COMPASSしまんと 春を待ちながら

水曜日のCOMPASSです。
COMPASSしまんとに1年生から通い始めたお友達、春には最上級生になります。
保護者様の願いは言葉で伝え合えるようになること、更にコミュニケーションの上達と、読み書きができるようになってほしいというものでした。
そこでCOMPASSでも発語を増やし、発言する力の向上と、集団の中でも落ち着いて過ごせるようになることを目標に、あの日、お友達のCOMPASSがスタートしました。

COMPASSの基本は着座して目の前の課題に取り組むことです。
ソワソワ動きながら物事に取り組んだり、じっくり考えたり、まして文字を書くなどは到底できません。
そこでまずは着座を促すのですが、小さいお友達の多くは着座の習慣がないうえに筋力の弱さもあり、なかなか立腰姿勢が維持できません。
お友達もなかなかじっと座っていられず、ウロウロが始まります。

お友達は着座すること、じっとしていることがとにかく苦手でした。
発語はあってもオウム返しのやりとりだけ。
先生がしっかり目を見て伝えても話の内容が伝わりにくく、また同様に自分の思いを言葉で伝えられません。
言いたいことが伝わらないもどかしさに大声で叫び、文字の練習では紙を破ったり、鉛筆を折ってしまうということもあったそうです。

お友達は絵本が大好きです。
そこで着座の習慣をつけたり、姿勢を維持する導入として大好きな絵本読みから始めました。
着座できるようになってからは、好きな絵本に書いてある言葉や、COMPASSのプリントでなぞり書きです。
書いた文字を読むこともとっても面白いんだと楽しさがわかり始めたお友達でした。

少しずつ着座姿勢の維持ができる時間が伸びてきて、50音の発音練習にも楽しそうに取り組んでいきました。
学習では、身を入れて目の前にある課題に取り組むというより、ただやらされているだけの印象です。
先の見通しがつかないと集中に欠け、同じことを繰り返し聞いたり、言ったりという場面が見られました。

絵本などで覚えた言葉を練習で先生に伝えてみるとき「あ、伝わった」という喜びを体験する・・・
日ごと、月ごとに段々と通じる言葉が増えてきて、日常的にも練習して覚えた言葉が伝わり始めます。
言葉のやりとり、会話とはとても楽しいものだとお友達にもわかり始めます。
やがて、文字の読み書きができるようになってからは、音読もできるようになり、絵本の感想を書いてもらうという難しい課題に取り組み始めました。

明らかな成長は3年生に上がった頃から見られるようになりました。
語彙が増え、会話のぎこちなさも目立たなくなり、先生に「お昼ごはん何食べましたか?」と話しかけてくるお友達。
激しい怒りや苛立ちを見せる代わりに「やめてね」と言ったり、わからないところは「教えてね」と言えるようになってきました。
見通しが持てるように自分から帰る時間を聞いてきたり、時計を見て行動できるようになってきています。
集団活動でゲームや工作を頑張っているのですが、この経験を通して「貸して」「どうぞ」などの貸し借りもできるようになってきました。

成長は簡単にボタンを押せばレベルが上がるゲームのようにはいきません。
ですが、お友達の頑張りはしっかりご家庭でもわかるようになり、保護者様からは「勉強を頑張ってくれてるので嬉しい!」と事業所の取り組みに感謝の言葉をいただいたそうです。

笑顔で来所するお友達、今日は何の本を読もうか・・・
この世にはまだお友達の知らない色々なものでは溢れています。
COMPASSの様々な活動に参加するだけでも、少しずつその世界を広げてきたお友達です。

これからも学習は当然ですが、お友達同士の関わりの中で良い刺激を与え合い、新しい表現を知る機会が増えていけばと考え、実りのある関わりを増やしていく予定です。
春の進級を待ちながら、これからは服を選んだり、髪を整えたり、服を畳む等にも挑戦し、自分の身の回りのこともできるよう、将来の自立に役立ててほしいと願っています。

COMPASS発達支援センターしまんと
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