木曜日のCOMPASSです。
中讃センターの年長さんのお友達も、春には揃って卒業を迎えます。
中でもこちらの男の子は、大きな成長を見せた典型的なお友達です。
2年前の夏、通い始めたお友達はちっともじっとしていませんでした。
落ち着きがなく、常に動き回り、着座してもあっという間に集中が途切れたり、気が散ってしまいました。
遊びから学習の活動に誘っても、今、この場の興味にしか意識が向かず、場面の切り替えができません。
この状態は先生の声かけに対しても同じで、他に気が向いていると、返答・反応がないときもありました。
お友達とは言葉でのやり取りはできるものの、話の文脈が飛ぶので意味が理解しづらく、発音も不明瞭でかなり伝わりづらかったため、途中で言うことを諦めてしまいがちだったそうです。
保護者様はお友達の集中力、落ち着いた行動、お友達同士の交流、コミュニケーションの向上、日常生活動作の向上を願っておられました。
COMPASSでも保護者様のご意向に沿った楽しい毎日が送れることを目指し、個別支援計画にはひらがなの読み書きや数の認知を上げていくことも加え、総合的な成長を狙いました。
言葉へのアプローチは口・舌の体操、顔のマッサージ、50音表読み、構音訓練、ひらがなカード等カード類、ひらがなのうた、暗唱突破復唱、読み、二語文カードなど、気の散りやすいお友達に合わせ、一つの課題を短く、くるくると課題を変えてリズミカルに進めました。
お友達の不明瞭さの原因は、口の形を取れないこと、発声に関わる筋力が未発達なことなど、さまざまな原因があります。
話したのに伝わらなかったという経験を何度もすると、子どもはだんだん話したがらなくなってしまう傾向にあります。
お友達のケースではありませんが、仲良くしているお友達同士でも、子どもらしい残酷さではっきり「わからない」と言われたり、「なんか変」と言われたりすることもあります。
その言葉で自信を無くし、ますます話したがらないループに囚われてしまうことがあるのです。
お友達は大丈夫、どうすれば綺麗な音が出せるのか導くのはCOMPASSの役割です。
来る日も来る日も飽きることなく、丁寧な口・舌の体操をしっかりと続け、大きく口を開け、形をとる練習が続きます。
練習を始めた頃、口を大きく開けることはできましたが、お友達は「うー」という形に口を尖らせることができませんでした。
発語の矯正は、簡単にできるものではありませんが、こうして毎回行われるトレーニングの成果が少しずつみられていくはずです。
やがて年少さんのうちに、お友達はひらがなを覚え、読み書きや数のやり取りができるようになっていました。
集団活動での関わりを学び始め、自然に場面に合った行動ができるようになっていきました。
最初は関心なさそうに見えたカードに繰り返し取り組んだり、離席もなくなり、短時間ですが集中して複数展開される活動で意欲を失わずに学習できるようになってきました。
個別で先生と1:1の学習が始まると、集中できず眠くなってしまっていたお友達。
そんなときは学習の合間で手先を動かしたり、飛び石やバランスディスクの運動を取り入れて目が覚めるように工夫しました。
お友達と一緒に並んで学習することはお友達にとって一人きりよりも楽しい時間のようでした。
ただ楽しさも増した分、テンションが上がり過ぎておふざけモードになりがちだったといいます。
そんなときもしっかりと声掛けを繰り返すと、お友達はハッと気づいて姿勢を正し、自分で気持ちを仕切り直せるようになりました。
大きな変化はお友達が年長さんになった昨年の夏頃に見られました。
学習に対する集中力の向上が見られ、遊びと学習の切り替えがスムーズにできるようになってきました。
学習時、意欲的に取り組めるようになり、苦手な発音の言葉でも先生が「ちゃんと全部聞くよ」と優しく励ますと、諦めず、頑張って最後まで伝えようとする姿に大きな成長を感じます。
また、皆に大人気のレゴブロックで遊んでいるとき、足りない部品を別のお友達が持っていて、そのお友達に「これかして」と自発的に言う姿がありました。
一緒に活動ができるようになり、その経験の中で、順番を守り、譲り合い、「どうぞ」「ありがとう」なども自発的に言えるように成長しています。
COMPASSでの日々で、お友達は諦めない姿勢を学びました。
あれほど落ち着きなく走り回っていたお友達が、話を聞くことができなかったお友達が、指示通りに行動できなかったお友達が、今は意欲をみせ、オンとオフを見極め、適した行動が取れるようになっています。
就学まであと僅かですが、就学に向けて残りの時間しっかり取り組んでいきたいと思います。
まだ言葉も会話も、切り替えも、誰もが認めるような完全な形ではありません。
まだ苦手な音もありますし、集団活動でテンションが上がりすぎるところも、時間やルールを完全に意識して行動することもこれから完成となっていく課題です。
しかし、お友達にはこれからもたくさんの時間が味方してくれます。
お友達がセンターで学んだことは、これからのお友達にとっての大きな踏み台となり、大空への羽ばたきを助けてくれることでしょう。
全てのお友達に卒業おめでとう、そして素晴らしい未来へ行ってらっしゃいと笑顔で送り出します。
中讃地区 COMPASS児童発達支援センター
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