木曜日のCOMPASSです。
昨年の1月からCOMPASS.OLIVEに通い始めたお友達、現在小学2年生です。
発語がほとんどなく、たまに出る言葉と言えば食べ物の名前が数個だけでした。
このためコミュニケーションも取れず、気持ちもわかってあげられません。
また日常動作でも箸づかいや紐結び等の細かい作業が苦手なのだそうです。
保護者様はお友達を想い「まずは挨拶や、返事から言葉が出るようになって欲しい。」と話しておられました。
せめて嬉しい、悲しいなどの感情を発語がなくても表情や態度で伝えられるようにしてほしいと願われ、日常生活ではお箸が使えるようになり、巾着等の紐結びできるようになって学校生活に繋げてあげたいと希望していらっしゃいました。
お友達の個別支援計画の短期では質問に答え、いずれ文章を書けるようになることを目指します。
会話のやり取りを遊びや学習の経験を通して育んでいき、空間認識、構成機能を育むことを目指します。
まず着座して取り組むことですが、すぐに意識が逸れてしまい、室内を走り回ってしまいます。
このため走り回ると危ないことがあると伝えることから始まりました。
何か集中できる興味のあるものがないか探し、その課題から始めます。
それから言葉の育成に移行していくのですがCOMPASSで大切にしているご挨拶、それから日付、名前、年齢を来所のたびに繰り返し質問していきました。
絵カードも活用し、何が書いてあるかな?と語彙の確認と発語を促す問いかけをしていきます。
とにかく関わっている間中、発語を期待していろいろな働きかけを促す日々でした。
余暇の時間にはひとり遊びばかりだったお友達ですが、先生が関わりを手助けし、お友達同士の交流を促していきます。
巧緻性の指導も行われ、紐を結ぶ、左右に引く、折り紙をちぎる、糊付けなどを、慣れてくると10分以上おこなっていきました。
可愛らしい笑顔のお友達ですが、油断しているとトイレで床や洗面台の鏡に水をかけて遊び、そこら中水浸しにしてしまうことが度々あったそうです。
何度「いけないことです!」と言葉で注意しても、楽しい気持ちが勝ってしまうらしく悪びれた様子もなく、暖簾に腕押しなのだとか。
困った先生は、まず絵カードで駄目だよの表情を毎回見せ、先生もカードと同じ顔になって”いけないこと”だと伝え続けます。
その後でお友達にもペーパータオルを渡し、先生と一緒に水浸しを片付ける日々だったそうです。
お友達は、いわゆるエコラリアの質疑応答を見せることがあったそうです。
絵カードを見せて「これは何?」と聞くと、お友達も「これは何?」と返します。
次に「これは?」と聞くと、「りんご」と返せます。
こんな風に質問のニュアンスによって、いつも返答がまばらでした。
そこで先生たちは打ち合わせ、質問の仕方を「これは何ですか?」に統一します。
お友達からオウム返しが返ってくる前に、すかさず「これは何ですか? りんごです。」とお手本を示してみます。
この質問方法をパターン化して、まねすることから始めて、この質疑応答で答えかたの定着を目指していきました。
この水遊び、おうむ返し、部屋中を走ることから始まったCOMPASSの日々から1年経った今年のお正月になった頃。
お友達はトイレで遊ばなくなりました。
とはいえたまに水を鏡にかけますが、アッと気付いて自分で拭いています。
頻繁だったオウム返しが減り、名前や年齢が言えるようになり、絵カードの質問にも答えられます。
現在は次の課題である「好きな食べ物は何ですか?」を数枚の絵カードの中から選んで回答するという練習に移行しています。
ちぎりましょうの指示が曖昧だったため、ちぎる作業を繰り返し練習し、今では指先運動も「ちぎる動き」と「さく動き」の違いが分かってきて、親指と人差し指が柔軟にもなり、お箸も使えるようになり、相乗効果で今では筆圧もしっかりしてきたのだそうです。
お友達はひらがなも読めるようになり、「ダメです」という表情は読み取れるようになっていて、行動を改められるようになり、会話とまではいきませんが、先生の指示にも応じられるようになっています。
保護者も「全く嫌がらずにCOMPASSに楽しく通えていることが嬉しい。」とおっしゃっています。
ご家庭でもお友達の様子から「ルールがあることに気付き始めているようです。」と変化を感じておられるのだそうです。
そんなお友達ですが、実は先日、就学前の小さなお友達のところに不意に歩み寄り、頭を撫でる様子を見せたのだそうです。
この行動には先生たちも驚き、喜んで、お友達に「先生にもしてー♫」と列を作る出来事があったのだそうです。
お友達は大きな先生たちの頭を少し照れながら撫でて、僕、何か良い事をしたのかな?と嬉しそうでした。
春には3年生に進級するお友達。
COMPASSでは新年度に向けて、もっとひらがなやカタカナの定着を進め、言いたいこと、思っていることが、聞いて、知って、覚えて、使ってみた言葉の数々を経験しながら、まずは仕草として、そしていずれは伝えたい人に向けた言葉として表れるよう目指します。
そのいく先に近道はなく、今日もまた繰り返し、何度も何度でもお友達としっかり関わり、その日が早く訪れるように引き寄せていきたいと思っています。
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