COMPASS大野城 その成長に驚かされて

火曜日のCOMPASSです。
COMPASS大野城のお友達は3歳、今月、通い始めて1年が過ぎました。
保護者様の願いは言葉が出るようになってほしいというものでした。
実は、お友達は1歳で「マンマ」「ブーブー」「ダッダ」など喃語を話すことができていたそうですが、コロナ禍で自粛生活を強いられ、外部との接触が激減。
そのためか自発的な発語が出なくなってしまったのだそうです。
そこで、COMPASSにはまず言葉の成長、そしておもちゃの貸し借りなどができるようになってくれたらと希望を託されました。

通い始めた頃のお友達は物珍しさからか、近くを通る人や物で途端に注意が逸れてしまったり、離席して別のお友達の活動を覗きに行ってみたりと、頻繁に集中が途切れがちでした。
気が逸れないようにお友達には知育椅子に座ってもらい、視線は壁側を向き、更にパーテーションで仕切り、外の刺激の軽減を試みました。

最初に取り組んだのは発声です。
お友達は、先生が話しかける言葉は殆ど理解できているようでした。
先生の口の形の真似はお友達は最初から上手にできていたため、音声での模倣を促すために、動物カードやカラーカード等、お友達の身近で興味を示す短い単語の復唱を毎回療育に取り入れていきました。
絵カードや動物パズルでは1枚ごとに模倣から発語を促し、発語できたカードは1枚ずつお友達へ手渡していき、たくさん取れたら大いに褒めちぎっていきました。
受け取った枚数が増えていくにつれ、言葉の模倣がとても上手になり、発声できるようになっていきます。
発語がみられるようになってからも不明瞭な音が聞かれたので、口の体操を試みました。

通い始めて2ヶ月経った5月には、離席が少しずつ減少し、継続して取り組めるようになっていました。
ただ、一定時間が過ぎるとソワソワが始まり、教具を床に落とし癇癪を起こしたりすることもありました。
激しく抵抗を見せたときは、お友達の気持ちを汲み取り、一度知育椅子から降ろして好きな絵本を読んであげたりと、お友達の欲求を満たしてから静かに活動再開を促していきました。

大野城の制作や余暇の時間は賑やかで、たくさんのお友達が活動を楽しんでいます。
誰かつ活動することにお友達はあまり馴染みがなく、欲しいと思えば他のお友達が使っている物を取り上げたり、集団活動の際に走り回ったり、周りのお友達が活動を頑張っている中で、お友達ひとりだけがオモチャを出すような場面もあったそうです。
そんなお友達に、人と関わることを学習して欲しいと、さまざまな活動にお友達を誘います。
例えば黒ひげ危機一髪の様な順番のある遊びや、皆で道具を共有する作品作りなどです。
粘土の作品を作るときも、実はわざと道具を参加人数よりかなり少ない二人分に留めます。
そうすることで周りのお友達同士で必然的に貸し借りをする状況を作り、道具を共有して活動する練習になり、社会性の芽生えを期待しました。

次第に学ぶことの面白さを感じるようになったお友達、9ヶ月経った12月にはパーテーションや知育椅子から卒業できました。
この頃には周りに人がいても着座姿勢で課題を頑張れるようになっていました。
たまに出来上がった作品を見せたくて突然離席したり、課題に飽きて離席することはありますが、一つの活動で10分程度集中できるようになってきました。
今では大抵の場合、離席してしまっても口頭で戻るよう促すだけで、自分の席に戻って来られるようになっています。

お友達の成長は、あちこちに現れています。
その1つがCOMPASSで行われている独自活動の「静かタイム」です。
静かタイムでは、きちんと座り、手は膝に置き、そのまま姿勢を保って静かにします。
この姿勢で当初は5秒も保てなかったのですが、現在は「手はお膝で待って」と伝えて目の前に砂時計を置くと「はい!」と返事をし、1分間無言で待つことができ、砂が無くなると「できた」と誇らしそうに笑顔を向けるお友達です。

言葉への挑戦は続き、喃語から模倣、一語文の発声へと移り、12月頃からは「おにぎり・どうぞ」の様な二語文に近い形の発語が多く聞かれる様になりました。
音声の明瞭化も進化が見られ、「アイムームー」としか言えなかった言葉が「アイスクリーム」と、より明瞭に発音できる様になり、「トイレットペーパー」や「ティッシュペーパー」等の長い単語でも種別も分かったうえで発語できるようになりました。
最近では「ママ、バイバイ」「ミッキーみせて」「マンマおわり」「みんな食べる」「〇〇する」「〇〇しない」等、二語文での自発的なコミュニケーションを取ろうとするお友達の様子が見られています。

保護者様の願いだった「言葉が出るように、言葉でのやり取りが出来るようになって欲しい。」というご希望に関しては、まだ成長途中ではあるものの、もうすぐ目標に届くところまで来ています。
先日お友達がトイレでの衣服の脱着に苦戦していたときのこと。
想像もしていなかった「助けて。」と助けを求める声が聞こえ、そこにいた先生たちは皆、成長の速さに驚かされたのだそうです。
当初は快、不快を行動で表すしかなかったのに、徐々に言語を獲得し、現在では食事や療育場面、送迎時等でも言葉でコミュニケーションを図ろうとする意欲的な姿を見せ、成長を感じている先生たち。
言葉で伝えるという喜びを得たお友達にの世界はグンと一気に広がったのではないでしょうか。

これからは会話の一つひとつの言葉の発音がよりクリアになるように、いろいろな表現ができるように、何より会話を楽しめるようになるようにと、会話力をブラッシュアップしていきます。
課題に取り組める時間や集中を伸ばし、さらに最後まで投げ出さずに取り組めるように導いていきます。
真似ることから学ぶこと、そして自分で掴み取ることは、全部成長を目指すお友達の中にあります。
言葉から文章へ、そして会話へと続く成長の道は、まっすぐ未来へ続いています。

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