金曜日のCOMPASSです。
一昨年の夏から通い始めた年少さんの男の子。
少しは発語はあるのですが、あまり会話にはなっていませんでした。
周りのお友達への関心を示さず、気に入らないことがあると離席や退席が見られます。
自分の好きなおもちゃを他のお友達が使っていると手が出てしまうこともあったのだそうです。
保護者様は「言葉の発達が進み、コミュニケーション力が向上してほしい。」と希望され、お友達の興味の幅が広がり、日常生活に必要なことを身につけてほしいと願っておられました。
COMPASSでは、まずは環境に慣れて、個別での学習や小集団での活動を通して、約束事やルールを少しずつ理解していってほしいと個別支援計画に記しました。
長期的には、言語やその他の手段(ジェスチャー等)を用いて、自身の気持ちを伝えられるようになることを目標としました。
お友達が通い始めた当初、自由気ままな行動が目立ったそうです。
来所時の挨拶はなく、入口で靴を脱がずにソファに寝転がって当然のように先生が靴を脱がしてくれるのをじっと待っているお友達。
靴の脱ぎ履きは元からお友達が自分でできることなので、先生は絶対に手伝いません。
代わりにお友達が自分で動けるように「先生待ってるからね~。」など声かけして見守ります。
お試し行動のつもりがあったのか、気に入らない活動になると離席したり、寝転んでみたり、注意を受けると寝たふりをして聞こえないアピールです。
どんな態度を取られても厳しく叱責することを避け、その都度手を繋いで席に連れて戻ったり、あえて見守り「頑張らないとお楽しみの時間がなくなるよ~!」など、お友達が自分で席に戻れるよう声をかけて促しました。
しかし、実はその行為自体が間違っているのだと、お友達自身が一番良く知っています。
時間の経過とともに、次第に促しに従ってお友達は自分から席に戻ることが出来るようになっていきました。
個別指導では、型はめパズル、色マッチング、絵カード、絵合わせカード、月例プリントA-1~A-3、数のおけいこ(コンパスのプリント)、おはじきで数のマッチング、絵本読み聞かせ、ビーズの紐通し、チェーンつなぎ等の多彩な学習課題をクルクルと提示して、お友達の気が散らないように努めました。
また教材をふたつ提示し、「どっちからやる?」などの声掛けをおこなって、自分で選択したことを最後までやる習慣をつけるように心がけました。
集団活動は自分の思い通りにならないこともあるのだということや、同時に皆と一緒だからこそ楽しく達成感があることを学ぶ大切な機会です。
自分が遊びたいおもちゃを他のお友達が使っていると手が出てしまうお友達。
そんなときは「お友達が痛いですよ。」と謝るように促し、静かに目を見て注意をします。
横暴に振る舞うことの改善を狙って、小集団の輪の中であえて同じおもちゃが好きなお友達と一緒に遊ぶ機会を作り、ひとつのおもちゃを「貸して」「どうぞ」のやりとりを学ぶよう先生がお手本を示していきました。
今日は仲良く遊んでいるなと油断していると、活動中楽しくなったり、お友達同士でふざけたりして、今取り組んでいることが抜けてしまう傾向も見られました。
そこで、お友達には事前に活動内容・ルール・マナーなどを易しい言葉で伝えて「お約束」をするように心がけました。
新しい先生が来ると、お友達はやはりお試し行動を見せますが、全国のCOMPASSの先生は絶対にブレずに「いいこと」「わるいこと」をはっきり示し、言葉は優しくても毅然とした態度で対応するので、お友達の思うようにはなりません。
何度も、何度でも繰り返していくうちに、少しずつお友達が自分で納得して正しい行動ができるようになっていきます。
明らかな変化が現れたのは、利用開始から半年後の12月くらいだったでしょうか。
学習に対する意欲はぐんぐん伸びたお友達の言語獲得がめざましく、二語文で先生に語りかける場面が増えていきました。
集団活動では手を出すことがなくなり、お友達からお礼を言われたときには「どういたしまして」と言えるようにもなりました。
お友達はもともとひとりで完結できる遊びが好きで、余暇の時間に自分から輪に入る場面はまだあまり見られませんが、集団活動では「どうぞ」「ありがとう」「どういたしまして」が頻繁に出てくるようになりました。
また、先生に何か聞いてほしいことがあると「先生、先生!」と自分から語りかけるようになりました。
やはり言葉の力は偉大です。
伝える手段を得たことでイライラや乱暴な行動は影を潜め、もっともっと言葉を求めて学習への意欲はとても強いものになりました。
利用開始時は、集団活動にほとんど入れませんでしたが、最近はお友達と一緒に並んで椅子に座って学習し、一斉におこなう「50音唱和」でも自分の順番が来るとみんなの前ではっきりとリードの発声ができているのだそうです。
最近先生が嬉しいなと感じることは「〇〇先生」とか「〇〇くん」と個別の名前で呼んでくれるようになったことなのだそうです。
来所が始まった頃には全く言えなかったご挨拶。
現在はこんがらがって「おはよう・・・ごちそうさまでした。」と言ってしまうので、目下のところ「おはようございます!」を猛練習中のお友達です。
集団活動で先生が全体的に話しかけることもしっかり理解して行動できるようにと、新しいステージに向かいます。
ひとりで遊び、ひとりよがりに抵抗して世界を狭くしていたお友達は、今少しずつ自分以外の周りの人々の存在を認識し、大きく羽ばたこうとしています。
その世界へのパスポートは言葉です。
これからもその言葉をお友達の世界の扉の鍵として、あるいは時に武器としてもっと広い世界へ羽ばたいていけるように願いながら、言葉を中心とした療育に注力していきます。
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