火曜日のCOMPASSです。
COMPASS Sunnyに昨年の夏から通うお友達は、現在年長さんです。
お友達は聞こえに困りごとを抱えていたのですが、それは治療と医療器具によって解決できました。
解決したものの落ち着きがなく、言葉の理解や発語が少なかったのだそうです。
お友達には先生や周りの人の話を進んで聞こうとする姿勢がなく、会話のやりとりが成立しませんでした。
嫌だと思ったことは、はっきりと拒否する姿勢を見せ、嫌な活動にはなかなか気持ちを切り替えて参加できませんでした。
保護者様は、落ち着いて行動できるようになって欲しいと望んでおられました。
また言葉の理解難しいので、相手の話を聴いて理解できるようになって欲しいと希望しておられました。
お友達は自発的な発語がほとんどなく、時折一方的に声を出し何かの要求を訴えてくるのだそうですが、保護者様の話の方は聞いてくれないのだそうです。
お友達が言葉を話し、相手とのコミュニケーションが取れるようになってほしいと切に願っておられました。
個別支援計画では相手の話に注目し、まずお友達に話を聞こうという気持ちが育つことを目指し、先生の言葉かけを真似たり、自分なりの言葉で伝えようと意欲を出せるように促していきます。
また、日常生活の場面や療育活動の場面で聴覚を活用し、しっかりと聞いて言葉を知り、言葉を使ったやり取りができるようになることを目指していきます。
自分の意思と違っていても、気持ちを切り替えて活動に参加できるようになることも目標として定めました。
こうして始まったお友達とのCOMPASSですが、なかなかスムーズにはいきませんでした。
玄関に到着したお友達ですが、すぐには気持ちが乗らず寝転がったり、聞こえを助ける医療器具を自分で外してしまい、人の言葉を、指示を聞こうとしなかったのだとか。
参加しようとしなかったお友達ですが、実はお友達は離れた長崎市内から諫早のSunnyまで通ってきていて疲れていることもあったのでしょう。
先生は気遣う言葉をかけ、活動に誘ってみますが、どの言葉も一切拒否するため、時間をかけてしばらく見守り、目線を合わせて再度言葉かけを行い、活動へ優しく参加を促しました。
ようやく着座できたお友達ですが、関心がない活動へには強く拒否を表します。
ともかくお友達が興味を持ち、意欲的に活動できるよう、楽しめる課題を探し、提示を繰り返します。
お友達が興味を持てるような教材を提示し、意欲を引き出したうえで活動に取り組み、その流れで聴く場面を設けていきました。
お友達はあまり語彙の理解が深くないため、お友達の動きや気持ちに合わせた言葉かけを行い、場面に合った言葉を何度か繰り返し話しかけていきました。
利用の度に繰り返し同じような場面を経験し、場面に合った言葉との意味の紐付けを試みていきました。
まずは皆が集合する「お集まり」で、名前を呼ばれて自分のことだと気づけるよう、繰り返し何度か名前を呼び、理解を促していきました。
トイレや手洗いを促す場面では「~するよ!」「~にいこうね!」など、場面に合った言葉かけを繰り返し、実際の場で同じ行動をやって見せるよう心がけました。
視覚的な理解は早いのですが、言葉を聞くだけだと理解することが難しかったお友達。
”聴く力”を育てるため、まずは言葉を2,3回聞かせ、実際にその行動をやってみせる、指さしをして実物を差し示すなど伝え方に配慮しました。
何とか発語を引き出そうと、言葉でのやり取りをたくさん経験し、自然に模倣につながるように試みました。
発音が不明瞭な場合は、お友達の発語をもう一度先生が発声し、正しい発音の言葉を繰り返しました。
プリント学習でも言葉の定着を図るため、何度か同じ内容の課題を繰り返し取り組んでいきました。
お友達の両側頭部には人工内耳機器が埋め込まれています。
元気なお友達がたくさんいるCOMPASS、加えてお友達自身も活発なタイプなので、安全面の確保に先生が一人付き添って、机や棚の角にぶつからないように慎重に見守り、ぶつかる物が無いよう環境を整え、配慮を怠りませんでした。
“聞こえ”は医療機器だけは完全ではなく、雑音下や室内の離れた所での聞こえにくさがあったようです。
そこで保護者様のご意向で、安定した聞こえを聞こえを担保するためにロジャーデジタル補聴援助システムを活用し、話し手が送信機(マイク)を首にかけ、お友達の人工内耳機器に音声を送り、聞きやすい環境を整えることにしました。
COMPASSのお友達は、何かのお困りごとを抱えています。
名前がついた困りごとだけでなく、名もなきたくさんの困りごともあり、その度にCOMPASSの先生たちは新しい課題と向き合う準備をします。
児発管、専門職を中心に難聴に関する勉強会を設け、言葉の育ちには時間がかかること、聴覚をできるだけ活性化して言葉を育てたい保護者様の想いを共有し、難聴や難聴児の療育に対する理解や、聴覚活用療育に必要な対応について先生皆で共通理解を図っていきました。
また、人工内耳機器の調整のために通っている医院の主治医に注意事項などをお聞きして、事業所で情報共有を行い、言葉のかけ方についての学習会を実施し、丁寧で自然な言葉かけ、自然な声の大きさ、一音ずつ区切らない、発音の言い直しはせず、正しい言葉を聞かせるなど、具体的な対応について定期的に全員で確認を行い、療育を行なっていきました。
配慮をしながらも行動は大胆に、そして繰り返し、繰り返し、何度も何度でも・・・
こうしてお友達が変化を見せ始めたのは半年が過ぎた頃だったといいます。
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