NO13.設定学習の効用
設定学習って何でしょう?
簡単に言うと「その子のあるべき姿を具現化する事」です。
俗にいうモチベーションをあげる方法に近い物だと仮定します。
読者の方も体験的にご存じの事なのですが、ご親戚や、近しい友人等で、小さなときに「この子はやさしくて…」と言われていた人は、不思議な事にその多くが成人して大きくなってもやっぱり「やさしい」のです。逆に、「この子は意地が悪くて…」と言われて来た子は成人し、立派になったように見えてもその多くの場合意地が悪いのです。三つ子の魂百までとはよく言ったものだとつくづく思います。
周りの期待値に応えると言えば理解しやすいと思います。
何かの作業をしたとき、女の子に「美人はそんないい加減な事はしません。」というと次から注意しなくても、本人は自分の事を「美人」と思っているので、美人らしく、きちんと丁寧な作業を行ってくれます。
可愛い子は●●します。やさしい子だから●●できたね。お兄さんだから●●できるね。全てを肯定して、出来る事を、そうである事を決定した上で、適切な指示をしたり、評価を与えているのです。
「こんな悪い事をする子は〇〇になっちゃうぞ~」と言われ続けた子は、そうか自分は悪いんだと思い込み、悪い事をしても平気な子供になってしまうのです。〇〇になっちゃうのです。〇〇にしてしまうのは接し方と声の掛け方が間違えてしまっていた事に起因します。悪い子でも良くなっちゃうのです。
またいきなり不良に走ってしまう事等ありません。高学年の場合、自身の力に目覚めたり、制御してくれていた誰かの庇護がはずれたり、ちょっとした何かのきっかけで、言葉遣いが悪くなり、目つきが悪くなり、態度が横柄になり、服装や髪型が変容し、いつの間にか本物になってしまっているのです。
言葉遣いが悪くなったとき、毅然とした対応が出来ていれば阻止する事もできるのです。突然豹変する事は非常にまれで、よほど劇的な環境の変化が起こらなければ基本的には上記の流をたどってしまいます。逆にいえば、適切な時期に適切な対応を行う事でその性格や行動を制御する事ができるというのが設定学習の基本的な考え方となります。
発達障がいの子ども達の中で、特に家庭での接し方が間違ってしまっていたりすると、言語的な発達はきちんとあっても、行動を制御する事が非常に難しくなります。保護者の指示を全く無視する等、大人に対しても暴挙に出る事が多々あります。平気で人を気付付けるような事を口にしたり、無理難題を言ったり、すねて保護者の指示をききません。
でも、そんな子ども達でも、自分の事をどう思っているでしょう?
多くの場合は、良い子で、やさしくて、正義の味方で、皆に好かれていて、なんでもできるようになる。と思っています。ただ自分に対して甘いだけで、95%以上の子ども達が自分自身の事はどのような問題を抱えていても本質的には肯定的にとらえております。
設定学習はその心を刺激する作業です。
まず、その子が良い子である事を認識させます。そしてより良い子になるための細かなより具体的な目標を設定していくのです。(今回は具体的な手法に関しては来年の公開と致します。)
この目標設定とフレームワークが両輪として稼働し、適切な接し方、声掛けの仕方があれば、子ども達の態度行動に大きな変化と進歩を獲得する事が可能です。