COMPASS鹿児島 ポジショニングを理解して(1)

月曜日のCOMPASSです。
COMPASS鹿児島は5月に開所しましたが、オープンより少し遅れて看板が取り付けられました。
すると、その翌日、看板を見たので…と、立ち寄られたのがお友達と保護者様でした。

お友達は4歳、幼稚園の年長さんです。
発語はありますが、言葉の不明瞭さが目立ち、伝えたいことがなかなか伝わりません。
園でのお友達同士の関わりでも、コミュニケーションが苦手なうえに距離感が掴めておらず、仲良く関わるのが難しいのだそうです。

そしてこだわりが強く、かなり頑固なのだとか。
思い通りにならないときには大声を出したり、癇癪を起こしがちだったと言います。
こだわりは食べものにも見られ、見たことのある食材しか食べようとしませんでした。

保護者様の願い…それは、まず言葉が明瞭になってくれること。
特に「さ行」がうまく言えず、言葉が詰まったり、聞き取りにくいことがあるので、滑舌がよくなってほしいとおっしゃっていました。
さらに保護者様の言葉は続き「もっと会話がスムーズにできるようになり、相手に合わせて相手の気持ちを汲み取りながら接することができるようになってほしい。」という願いを話されたと言います。

お友達の支援計画は、まずCOMPASSに通うことに慣れることが当初の目標となりました。
そして個別・集団問わず、どの療育活動にも楽しく参加できるようになり、会話でのやり取りを楽しめるようになること。
更にこの先の目標として、言葉によるコミュニケーションが図れ年齢に応じた意思疎通が行え、協調した関係を樹立していけるようになることを目指していきます。

発音の不明瞭さを改善するプログラムとしては、発語・滑舌の練習も兼ねて50音唱和を毎回取り入れます。
COMPASSオリジナルの「ひらがなのおけいこ」などのプリント教材を活用して、「あ」~「ん」までの文字をなぞることから始まり、次の段階でお手本を見ながら書くという段階に移行し、最終的にはひとりで文字を書けるようになることを目指します。

新しい事業所で、初めてのお友達との活動が始まりましたが、活動はなかなかスムーズに進まなかったと言います。
お友達は先生が指示を出しても、気持ちの切り替えや、場面の切り替えにかなりの抵抗を見せたのだそうです。

「自分のやりたくないことはしない!」という感じで、帰る時間になって先生が片付けるように言っても全く片づけようとせず、「ひとつでいいから一緒にお片付けしよう!」と声掛けをしても「イヤ!」の一点張りで微動だにしなかったそうです。
その日は結局、保護者様がお迎えに来られたので、片づけはできませんでした。

また別の日、先生が幼稚園にお迎えに行くと、お友達は送迎車への乗車を拒否。
「他のお友達がバスに乗るから私も(バスに)乗る!」と言って、走って逃げまわるお友達です。
COMPASSでの療育中も、学習プリントを提示すると「(他の)お友達が粘土をしているから、お勉強しない!」と、制作課題に取り組む別のお友達を引き合いに出して、完全拒否するということもありました。

しばらくの間、帰る際の片付けがスムーズにいくことはありませんでした。
少しでも気に食わないことがあると、片付けないばかりか、黙り込んで不快を表す態度です。
先生が「一緒に片付けよう」「一つでもいいからお片付け頑張ろう!」と誘っても、黙って突っ立ったまま先生を試すかのようなお友達。

結局、頑固な態度のまま時間が過ぎ、帰宅時間が来てしまったのだとか。
先生も仕方なく「次来たときは、しっかりお片付けがんばろうね!帰る準備しましょう!」と言っても、お友達は頑なに動かず、全くしゃべらないという状態が続いたそうです。

利用するお友達が増えてくると、自分と他のお友達の距離を測り、比べる様子を見せるお友達。
気分がいいときは年下のお友達のお世話してくれるときもありますが、年下のお友達が使っているおもちゃを無言で奪う場面も見られたそうです。
これまでの行動を見る限り、お友達は大変賢く、それ故に自分のポジションの勘違いがあるのだと考えられます。

COMPASSでは正しいポジショニングを大切にしています。
水の流れがそうであるように、学びも常に上から下に流れるもの。
親や先生は子どもたちを正しく導こうとするために、教えたり、指示を出したり、時には叱ったりするものです。
自然の摂理を無視した振る舞いや反抗は、何一つ自分のためになるものではありません。

意固地な感情は粘土層のようなもの。
そこにどれだけ水を注いでも、水は表面に溜まるだけで染み込んではいきません。
一方、素直に受け入れる心はサラサラの川砂のようなもの。
注げば注いだだけ、水を吸い込んでいきます。

学び手は、砂地のように学んだこと全てを受け入れることで成長していきます。
ただし、学び手が素直に教えを受け入れるためには、教える側のポジションが必ず上である必要があります。
それも上位にいるだけでなく、学び手に認められ、尊敬され、全てを受け入れたいと思ってもらえる存在であることが必要です。

この頃は先生に指摘されると、お友達から返ってくるのは無反応という回答です。
そんなときは先生は必ず時間をとり、お友達とじっくり話をします。
何度もスルーされ、一つも反応は帰ってきませんが、それでも何度も話の機会を持ち続けました。
話し合いは一方的ではなく、まずはお友達の気持ちを読み解き共感を示すことを心がけ、そのうえで話すように心がけたと言います。

やがて、時間の経過とともにお話の際にも少しずつ反応してくれるようになっていくお友達です。
2ヶ月ほど経過した頃、ようやく固い氷が溶け、雪解けを迎えるような兆しが見られるようになります。
(後半に続きます)

COMPASS発達支援センター鹿児島
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