NO246.言葉遣いの大切さ…
NO246.親のマネする子ども達…
保護者心得 【言語】 【ダウン症】
子ども達を支援していくには、保護者のご理解や、ご協力が大切です。特に言語に問題を抱えている場合、平素ご家庭で使っている言葉遣いが大きな影響を及ぼすものであるとご理解頂きたいと思います。
子ども達の療育支援に対して、熱心になればなるほど、その点を保護者にもお願いする事があります。
お母さんが、ご自身の事を「私が…」というのはOKです。「うちが…」「あたしが…」というのはまだ軽い方で、地域により現在でも、「わーが…」「おれが…」と言われる事もあり、お子様の為を思って、ご注意すると、残念な事にクレームに発展するが今まで何度かありました。
母親の事を「お母さん」というのであればOKですが、「ママ」は私的には80点です。酷い場合、「〇〇ちゃん…」と言ったりしています。言語理解が乏しいお友達に使い分けが出来ると思いますか?
まず出来ません。
どこでも覚えた言葉で話します。どうかすると一生覚えた呼び方で話します。
お母さんが100点で、使い分け出来るだけの能力が備われば、外向きには「はは」と呼ばせます。「母が〇〇してくれました。」で 損をすると思われますか?否一生困らないのです。本来は、どこででも通用する言い方を身に付けなければならないのです。
丁寧語や、尊敬語もそうで、子ども達にとっては非常に難易度の高い言葉です。
ALT(外国人英語指導員)の人達の日本語指導のボランティアをした事があるのですが、多くの場合初めて日本に来られる先生はカタコトの日本語しか話せません。
発語が終わった段階から、単語そして、単文と理解を進めていきますが、その段階では日本語はぶつ切りで、丁寧語や尊敬語、謙譲語を理解するまでには、それなりの学識や経験があっても習得に時間を要します。
言語が不得意なお友達に対して、それらの違いを理解させるのはかなりの負担です。
それは使い分けが出来ないからなのです。
①水。
②お水。
③水が飲みたい。
④水を下さい。
⑤お水を下さい。
⑥お水を頂けませんか。
①から6段階あると考えておりますが、①が最低ラインです。そして私達が目指さなければならないのは⑤です。使い分けが出来るようになって⑥は覚えます。②から④は極力教えません。知らなければ使えないのです。
教えなければ使わないのです。知らなければ使えません。
園や学校で覚えてしまい、そこに行きついても補正がずっと簡単です。習慣は簡単に変えられないのです。逆に習慣になれば克服に時間がかかるのです。
覚えるべき言葉を限定して指導を実践します。前回のNO.244でも記載しましたが、1点に集中すれば格段に覚えやすくなるのです。これこそ集中の原則です。
子ども達に支援をする私達も丁寧語を意識した指導を行います。〇〇チャンと呼ばず、〇〇さんと呼んでいるのもその一環です。呼び捨てなどありえません。
子ども達にも「〇〇しましょう。」とやさしく話しかけているのは、正しい言葉遣いを習得させるためなのです。駄目と言われれば、駄目と言います。馬鹿と言えば、よそで馬鹿と言います。
やさしく話かければ、やさしく話せるようになります。激しい口調で声掛けしていれば、人にも激しい口調で語ります。全て保護者や周りの環境から影響を受けてしまいます。
関西から来ていた小さなお友達が、「アホちゃうか…」と言うのもつい笑ってしまいます。広島から来た男の子が4歳で「わしが…」というのも環境のせいです。
小さいから誰しも笑ってすましますが、大人になって同じ事を言っていると、周りからどう思われるでしょうか?
丁寧語を身に付けていれば、将来成長した段階で決して困る事はありません。
成人して「〇〇頂戴…」と言わせますか?
〇〇くれ~等と言って、世の中まかりとおると思われますか?損をするのはお子様なのです。ご苦労されるのはご本人とその時の保護責任者です。
私も地方出身ですので、それなりに方言が身についていましたが、意識して標準語を話す様にしています。修行が足りませんので、興奮するとポロッと出てしまうのですが、悪い言葉に限って子ども達はすぐに覚えてしまい、反省ばかりしています。
すぐに直せと言っているわけではありません。私も完璧ではありません。でも意識して話す事が大切なのです。
お子様にとって保護者は大切なモデルなのです。ご兄弟も含めご家族が使われている言葉はお子様にとってとても重要な要素なのです。
意識して正しい言葉遣いを実践されて下さい。そうする事で必ず将来お子様にとってプラスになる日が訪れます。
どこでも覚えた言葉で話します。どうかすると一生覚えた呼び方で話します。