COMPASS樟葉 こだわりを脱ぎ捨てて…(1)

月曜日のCOMPASSです。
昨年の6月から通い始めた3歳のお友達は、現在幼稚園の年少さんです。
当時のお友達は発語はあるものの『ピーポーピーポー』を『いーおーいーお』といった喃語のような擬音語ばかり。
1歳半の検診で、単語も怪しい発語力だと指摘を受けたそうですが、意味のある発語ではないため会話につながることはなく、視線も合わなかったそうです。

お友達には独自のこだわりがあり、帽子を被ろうとせず、黒い靴しか履かず、牛乳しか飲もうとしないといった自分の気に入ったものしか受け入れようとしません。
通い始めは特に母子分離が難しく、毎回保護者様が去ると泣き、事業所のインターホンが鳴るたびに保護者様のお迎えを連想して離席も見られたのだそうです。
活動への集中力も続きませんでした。

保護者様はお友達のこだわりを気にかけられ「好きなことや興味のあるものが増えて欲しい。」と望まれていました。
また言葉の面でも発語が出始めだったためか、擬音の言葉が多いという面の成長を望まれていました。
保護者様によれば簡単な「かして」「あけて」などは仕草も手伝ってある程度わかるそうですが、自分の思い通りに伝わらないときは泣きながら癇癪になってしまうのだそうです。
単語を使ってのやり取りや意思疎通ができる語彙を増やしてほしいと希望しておられました。

お友達の個別支援計画では、まずは環境に慣れることを目指しました。
根気よくお友達と向き合い、たくさんの語彙に触れ、意味のある単語を引き出していくことを目標としました。
ですが、当時はまだ2歳のお友達、まず学ぶことは母子分離でした。
保護者様と離れていることが不安でたまらず、また見慣れない新しい環境に慣れることが難しく、泣いてばかりだったといいます。
COMPASSでは慣れるまでは一人の先生にお任せして、楽しい手遊びや歌、大好きな音の鳴る教材などで安心できる環境を整えていきました。

おそらくそれまでは経験がなかったであろう「座って取り組む」ことへのハードルも高いものでした。
活動への集中が続きにくく、次から次へとくるくると興味が移りやすいため、お友達が興味を示すものを使った活動や、短い時間での集中を繰り返し、一定時間着座し続けられることが定着していくように取り組んでいきました。

しばらくするとお友達は歌や手遊びが大好きだと言うことがわかってきました。
そこで先生は繰り返しさまざまな手遊び歌で誘い、安心して過ごせること、楽しいと感じてもらうことを優先して取り組みました。
お友達は、手遊びの中でも『りんごのほっぺ』がお気に入り。
歌詞の『おくちはチェリー ちゅっ』の『ちゅっ』の部分を真似てみるなどの姿を見せていたということです。
また色への興味も示し、歌の『どんな色がすき?』を通して、色を覚えたり、発声したりと手遊びや歌から様々な語彙に触れられるよう取り組んでいきました。

目を合わせることが難しく、発語のないお友達との関係は築きにくく意思疎通が取りにくい状況でした。
そこでお友達との間に三行関係(三項関係)の確率を目指すことにします。
三行関係(=三項関係)とは「自分・もの・大人」の「三項目の関係」で、子どもは生後9ヶ月ごろからこのコミュニケーションを取れるようになってきます。

目の前のおもちゃを見てにっこりして、自分の感情を先生に気づいて欲しくて笑顔を向けたり、小さく声をあげることもあります。
これは、大人と自分が同じものを見ていると「共同注意」という状態です。
同じものを見ているという状態では、お友達はその「もの」と「先生」両方に意識が向いています。
お友達の大好きな物を間に置いて、手遊びや歌などお友達の好きな活動を通して、色や形、体の部位など、たくさんの言葉のシャワーを浴びてもらうことを大切に関わってきました。

皮肉なことに、最初にお友達が発声した伝わる言葉は「おしまい」でした。
興味の幅が狭く、興味のある物に対してはむしろ過集中を示しますが、興味がない物に対しては『おしまい』といって拒否してしまい、それからはやろうとしません。
すぐ離席し、次に気になるものや興味が向いたものへと向かってしまい、席に戻るようにと声掛けをしても、すでに気持ちが他に向いているため、ほとんど指示が入りにくい状況でした。

課題に取り組んでもすぐに『おしまい』と拒否をするときは、先生は画用紙に線を書いたり、色を塗ったりして見せ「楽しいよ」アピールをして、なんとかお友達の興味を引き戻せるように試みていきました。
当時は毎日泣きながらの活動をスタート、そしてポイっと投げ出す活動、そしてお友達の関心を拾い集めるような様子が続きました。
その様子に少し変化が現れ始めたのは、利用開始から3ヶ月経った頃だったといいます。
(後編へ続きます)

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