COMPASS鍋島 きっかけを探して(1)

火曜日のCOMPASSです。
COMPASS鍋島に昨年の夏から通っているお友達。
お友達は言葉の困りごとを抱えていました。
名前を呼ばれても、言葉での返事どころか身振り手振りなどの動作…、例えば手を上げるなどで応えることもできませんでした。
そして、保護者様はもちろん、何をおいても言葉が出るようになって欲しいと心から願っておられました。

通い始めの頃、お友達はまだ3歳でした。
新しくお友達の人生に入ってきたCOMPASSという場所に早く慣れ、笑顔で過ごせるようになって欲しいと、先生はまずはそこを願います。
次に保護者様も心から願っておられる発声・発語から言葉への成長の流れについては、まずはたくさんの言葉に触れて発音できる言葉を増やし、言葉の獲得につながっていくように促していきます。
まだ一人で完成させられないトイレでの排泄などをお友達が自分一人でできるようにトイレトレーニングも進めていきます。

お友達と楽しく言葉を学ぶために「絵カード」や「絵本」、先生とのコミュニケーションの機会をたくさん作っていきました。
手先、指先も上手に使えていないようなので、「棒差し」「紐通し」「スライム」などで手の感覚を掴み、巧緻性を高めるためのトレーニングも採用します。
そしてCOMPASSオリジナルのプリントは一番易しい「A」から取り組むことにしました。

COMPASSの先生たちが心掛けていることは、子どもたちの状態によって「ぶれない」ということです。
お友達は対応の仕方がわからず、返事もありませんでしたが、そうであっても大切な一つひとつの振る舞いを先生は丁寧に取り組みます。
来所したらまず「こんにちは!」とご挨拶。
個別指導の始まりも「これから〇〇先生とお勉強を始めます。よろしくお願いします。」とお友達が同じように言えなくても、お辞儀できてもできなくてもきっちりご挨拶。

そして一つひとつ丁寧に説明しながら取り組みます。
それが笑顔でもいい、不満な顔でもいい、何か反応を示してくれるようになったらと、毎回言葉に触れる機会を作り、出来なくても学習の前後の挨拶や帰りの挨拶などはその都度先生がお手本を見せ、定着していくように支援を行っていきました。

慣れていない状態では、わからないと眠くなったり、動きたくなったり、離席したくなるのは当然ですが、動き回りながらでは、どんな取り組みも、先生の言葉もお友達の中を通り過ぎるだけで流れていってしまいます。
だからコンパスでは、小さい子だから…と、座って取り組むことも諦めません。
なぜなら着座姿勢を維持できて初めて落ち着いて目の前にある課題に取り組めるからです。

巧緻性の向上と課題への集中を目指しながら手指の活動を取り入れて技能の向上を目指していきました。
このシール貼りの際にはお友達は「シールをただ貼る」のですが、目視で確認しながらではないため、貼る場所がずれてしまうこともありました。
先生は週に2回のCOMPASSの利用の際にはできるだけ話しかけることを心がけていきました。

お友達はゆっくりと心を開いていったようですが、声掛けへの反応はなかなか思ったように現れてくれません。
やがて、やり取りを外側で見ていたような感じから、少しずつ中心へ進んできたように「自分のこと」として反応を示すようになってきたのは3ヶ月程が過ぎた秋になってからのことでした。
(後編へ続きます)

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