COMPASSしまんと 前へ、前へ、寄り添いながら

金曜日のCOMPASSです。
COMPASSしまんとにお友達が通い始めて5年になります。
保護者様は、当時中学1年生だったお友達への「少しでも言葉が話せるようになって欲しい。」という願いを話しておられたそうです。

新しい環境に慣れ、違う場所でもリラックスして過ごせるようになって欲しいこと、身の回りのことが少しでもできるようになってほしいと願い、COMPASSに希望を託されました。当初、お友達は話しかけられていることは理解できていましたが、自発的な発言はなかったといいます。

ではどうやってお友達の「言葉」を育て、コミュニケーションに繋げられるだろうか?
個別支援計画では「場所や状況に応じてジェスチャーで表現できるようになること。」を達成するために「まずは、場面に合う要求の発信を増やしていくこと。」また「指先の訓練によって力をつけ、日常生活の動作に繋げていく。」ということを目指します。

言語練習として「挨拶カード」や「絵本の読み聞かせ」を活用し、その「絵本」に出てくるモノ等を言うなどしてイメージにつながる言葉を学びました。
歌を通した言語指導も取り入れます。
また、滑らかな動きと感覚を育てるために「感覚運動」や「指先の訓練」としてマジックテープの脱着やファスナーの開け閉め、キャップを使ったプットイン等で細かな運動を取り入れていきました。

とりわけお友達のお気に入りの課題は「歌」でした。
歌が大好きなお友達、先生と一緒に歌ったり、リズムに合わせて手を叩いたりと楽しそうにしてくれています。
しかし、発語を期待して促しても発することはありませんでした。
指先の運動で、例えばその日の状態によってはファスナーの開け閉めではファスナーから手が離れたり、諦めて途中でやめてしまうことが多かったのだそうです。

お友達は日によって集中度合いや気分のムラが見られ、安定した課題の進行ができませんでした。
そこで取り組みへの意欲を高めるため、昨年の秋から「感覚運動」を取り入れた療育をその日の最初の課題として行うことにしました。
このオリジナルのマットは感触の異なる様々な素材で構成されていて、足裏から刺激が伝わり、スイッチが入ることを期待します。

お友達は歩くときにかかとが浮いてしまいがちなので、マットの素材はスポンジの部分を多めにして足裏が触れる部分が多くなるように工夫しました。

また関心の低い課題では集中を書いたり、視線が外れやすかったため、お友達が注目しやすいように教材は色が鮮やかではっきりしたものを使うように心がけたのだそうです。
発語を促す課題では、復唱してみようと挑戦しやすくするために、できるだけ短い単語で伝えられるように心がけました。

機能訓練を療育に取り入れてから10ヶ月ほど経った今年の夏には、少しずつ集中できる時間が増えました。
歌ってほしい時に「歌って!」と言い、欲しいものがあると「ちょうだい!」と言うなど、場面に合う要求を口にするようになってきました。
言葉は少しずつ増え、「歌って、ちょうだい、トイレ、さようなら、ただいま、こんにちは、はい、(絵本を見て)ぶどう」等、自分から言ったり、促すと言えるようになってきました。

あれから5年、お友達は高校生になりました。
COMPASSに着くと、自分の荷物をしまい、自然にマットを歩く姿が見られます。
日常動作でも大きな成長が見られ、リュックの開け閉めや、水道の蛇口をひねる等日常生活の中で自然に自分から指先を使う様子が見られるようになりました。

今では声をかけると靴や装具等を自分で外したり、歌ってと要求があったり意思疎通ができることが増えて、先生たちも手応えを感じているといいます。
保護者様も「ただいま。」と家でも言ってくれてとても嬉しいと、ご報告をいただきました。
変化はお友達に笑顔を増やし、保護者様へも笑顔を連れてきてくれたようです。

これまで通り場面や状況に応じた言葉やジェスチャーで表現できるようになることを目指しながら、日常動作でも指先の力をつけ、スムーズな動作に繋げていけるよう導きます。
これからも色々な経験を増やし、日常生活で必要な動作や感覚を知り、自分で行動できることを増やしていけるようにと願い、お友達のペースで着実に目標に向かい、前へ前へとお友達の手を取り、寄り添って進んでいきます。

COMPASS発達支援センターしまんと
所在地:〒787-0013
    高知県四万十市右山天神町4-31
連絡先:0880-34-8328

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