NO265.成長したら無理なのか…学齢の高い保護者の皆様へ
NO265.時間を味方に付ける事
保護者心得 【言語】 【ダウン症】 【自閉】 【LD】 【多動】 【注意欠陥】
前回のNO264の対案として別な観点から成長されたお友達の支援を考えます。
ある研究では成人した後でも、海馬は成長し続けるという報告があります。この説は、既に多くの学術論文も発表されており、実証例も複数あげられています。
成長した後でも適切な刺激や訓練、学習を施す事で、能力を補完する事が不可能ではないという説も存在します。
また、脳内を何らかの問題(脳梗塞・くも膜下出血・頭蓋骨損傷等)で損傷した場合、多くの場合、様々な麻痺がおこりますが、適切なリハビリを施せば周囲の部位が働きを代行したり、脳内伝達を迂回させ、動かす事が出来なかった部位が回復する事例も山のように報告されており、これこそ学齢が高くなった方々への朗報で、支援方法の取組み方により、少しでも問題解決出来る希望に繋がると予見できるのです。
本日もお出でになりましたが、15歳前後のお友達も沢山ご相談に来られ、それぞれご様子を拝見しながらアドバイスをさせて頂いているのですが、そこでお伝えするのは…
時間を味方に付ける事
仮に現在言語遅滞の16歳とお友達と仮定します。
私達の経験則では、使えたはずの能力を使用する機会が得られなかった為に、多くの機能不全が考えられ、更に大きなストレスも抱えてしまい、二次的な問題も発生してしまっており、出来る事、出来ない事に大きな差異が生じてしまっていると仮定します。
これは絡まった糸と同様で、最初は絡まった問題を解きほぐす事から始めます。
絡まった糸を無理やりひっぱっると問題を助長するだけなのです。
この時学齢があがってしまったからと焦っては駄目なのです。焦ると全てを引きちぎり成長の芽も見失ってしまいます。
16歳であれは、通例の16歳の成長を望まれるのですが、現実が3歳前後の能力で止まっているとすれば、その精神年齢までさかのぼる事から始めなければなりません。
ワープは出来ないのです。ワープは出来ませんが、過去へはいつでも戻る事が出来るのです。
時間を味方に付けるというのは、16歳であっても3歳で止まっているのであれば、迷わず3歳、4歳の課題からスタートするのです。スキップして跳びぬかそうとするとそこで止まってしまいますから、時間を引き戻るのです。
生活年齢の5歳を経験し、6歳を過ぎていくと、今までの実体験から急激な吸収力を示す事例は少なくないのです。その段階で初めて10歳レベルにワープ出来たり、12歳レベルまでワープする事が出来るのです。
勿論、学習レベル的に直ぐにその段階に到達する事は出来ませんが、言語習得がスムースになる事で、ストレスも大幅に軽減され、見える世界が変わってくるのです。
数量関係や、金銭感覚がなかったお友達が、気軽にコンビニに買い物に1人で出かける事が出来る様になるのです。
1人で学校に行けなかったお友達が、1人で登校できるようになるのです。誰にも迷惑をかけず、行動出来る力を得る事は不可能ではありません。
洗濯をし、掃除を覚えたり、料理を覚えたり、軽微な仕事に従事できるようになれば、保護者の心配も半減する事が出来るのです。
時間を味方にするという事は更なる進歩も獲得出来ます。
学力も一足飛びに進める事例は少なくなりますが、本来5年かかる内容も、時間を味方につければ、10年で出来るようになったり、15年で出来るようになったりするのです。
18歳でようやく10歳に、20歳で12歳に、25歳で16歳に、この辺りまでくれば自立して生活する事が不可能ではなくなります。
諦めてしまえば、20歳でも生活年齢は3歳であり、25歳でも3歳であり、30歳でも3歳のままです。時間を味方に付ける事は長い視点の中で子ども達を見守る力を得る事なのです。
それぞれの保護者によってその目標も違ってきますが、学齢が高くなっても諦める必要性はないのです。
今から始めれば良いのです。1日でも早く取り組めば、獲得出来る時間も短縮され、獲得出来る成長もより高い物になるとお考え下さい。
途切れたように見えても、道は続いているのです。引き潮になると新たな道が現れるのですから…