NO113.お話の仕方
私達大人でも、人前で話すのを困難に感じる方は少なくありません。対人恐怖症等も、その根底にあるのは、恥ずかしい、失敗出来ないという気持ちで、上手く気持ちを表現出来ない事がその最も大きな原因の一つになります。
大昔のお話です。英語の弁論大会に出た少年がおりました。初めて英語の指導を受けた先生と相性が悪く英語は大嫌いでしたが、少年はどうしてもその大会で成績を収めて海外旅行に行きたかったのです。
どうしても憧れのアメリカに行きたかったのです。be動詞もなんたるかすら理解できていなかったその少年はどうしたかというと、まず①日本語でしっかりと作文を作りました。②国語の先生に添削してもらい、何度も何度も書き直しました。
今だったら、ネットの翻訳機能等をつかってささっと英語になおすところですが、40年近く前にはそんな便利な物はありませんので、③学校の先輩を頼ります。
あらかた出来た段階で、④英語の先生にチェックしてもらい、⑤近くの教会の日曜学校のカナダから来られていた神父様に更に添削してもらい、そして⑥読み方をテープにとって擦り切れるまで聞きながら、⑦何か月も同じ文章をその子は練習したのです。
結果は、学校の英語の成績は最低に近かったのですが、見事入賞しご褒美を頂く事ができ、念願の海外に…?!
①から⑦の過程は子ども達の言語指導と同じです。
話し方から指導しなければ、話す事は出来ないのです。
話す内容を知り理解する事。
話し方、言い方を教えることが大切です。
多くの場合言い方、話し方がわからないのです。
事前に必要な会話はどんな事か想定し、話し方を練習する事が最も効果的です。
優秀な小学生、中高生でも最初は単純な質問に答えるのは大変です。
誰でも難しいのです。
ペラペラと答えられるのは、ごく少数です。
そこでまず適切な答え方をまず教えるのです。
大学入試や、就活でも中心となるのは面接の対応力です。
話す事で、人となりを垣間見れることができるからです。
質問があったら、何とこたえるのか。
最終的に数百項目の質疑応答に対しての応答法を習得するのです。
大きくなれば、自分の体験や、学んだ事を整理し自分の考えとして説明することができますが、年齢が低い場合、まとめて話す力がありません。
そこで、答えを例示してあげることが大切となります。
話し方の予行演習だとお考え下さい。
応え方がわかっていれば自信を持って答える事が出来るのです。
繰り返し練習することで自身の考えとしても定着させることができるのです。
シチュエーションから、「おはようございます。」「ありがとうございます。」「こんにちは」「さようなら」と言えるのは、その場にふさわしいという事がわかっていてからの行動です。
正しい答えが判らなければ言葉が出ないのです。
現在社会において、挨拶が出来ないというのは、挨拶をするのが面倒でしていないケースと、挨拶出来ないケースにわかれ、後者の場合は状況判断が苦手だったりして結果、コミュニケーション能力の欠如と言われる事になりかねません。
事前の練習がそれらを解決するのです。
英語が大の苦手だった少年も、毎日数か月繰り返し同じ英文に取り組む事により能力を開花する事が出来たのです。
自己表現出来ない大学生が、就職活動を通じて、社会通念などを身につけることが出来るのとよく似ていると思います。
一朝一夕には力はつきませんが、時間を武器に、繰り返し指導すれば多くの力を身に付ける事が可能です。
話し方を学べば、流暢に話す事が出来るのです。
事前の準備が多くの問題を解決します。
話す内容を身につければ、それを自身の考えとして活躍の場を見出すことが可能なのです。
しっかりと時間をかけて取り組んで下さい。