NO203.遠隔地指導でも…

NO203.遠く600キロ離れていても…

昨年12月中旬、高松の施設開設に伴う個別相談会に、遠く関西からお母様とお友達がご相談にお出でになられました。ご様子を見せて頂き、2時間程ご家庭での支援方法等をお話し、家庭療育といった方法での取組み方をお伝えさせて頂きました。


今年最初にみつけたタンポポです。諦めずに探すと宝物はみつかります。

自閉症スペクトラムの中におられ、言語の遅れを伴い全体的にはB2との判定を受けられたとの事で、現在年少さんですが、言語は2歳に達しておられず、運動能力は3歳を超えてはいるものの、トータル的には2歳になったとこくらいという診断をされたとの事でした。

1回の検査で落胆する必要性はない。


様々な療育施設や、専門の病院等でも検査をして頂けますが、お子様の性格や、その日の体調、試験官との相性等により検査結果は大きく事なります。特に言語理解が出来なければ検査そのものがなりたたない検査では、年中で平仮名を書けて、音読できても知能指数60というような結果も出てしまいます。

表出言語と、内言語の違いもあり、思っていても自分の気持ちをつたえる事が出来なかったり、表現するまでに時間がかかったり等という要因もあり、不確定要素が非常に大きいものであるとご理解頂ければ検査結果の見方も変わってこられると思います。

必要な事を話せなくても、テレビのCMを口ずさんだり、繰り返し見たDVDや、読み聞かせて頂いた絵本の一節を口にしたり、今はやりの妖怪ウオッチの踊りを踊ったりできれば内在している力は、検査の結果と乖離している場合も少なくないという事をご理解頂きたいと思います。

男の先生と、女の先生が試験をしても結果が異なりますし、若い先生と、お年の先生でも同じお子様でも結果が異なります。やさしい声の先生とそうでない声の先生でも違いますし、可愛い先生と、そうでない先生でも結果は違います。試験官のもっている雰囲気でも検査結果が異なりますので、1回の検査で落胆する必要性はないのです。

可能性を見出す事が突破口


駄目なところばかりに目を向けるほど辛い事はありません。粗探しは初段の療育指導では劇薬にこそなれ、良薬にはなりにくいと考えます。出来る事から更に出来うることを推測する方が成長につながります。

〇〇ができないから、△△も出来ないという発想が成長の芽を摘んでしまうと断言致します。◆◆出来るから、〇〇も出来るかもという思考が療育支援の中では特に大切な思考回路であると考えます。

出来る事から更に、出来そうな事を探す、スモールステップですが、着実に前進できる支援方法です。出来そうな事は繰り返し時間をかければまず出来るようになるのです。

予見できる姿は、子ども達の未来の姿です。


現在60名を超えるお友達がCOMPASSに通っておられますが、どの子ども達も将来が見通せる要素をみんな持っています。想像出来る事は、現実になるのです。一段高みにあがれば、見える景色は違うのです。一段上がるとさらに違う行く末が見えて来ます。

私達の支援では、小学校就学前のお友達の場合、約80%以上のお友達が健常と見紛うほどの成長を遂げておられます。最初にお子様の同伴を求めるのは、お子様の様子から将来の姿を垣間見る為であり、殆どのお子様の進路を大きく変更する事が現実に可能となっておられるのです。

多くの場合、お子様の成長を諦めてしまい、将来の姿が描けないままとなっておられるのです。出来ない事探しは絶対してはいけない。この事をどうかおわすれにならないで下さい。

関係を樹立して正しい視線で観察をすれば…


関西のお友達は、英語のDVDが好きで何度も見たおかげで、ちょっと英語が話せ、幼稚園の指導のおかげで漢字も読めたのです。正しい促し方をすれば、ウロウロする事なく、静かに待つ事もできたのです。

その日の面談中の観察で、ペラペラ話し、ニコニコ笑顔でお勉強に取り組む姿が見えました。そうです。今後の劇的な変化が予見できたので、お帰りになるまで、言語習得の為の取組み方をお伝えし、コミュニケーションがとれるよう第1ステップとして清音の把握と、発語、付随する単語の把握等の取組み方をお伝えし、COMPASSオリジナルの指導プリントをおわけして帰路について頂きました。

途中取り組む様子の動画や、お写真を送って頂き継続的なご家庭での取組みを行って頂きました。

7週間後大阪でお会いすると…


 

1月31日大阪医科大でダウン症の学会があり私も参加させて頂きましたので、そこで2度目のご面談をさせて頂く事ができました。初めてのキャンパスでも騒ぎ出す事もなく、静かに歩みをすすめ、施設のロビーの椅子に着座し、平仮名の音読が始まりました。

平仮名を判別し、百数十単語を読み、単文まで唱和する姿に驚く事となりました。得意満面で、うれしそうに読んでくれます。走り出したい気持ちも抑える事が出来ました。「天才君」と言われてさらに喜びは頂点に達しおもわず、お母様に抱き着いて、空の上まで駆け上りそうなほどの達成感を得る事が出来ました。

600キロ離れていても、保護者の支援で能力を開花する事ができたのです。お友達はB2ですが、この調子でいけば夏前にはB2は間違いなく外れると予想できます。今春から年中です。まだ2年ありますので、小学校進学時にどこまで成長できるか楽しみでなりません。

設定学習で基礎的なフレーミングを施し、新たな課題をお願いし、私も嬉しくてギュッと抱きしめた所、お友達が「うれしい」と声に出しました。お母様の話では生まれて初めて「嬉しい」と話たとの事でした。

遠隔地であっても、積極的にご家庭での支援を施せば、このような進歩や成長が得られるのです。これはフィクションではなく、リアル現実のお話です。新たな課題の一つは、日記の指導です。一日を振り返り、事案を想起し、整理して文章に記す。数か月後お友達の成長をお伝え出来ると確信しています。

お子様の明るい未来を、成長した進歩した姿を予想して下さい。必ずそれが現実となります。「全てを受け入れる」等という耳障りのよい妄言に騙されないで下さい。未来はご自身の手で切り拓くもので、保護者自身で立ち上がれば未来を変える事が出来るのです。