NO50.今 必要な事の違い その9

今 必要な事の違い その9

施設見学や、指導説明の際、「そのような取組みを行っても今は無駄です。何の役にも立ちません。」と申し上げる事がありますが、それはその支援とお子様の状態が合致していない事を意味しています。手順が大切なのです。特に言語に問題がある場合は、言語能力を獲得してから集団指導を受けて下さい。多くの場合言語能力に問題があり、自閉的傾向があるにも関わらず、集団指導を受けている事例が散見されており、コミュニケーション能力が未熟であるがため、意思疎通ができず、通えば通うほど傷つくだけで、集団療育に通所して何が獲得できたかお伺いしても返答がないのが現実です。

集団療育で発語ができないお友達が言語能力が向上する事は非常に稀で、噂には聞いたことがありますが、私自身29年の指導経験の中で、その手順で言語能力が向上したという事例を認知した事はありません。分かり合えませんから、ストレスを抱えるのです。繊細であればあるほど傷ついて立ち上がりが遅くなってしまうのです。

穴の開いた器に水を幾ら入れても溜まりは得られません。穴を塞がない限り、その器から水は飲めないのです。山のような事例の中で、その穴に何かが付着して水漏れが止まる事がありますが、それは奇跡に近い事で、万人に当てはまる事ではありません。基礎ができていないのに、棟上げをして瓦をふいても、風がふいただけで倒れてしまいます。根本的な原因の対応に合った支援をその都度選択する事が最も大切であると考えます。

物事には適切な時期があるのです。時期が違えば効果的な事であっても、早すぎたり、遅すぎたりすると効果を得られるどころか、害になってしまうとご理解下さい。

施設でであった保護者同士で、適切な療育情報を交換するのは良い事であると思いますが、伝聞をまにうけるのではなく、実際に自分の目で確認する事を忘れないでください。そして、保護者同士で一次的に寄り添いあって互いの問題を共有しても、発展的な思考が無い場合、それは一時的な心理的安定でしかなく、お子様の問題を根本的に解決しない限り、結果的に将来大きな問題に発展してしまう事になってしまうのです。前を向いて突き進んで下さい。時には立ち止まる事も大切ですが、少し休憩したらまた進み続けて下さい。歩みをとめては療育に関して解決はみられないのです。

現在間違った手順にいる事に気付いたら、迷わず正道に戻すように努めて下さい。幼稚園や保育園に通う事が許されるのであれば、出来るだけ健常なお友達との接点を増やしてあげて下さい。幼稚園や、保育園が入園許可を出してくれるというのは、一応先生の指示が理解出来るという大前提が認められての入園許可です。

先の問題で考えれば、一定のラインに到達しているとう事を認めて頂けたという喜ばしい結果です。そんな時は迷わず入園される事をお勧めいたします。サポートなしで、通園出来るというのはお子様にとって大きなチャンスにほかなりません。支援施設で療育指導を受ける事も大切ですが、降園後からの支援に切り替える事でお子様の支援の幅を広げる事が出来るとご理解下さい。

社会に出れば健常者とお子様は向き合わねばならないのです。お子様の特性により取り組み方は異なりますが、小さい頃から触れ合う機会に恵まれるチャンスは特に大事にして頂きたいと思います。療育の本質を見極めて下さい。取捨選択を間違わないで頂きたいと思います。(あくまで言語習得が出来ていると仮定してです。)

繰り返しますが、手順の間違いは百害あって一利なしになる可能性があるとご承知下さい。受けてい良い時期と受けては駄目な時期があるとご理解下さい。

その10へつづく