NO162.待てるかな?(文末改定)時間を味方に

一般的に早く出来る事に評価が集まりがちなのが世の中の常です。知能検査はそのさいたるもので、基本的には、「量あるものは測られる」というギルフォードの考え方そのもので、生産性を追求する現代社会においては、仕事量で考えられます。

つまり、どのくらいの時間で仕事を完了したかに着目しています。この場合は、仕事を時間で割った仕事率という物理量を用います。仕事 W [J]を時間 t [s]で割ったものが仕事率 P [W]です。

( 因みにP は Power から、Wはスコットランドのエンジニア、ジェームス・ワット James Watt から。W は仕事を表す量記号となっています。)

周知の事ですが、近代社会、いや生存競争が生まれた有史以来、早く作業をする事に早く生産をあげる事に評価が集まって参りました。

しかしこれは、
発達障がいの支援においては大きな誤りであると考えます。

事例をもってお話したいと思います。

現代においては、早く沢山出来る事が生産的なので、何事にも短時間で出来る事が良いという固定観念が生まれております。

多くの場合、小学校から大学まで、問題を解くにしても全て短時間での達成率に賞賛が集まります。

学習において同じ100点であれば、1時間かかって解いた生徒より、30分で解いた方が上とみなされるのです。

早ければよいのか???、もう一度疑問を持って下さい。

早ければ良い、短時間で結果が出せる事が良い事ばかりではないのです。

じっくりと時間を掛けて熟成すれば得られる事も多いのです。

身近な例で考えてみて下さい。

ワインも良い例です。ボジョレーヌーボーが悪いとはもうしませんが、ボジョレーヌーボーもよりさらに若いものは、葡萄ジュースです。時間をかけないと本当に美味しい物は作れないのです。良いワインはしっかりと時間をかけて熟成された中で芳醇な香りを作りだすのです。人間も同じではないでしょうか?

京都の南禅寺の山門(三門)ですが、果たしてこれを作り上げるのに何十年をようしたでしょうか?

京都の鴨川の桜ですが、三十年も四十年もかかってこのような美しさを見せるのです。

お肉だってそうです。同じお肉でもじっくりと時間をかけて熟成させたお肉はその旨みが倍増するのです。新鮮な物が良いばかりではないのです。お魚だって「あら」等は、熟成させた方がやはり甘味が増すのです。

時間を掛けなければ旨みや、美しさ等の素晴らしさは得られないのです。

頭でわかってはいてもこの理屈を体感するまでに時間がかかるのです。
直ぐに結果がでない事は悪い事、駄目な事と判断していしまうのです。

ダイエットもそうです。ちょっとやったくらいで結果がでるわけないに、少しの努力で大きな結果を得ようとしてそれが叶わぬ時に、止めたり、挫折するのです。

療育支援も熟成が大切で時間が必要です。

私達コンパス発達支援センターでは通例より早く結果が確認出来るときが多いのですが、全部が全部すぐに結果がでるわけでないのです。薄紙を何枚も何枚も重ねて行けばいつの間にか高く積み重ねる事が出来る事と同じです。

お子様が出来るようになるまでしっかり待ってあげて下さい。毎日教えてあげて下さい。
出来るまで、待ってあげる事が大切なのです。
直ぐに結果を求めないで下さい。
待って得られる事の方が多いのです。

多くの保護者の方々は非常にせっかちです。

療育支援において時間をコントロール出来た者が頂きに登る事が出来るのです。3分待って食べられるカップヌードルでは駄目なのです。急いではお子様の真の進歩を勝ち取る事は出来ないのです。

繰り返し、繰り返し導きそして出来るまで待つ事。そうする間に神様が祈りを聞き届けてくれるのです。突如変容が起こるのです。成長曲線は右斜め45度ではないのです。急激な変化なのです。急な変化が得られるまではひたすら待つ事、お子様の力を信じて待てば得られる成果がいっぱいあるのです。

ご両親はお子様の時間を操る事ができる唯一の権限者です。

小学校になったからといって、勉強出来ないからと将来を悲観して全てを捨ててしまったり、諦めてしまい、何も教えず、何も出来なくなってしまう事例や山とあります。

実年齢は3年で1年の事しか出来ないけれど、4年生になるまでに2年、3年の事が出来るようになるという可能性の方が大切です。成長が追いつくまで待って良いのです。

よく4月生まれと3月生まれを比べる事がありますが、ほぼ1年違うので体力差、能力差があって当たり前なのです。本来であれば、月齢に合わせた教育が出来るのが理想ですが、合理性を得る為に年度でまとめているだけなのです。

社会に出ると良くわかりますが、4年生大学を卒業したと仮定すれば、22歳で普通ですが、23歳で卒業しても、25歳で卒業しても、30歳で卒業してもその年齢差は大きな問題にはなりません。

社会に出て、もう一度頑張って大学に戻ったりしてスキルアップする方が成功事例は多いと思います。この人達は時間をコントロールしているのです。時間の規制概念にとらわれていなのです。

時間に縛られなかったら到達できる山は沢山あるのです。霧に隠れて見えなくなっているだけです。繰り返しますが、時間をコントロールできれば、お子様の可能性は圧倒的に広がるのです。5歳になっても何も話せないよりも、2歳の言語能力がある方がうれしくありませんか、放置すると何もえられませんが、経験を積み重ね学齢が上がる段階で能力も上げる事が出来るのです。

10歳だから10歳のレベルに到達できていなくても、12歳になったときに10歳のレベルになっていれば良いと思えるかどうかです。周りに合わせる事はないのです。成長に時間がかかっているだけなのです。

皆が10年でしたことでも20年かかっても良いのです。時間がコントロールできれば、時間を味方にすれば、何だって出来るのです。

社会に流されないで下さい。

現在忙繁期で療育相談は11月17日までお休みさせて頂きます。

さあ読者の皆様も魔法使いになってお子様の時間をコントロールして下さい。