COMPASS多良見 お友達の新しい地図(1)

金曜日のCOMPASSです。
COMPASS多良見に通い始めてもうすぐ1年になる1年生のお友達がいます。
お友達は気分が変わりやすく、楽しいときには気持ちが走り過ぎて興奮が止まりませんでした。
対照的に、嫌いなことはやりたがらず「いやだ!!したくないっ!!」と完全拒否するのだそうです。

当時は園に通っていましたが、園の集団活動が苦手、いつも落ち着きなくウロウロしているのだそうです。
保護者様は翌年に就学を控えたお友達に、苦手を克服して、落ち着くべき時は落ち着いて集中できるようになって欲しいとご希望され、色々な経験をしながら成長して欲しいと願っておられました。
個別支援計画の学習面では、正しく鉛筆を持ち、集中して学習に取り組むことができるようになること、そして集団活動では、活動や遊びの中で順番やルールを守り、楽しくお友達と過ごすことができるようになることを目指していきます。

その夏の暑さを予感させる6月、お友達はCOMPASSに通い始めました。
関わる先生は、手探りのようにお友達との呼吸をつかもうとします。
お友達は、何でも1番でなければ納得せず、そうでなければ泣いたり、物に八つ当たりしたり、暴言を口にしたりと激しい感情を見せます。
課題を勧めても一瞥して興味のあるもの以外は「嫌だ、したくない。」と拒否の言葉ばかりです。
ひらがなを書くようにプリントを出すと、書きはしますが書き順も文字自体もまるで迷路のようです。

小集団での活動に参加しても、おしゃべりが多く先生の指示が入りません。
玩具を他児と分け合って使うことができず、独り占めしてしまうことがありました。
「課題を頑張ったあとで遊ぶ」などの約束が守れず、決まりごとを守ることが必要だと理解できませんでした。

お友達に選択したのは、まず体幹を鍛えて活動しやすくするための音楽のある簡単な体操、片足バランス、縄跳び、鉄棒などの機能訓練が盛り込まれます。
何月何日か、今日・明日、数字の大系や指示の聞き取りなどを意識してもらうために、シールを使ったカレンダーワークも取り入れました。
筆圧が弱いお友達には、迷路、お名前書きなど鉛筆を使うプリントを毎回取り入れました。

お友達は好きなことだけをやろうとしますが、その度に「これが終わったら、好きなものができるよ。」と、繰り返し伝え続けました。
どうしても落ち着いて座って学習に取り込めないため、O.T.の先生の指導により、雑誌を重ねてお友達の足の高さを合わせたフットレストを作り作成してみました。
声掛けと励ましを繰り返しながら、座っていられるように興味ある課題も交互に準備したそうです。
指先の力が弱く筆圧も弱いため、たとえばおやつをわざと紙袋にいれ、紙袋に縦の切込みを少し入れ、指で互い違いに引っぱって破るようにしたりと工夫していきました。

集団機能訓練も、学習も、名前呼びも、何でも「1番」にこだわるお友達。
気に入らないと暴言があったりと、ひどく泣いたり八つ当たりするような様子が多くみられました。
順番の概念を育てることや「1番」が優れているわけではないと理解してもらうことは相当時間がかかったといいます。
しかし毎回敢えて順番を変えたり、繰り返し説明をしていくことで、次第に「一番」へのこだわりを手放せるようになってきたのは、3ヶ月ほど経った秋の初めだったといいます。
(後編に続きます。)

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