COMPASS岡山 情緒を乱すことなく(1)

水曜日のCOMPASSです。
COMPASS岡山にお友達が通い始めてこの秋で2年を迎えます。
お友達は話をすることも聞くこともできるのですが、語彙が少なく、言葉の意味を理解してそれを説明することは難しいようでした。
抽象的なことがらを理解するのも苦手で、一斉指示ではその通りに動くこともできません。
読めるひらがなもありますが、書くには筆圧が弱く、線を真っ直ぐ描くことも難しいお友達でした。

受診した発達検査では「コミュニケーションの弱さ」「社会性の弱さ」「こだわり」「過敏さ」を指摘されたといいます。
また保護者様によれば、お友達は不安感が強く、新しいことだとパニックになってしまうこともあるのを心配しておられました。
当時就学前だったお友達への保護者様は、就学に向けひらがなの読み書きができるようになり、例えば板書をノートに書き写すこともできるようになってほしいと望まれていました。

そんなお友達への個別支援計画では、次の年の春に自信を持って小学校へ入学する事ができるようにというものでした。
また、ひらがなの読み書きができるようになることや、お友達の自己肯定感が向上し、挑戦する気持ちが育つように、そして言葉を理解する能力の向上を目指していきます。

保護者様がおっしゃっていたように、お友達は初めて行うことに大きな不安を感じているようでした。
お友達と取り組んだのは、机上で行う絵カード・プリント・運筆・ひらがなの読みに関するプリントなどでした。
ところが、一見してできないものが重なったり、お友達の誤りに気づいた先生が教えてあげようと指摘すると、それはお友達にとって受け入れ難いもののようで、ピシャリと拒否を示します。

そして途端に「できない!できない!」といいながら、ひどく情緒を乱し、大泣きすることもありました。
泣くという行為は素晴らしい癒しの効果もある感情表現ですが、お友達が目指すべきゴールはそれらを乗り越えた先にあります。

先生は、課題に取り組むときは、まずできたことをしっかりと承認して褒めることに努めました。
目先を変えたり、解説を別の言葉で表現したりと丁寧に関わります。
そして、お友達がかなりの背伸びをしなければ掴めない成功体験ではなく、お友達が登りやすいスモールステップで着実に成功体験を積めるように促し、1つ1つクリアするたびにしっかり褒めて自信につなげていきました。

また、これまでに取り組んだ経験のある既知の課題と、似ているようで実は違っている課題を織り交ぜながら、情緒が乱れることなく挑戦しようという気持ちを育て、経験を増やしていけるように試みました。
こうして少しずつお友達の涙が見られなくなっていくには2ヶ月程度がかかったといいます。
(後編へ続きます)

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