COMPASS善通寺新しい笑顔に出会えるように | COMPASS（コンパス）発達支援センター

COMPASS善通寺　新しい笑顔に出会えるように

2022年4月5日

火曜日のCOMPASSです。
COMPASS善通寺に昨年4月から通い始めたお友達。
順番にこだわり、自身が１番でなければ気が済まず、自宅でも弟との喧嘩になりがちなのだとか。
思うようにいかないと癇癪を起こし、嫌なことがあると泣きだして、落ち着くまでに時間がかかるのだそうです。
保護者様は一人で過ごしがちなお友達を想い「誰とでも関われるようになってほしい。」と話されます。
そして「社会生活を送るのに最低限の学力やコミュニケーションができるようになってほしい。」と話され、「こだわりを手放し、環境の変化に慣れて楽しく過ごせるようになってほしい。」と願っておられました。

お友達はCOMPASSでも一人で過ごすことが多かったそうです。
わからない指示や、わからない言葉だとオウム返しに言葉を返すばかりで会話が続かず、言葉の理解と同様に、相手の気持ちの理解も難しかったと言います。
そこで、お友達に選択した課題の一つがCOMPASSの日記でした。
日記を書くときには決まって「今日何があった？」「その時どう思った？」「どんな気持ちだった？」など、具体的な話をする時間をしっかり設けました。
お友達がまだ知らない気持ちを表す言葉を教えて語彙を増やすように努め、自分の気持ちと違って相手がどう思ったのだろうか、周りはどう感じたかを気づくことができるように導きました。

また小集団での活動を多く取り入れ、楽しい関わりの機会をたくさん経験できるように促しました。
人との活動は時に思い通りにいかないことが多いものですが、そんなときは癇癪を起こすお友達の安全を確認した上で敢えて静観したのだそうです。
やがてお友達が落ち着いてから、先生と一緒に気持ちの振り返りを行い、どんな気持だったか、何が嫌だったかを一緒に確認するようにしました。
お友達と話しながら無理のない範囲でそのときに出来ること、頑張れそうなことを見つけていきました。
そして一緒に決めた「頑張ること」ができたときには、大きな達成感が得られるはずです。

気分が乗らないとき、お友達は「やりたくない！」と課題を拒否することもありました。
そこで療育の最後にお友達が好きな課題を用意したり、療育後の余暇の時間に楽しいことをする約束をして、頑張った後には楽しいことが待っていることを楽しみに療育に向かえるように努めました。
また、気持ちを切り替えられるような考え方の練習を繰り返し行い、出来ているときにその都度褒めていきました。

別のお友達が遊んでいるおもちゃを黙って取り上げたり、勝手に触って壊してしまうこともありました。
そこで遊びに入る前に、お友達が使っているものを勝手に触らないことなどを約束し「貸してって言おうね。」など言葉かけを続け、上手に関われたときにはその都度褒めていきました。
またお友達に畑のお世話の活動を勧め、先生やお友達との一体感を感じ、来所のたびに「大きくなったかな？」と成長を楽しみにすることで、お友達のCOMPASSにもう一つ意味を与えることにしました。

COMPASSに通うことにも慣れてきた5月。
先生との関わりがスムーズになり、好きな先生に手紙を書いてくれたりするようになりました。
次第に初めて会った先生やお友達とも話ができるようになってきました。
集団活動でもルールを理解して、楽しんで参加できるようになってきました。
余暇時間に一人で過ごす時間は減り、仲の良い友達ができ、遊びの輪の中に自分から入っていくことができるようになってきました。

一年が過ぎ、現在のお友達は落ち着いて取り組めるようになってきました。
初めての活動でも先生の説明をよく聞いて周囲に合わせた行動ができるようになりました。
課題を拒否することはなくなり、気分がノリノリでなくても先生との対話で気持ちを切り替えられるようになってきました。
学習面の成長では、時計では◯時◯分を読み取るのが難しかったのですが、読み取れるようになりました。
理解できなかった指示も、言い換えたり視覚でわかるように工夫することで、ほとんど理解できています。

余暇の時間には仲良く話したり、一緒に遊べるお友達が少しずつ増え、楽しく会話したり遊んだりする姿が見られるようになりました。
家庭ではまだ兄弟喧嘩もあるそうですが、以前に比べて関わりが増えてきているのだそうです。
笑顔が増え、療育を嫌がる回数も減り、癇癪や泣く場面も見かけなくなり、畑のお世話だけでなく、積極的に活動に取り組んでくれる姿を見せるようになりました。
保護者様からもコミュニケーションにとても成長を感じると話され、「人に興味を持てるようになったことが嬉しい。」と嬉しい感想をいただきました。

まだ課題はあります。
今目指しているのは指示や行動の意味がスムーズに理解できるようになり、生活に必要な基本習慣や態度を身につけること、また円滑なコミュニケーション力の向上です。
お友達が困っているときに助けを求められるようになってほしいと願い、まだ見られていない別の笑顔に出会えることを楽しみに、手を携えて新たな挑戦を始めます。