火曜日のCOMPASSです。
COMPASS宇佐に昨年の4月から通う当時1年生だったお友達がいます。
お友達は発語はあるものの、会話となると相手の会話を理解することや、状況や気持ちをうまく説明することが苦手でした。
お友達は自分の気持ちを優先しがちで、今やるべきことに目を向けられないでいる様子がよく見られました。
課題に取り組んでいても集中力がふと途切れがちだったと言います。
そんなお友達に、保護者様は「先生の言っていることが理解できるようになり、自分の言葉で相手に上手く伝えることができるようになってほしい。」とコミュニケーションの上達を願っておられました。
また「集中力が向上し、落ち着いた行動がとれるようになってほしい。」とも希望しておられました。
COMPASSでは、まずお友達がCOMPASSに馴染んでくれるように環境を提供するところから始めます。
そして、お友達が相手の言葉を受け止められるようになり、また同時に自分の言葉で思いを伝えられるように、また着座姿勢を維持して学習に取り組み、個別、小集団活動の中で経験を積み、場面ごとに落ち着いた行動がとれるようになるように促していきます。
こうして小学校1年生になったばかりのお友達との活動がスタートしました。
ところがCOMPASSに通い始めた頃のお友達は、何度も「トイレに行きたい」と訴えたり、体調が悪いと訴えることが頻繁で、落ち着かない、取り組みに集中しづらい状況が続きました。
学習活動の最初は、お友達の現状把握から始めました。
利用開始した頃のお友達は、ひらがな50音は20文字程度は読むことができていましたが、書くことはさらに難しいようでした。
また、日付や曜日、天気、物の名前など知らない言葉が多いことが判明します。
そこで、毎回、日付、曜日、天気を口頭で確認して、それをお友達自身でホワイトボードに書いて確かめ、認識を深めるように努めました。
カードなどのアイテムを使い、物と言葉のマッチングなどに取り組み、語彙数の増加を狙いました。
会話でも語彙力が低いため通常の会話のやり取りとはならず、お友達なりに一生懸命応えようとして、擬音で表現することが多く、その都度、先生は場面に合った言葉選びや言葉遣いを教えながら練習を重ねることになります。
また、学習活動の途中でお友達は集中が途切れがちでした。
着座時間が長くなると集中が続かず、姿勢が乱れ、先生が声をかけても聞こえないとでもいうように耳を塞いだり、先生に背を向けるような態度をすることもありました。
日によって集中力の差異が激しく、姿勢が維持できないので、コンスタントな学習の進みとはいかなかったと言います。
そこで、言葉で指示を伝えるだけでなく、ボードや紙に書いて学習スケジュールを掲示し、視覚的にも終わりを見えやすくするように工夫しました。
疲れて集中できないときには小休憩を提案したり、目先を変えてお友達が興味のあるものに置き換えて理解を促し、頑張っている姿勢を褒めながらやる気に繋げるように支援していきました。
お友達は個別での学習活動のときでも、集団での自由活動のときも、少し夢中になると声量がかなり大きくなり、相手の話や気持ちをスルーして、自分のペースで喋ることがよくみられました。
その都度、先生は壁面の声の大きさを表す絵を示して「今は”声のものさし”の〇〇の声で話すよ。」と大きさの加減を伝え、一方的に話し始めてやりとりにならないときは「今は先生が話しています。〇〇さんは、聞く時間ですよ。」と伝えていきました。
特に机から離れての自由活動の際には、楽しくなってしまうと興奮状態になりがちで、コントロールが難しいようでした。
そんなクールダウンが必要なとき、取り入れたのが「静かタイム」です。
静かに座って手を膝におき、無言で過ごすこの「静かタイム」はお友達には効果的で重要な活動となりました。
押したり引いたりの学習活動はしばらく続きました。
やがて継続した取り組みで、滞在時間のスケジュール、学習時間と自由時間を区別した行動など、COMPASSで過ごすことに慣れてきた様子が見られたのは、半年後経った9月に入ってからだったと言います。
(後編へ続きます)
COMPASS発達支援センター宇佐
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