に書くことだけを目指して書字に取り組んでいたことで、少しず自分のペースで書くことが身に付いて行ったお友達。

確かに、かなりゆっくりではありますが「きれいに書けたね!!」と都度褒めていくことで自信がついてきた様子です。
今でもカタカナはまだ苦手なのですが、苦手=やりたくないではなく、ゆっくり考えながら最後まで取り組む姿勢が出来上がっています。

悲しいときや、他のお友達との関わりで嫌だったことを直接相手に言えないのですが「先生、あのね…。」と先生には話そうとする様子を見かけるようになってきました。
どの先生も伝えようとする気持ちを大切にして「僕はこうしたかった。」と話すお友達のお話をしっかり聞いてあげています。

保護者様からも「苦手なことが「嫌いなこと」になっていないことが嬉しいです。」とお言葉をいただいたそうです。
また、学校の授業で躓いていることもCOMPASSで先生と一緒に考えると「わかるようになる」という体験。
「これだけできた。」と一緒に振り返り褒めてもらえる体験が、45分間の療育で集中力を切らさないことに繋がっていると感じられて、それが嬉しい、とも大変喜んでいただいています。

利用から7か月。
苦手だった勉強が「得意」になるまでにはまだまだ時間が必要ですが、不得意なことでも嫌がらず取り組む姿勢が育っていることは大きな成果です。
これからも支援計画の短期目標にあげた中からは、最後まで話を聞いて行動に移すことや、自尊感情を高めていくこと、得意なことを伸ばしていき、さらに「やればできる」というたくさんの体験を通して育つ自信を基本に、長期目標の達成に向け、ワーキングメモリを広げたり、苦手なことが得意なことに変身する様に導いていきます。

COMPASS発達支援センター川崎
所在地:〒210-0848
    川崎市川崎区京町2丁目24-2
連絡先:044-201-1148

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