NO12.ダウン症のお友達には手話と言語指導

ダウン症のお友達に対しては手話と言語指導を

ダウン症のお友達に対してのご指導に必要な要件として手話、ハンドサインの併用が現在最も確立された指導スキルではないかと私達は考えております。メイン指導スタッフの「メガネ先生」は実は手話の大ベテランです。

ある研究ではダウン症の子は語彙力や認知力の面では同じくらいの精神年齢の子ども達と比較しても大差はないが、文法力等形態的統語的な面では理解と発話の両面に困難を抱えるという報告があります。

言葉と具体物が統合出来ないのも1つの特性であると考えられており、手話の習得が音と、具体物を結びつける役目を果たす事ができるという事例報告が沢山あります。手話や絵カード等の代替えコミュニケーションツールを使う事で言語習得能力は飛躍的な進歩を遂げる可能性を秘めています。

手話と言語習得の関係は相関関係にあり、どちらからが遅滞するものではないという報告が多く存在します。手話を習得した子ども達が、言語習得に移行する際、手話で覚えた単語を直ぐに発語するという報告事例も1989年に報告されております。

手話は言語習得のための道具としてのとらえ方が正解のようで、口の構造や発声器官、聴覚等の問題がない限り活用しやすいものであると考えております。イギリスでは全ての養護学校で手話が用いられており、アメリカでは2歳から5歳のダウン症の子ども達の6割から7割が手話を見せながら言葉で話しかけるというトータルコミュニケーションをおこなっているという調査報告もあります。

精神年齢が同等であるダウン症の子ども達と同数の健常児の言語習得に対しての論文では、

精神年齢17か月の段階で、手話の単語数が話し言葉の2倍の習得率であったが、精神年齢26か月の頃から、話し言葉の数が加速し始め、手話の語彙数が減り、手話と話し言葉を併せると、健常児と語彙数は変わらないとの事例が2008年公開論文としてオハイオ大学から出されています。

フィンランドでの検証でも手話を習ったダウン症の子ども達とそうでない子ども達の比較試験がありましたが、手話習得者の方が語彙力も、社会的な行動面での自立や認知能力が高く、100%の改善率とはいえないものの、プラスの要因が高いと報告されております。

右はDOWN SYNDROME EDUCATION ONLINE へリンクしています。

話言葉でわかってもらえない事も手話で補足する事により意思伝達が可能となります。

平素私達が取り組んでいる言語習得方法に、手話での指導をそして、独自の言語カードを多用し、適切なご家庭での接し方を堅持頂き、コンパスにて定期的な療育指導を行えば大きな問題として取り上げられている言語での障壁を切り崩す事が可能であると考えております。

また生後間もない状態であれば、口蓋に対して正しい刺激をあたえ、口唇マッサージや、頬の筋力増強により発語を促す事もご指導させて頂きます。基本的に発音出来る事に繋がる指導を毎日しっかり取り組んで頂く事で言語獲得を目指して頂きます。

出来るだけ聞き取りやすい発音を獲得するのも大切な指導で通例の言語療法で行われている視覚と聴覚認知から言葉を習得させるだけではなく、発音している感覚を身に付ける事が適切な取り組みではないかと考えられます。

欧米の発話は日本語の発音と異なり、外国映画を音声を切ってみるとよくわかりますが、口を大きく開けて、会話するのに対し、日本語の動きは繊細で動きの小さいものとなっており、対象児の発話に必要な筋肉トレーニングを如何に早い段階で実践するかにより発語に大きな差異が生じていしまうといえます。

ストローを吸ったり、ぶくぶくしたり、笛をふいたり、楽しみながらも発語に導く指導を実践する必要があると考えております。

ダウン症のお友達に対しての療育結果はまた年明けによいご報告が出来ればと願っております。