NO309.卵が先か… (加筆)
NO309.指導者の質の技術か…
せっかく慣れた指導員が辞められて…というようなご相談がありました。辞めたのではなくコンパスの別な施設に応援に移動しただけでした。
私共の9事業所の指導スタッフは現在約100名となっており、正職員がおよそ半数で残りの方々は、非常勤職員となっております。各施設8名から多いところでは14名体制で支援活動を行っております。
昨年1年間で100名の職員の中で、COMPASSの正職員で退職された方は2名で内1名は病気治療でした。
3カ月の試用期間中辞職された方が3名、2か月以上勤められた非常勤職員の方は1名となっており、他の先生は、退職ではなく全て新たな施設開設による移動です。
私達は昭和61年に創設され今年で30周年を迎えますが、私を含め立ち上げから在籍する勤続30年の者が2名、20年以上の者が4名、10年以上の職員が8名、5年以上が6名、その他80名が3年以内の職員で構成されており、これは私共が急激に施設展開しているからに他なりません。
先日の研修風景
一口に30年といっても、二十歳の子供が50歳のベテランになる年月で、25年の四半世紀を超えるまでに寿退社は10名を超え、一緒に頑張った年配の職員で死別した先生方も少なくありません。
私達のコアメンバーは、同じ目標に向かって支えあった同志の集まりで、現在もトップの執行役員が75歳、現場の管理者も70歳OVERもおられます。60歳以上のベテラン職員も全体の20%を占めており、立ち上がりの問題もあり、本部にベテランが多いのが特徴です。キャリア30年以上のベテランで、40年以上のツワモノも少なくありません。
※本部の平均年齢が高いといわれるのは発祥の地の為ですが、生え抜きを育てるために新卒の雇用も試みている最中です。
3年未満の80名の職員の8割が今までの関係者の知人友人で構成されており、人柄も技術も価値観も折り紙つきなのです。残りの2割の職員は、どんな方が応募して来て頂けるか、運を天に任せる他ないのが実情で、子供たちと向き合う中で共に未来に進めるか否か判断させて頂いております。
試用期間は3ヶ月となっており、子供たちに対しての対応や、指導に問題がないかどうかを見極めるよう配慮しています。暴言を吐いたり、無責任だったり、乱雑であったり、中には極度の不注意であったり、虚言癖のある方などは職員としては不適切です。
一見とても良い方に見えても、中には驚くような方もおられます。2週間の法定試用期間中で3日しか出勤されなかった人、遅刻ばかりする人、嘘ばかりつく人等、今まで考えられないような驚く事が何度もあった1年でした。
安心して子供たちを預ける事が出来る方、お願いした事を実施して頂ける先生を短期間に確保する事は実に難しい試みでもあり、悩み多い所でもありますが、進歩的な子供の成長を信じて任せる事が出来る方を探し求めるのも大切な要素である事もご理解頂きたいたいと思います。
施設開設が先か、職員を育てるのが先か
毎月のように、開設依頼を頂き、私達も出来るだけ多くの子供たちの支援が出来るよう目指しております。複数の施設展開をするにあたっては、どのような手法が効率的、効果的か模索を続けた1年でもありました。
最初は、職員のスキルを十分あげてから、施設開設を行うようにする手法をとりました。そうすると技術移転はより確実なものとなったのですが、次の施設開設するまでの時間が大幅にかかってしまいました。
次に時間を圧縮する為に、1拠点での集中研修した上で、スキルアップした職員を別施設の責任者として転勤してもらうという手段を実施しましたが、この時に一部の方から慣れた先生が別な施設に移ってしまうという問題も同時に発生し別なジレンマに陥る事となりました。
子どもが好きだから良い先生か?
好きだから良いというのは間違いです。技術がなくても、子どもの好きなように遊ばせ、好きに行動させ、何をしても叱らず、好きなおやつを与えていれば、それは好きな先生になりえますが、果たしてそれでよいでしょうか?
問題を解決しようとする時、人は何かを諦めなければならない。
諦めきれない時、執着してしまうと、物事は前に進まず、思う成果は得られない。
私の恩師の言葉です。
発語が出ないお友達に、繰り返し、繰り返し発声の練習をするのは辛い事です。
文字認識が出来なかったり、書き写す事が出来ないお友達に、叱咤激励し促す事も辛い指導です。
一山超えたとき、そこに達成感や、満足感、学習意欲という宝物があるのです。
甘い指導、見守りだけ、遊ばせ好きに行動させる支援は私達の目指す所ではありません。
遊びに拘ったり、別な執着は成長を大幅に疎外します。
慣れるのは大切な事ですが、人に慣れるだけでは困るのです。
誰の指示でも守る事が出来るようにならねばなりません。
対人恐怖症のお友達もおられますが、限られた職員だけの支援では、その枠を超える事はできません。一生その子の半径は変わらず、人と関わりが持てないままとなってしまいます。
知らない人に出会うと、緊張から、過呼吸うになったり、ふさぎ込んだりと嫌がっても、知らない人に会わなければ、恐怖症収まりません。諦める事も大切なのです。
私達もいくらでも、甘くすることはできますが、それでは将来困るのです。
今泣くとうるさいから、ぐずると面倒だからの対処を良しと致しません。
やさしくもと、毅然とした指導が必要なのです。
なので障がい児保育のベテランの先生であったも、指導方法、支援の流が異なり戸惑われる事もあります。中には、可哀そうと辞される方もおられます。
今しか見られてないから、その後の事を見通せないからそんな発想になると考えます。
今好きな事をさせていても、将来ずっと問題を抱え続け、本人も、家族も苦境に陥る事を考えていない発想です。成長したら解決できるのであればだれも苦労しません。
ベテランだからこそ、硬軟取り入れた支援が可能であり、トークン(ご褒美)だけに頼らず、社会性を備えた支援が必要です。
子どもが苦手でも成長を促せる先生である事が第1であると考えます。
好かれるに越した事はないのですが、一山超え、成長を一緒に獲得できれば、大切な先生になりえます。
1年スパンか3ヶ月スパンか
保育園でも、幼稚園でも、学校でも、入学があれば、卒業も必要です。
1年のスパンは子ども達にとっては、非常に長いもので、四半期に分けて、環境を一部動かすと一瞬戸惑いますが、新たな刺激により、成長も加速するというデーターも出ています。子供たちの成長はめまぐるしいのです。
ずっと支援をすると互いに愛情を育み、安心した関係が続きますが、私達を踏み越えていく事が出来なければ、将来困るのはお友達です。一番多感なこの時期に、出来る限り必要な支援を継続的に行う事も大切であるとご理解頂きたいと思います。
慣れてしまうと、甘えが生じます。
可愛いあまり、許容範囲が広がる事もあります。
ですから、小学校でも幼稚園や保育園でも先生が基本的に入れ替わっているのです。
互いに気を引き締める事が大切です。
全てに当てはまる事ではありませんが、大人の1年と子ども達の1年の感覚の差は非常に大きな物であると事をご承知おき頂ければと思います。
卵が先か、鶏が先か
悩みに悩みましたが、私達は、「始める事が先決ではないか」という結論に至り、1施設に絞り込まず、施設展開の道を選びました。
議論を重ね、タイムラグとその間で支援出来うるお友達の絶対数の観点からこのような結論に達しております。
そして其々の施設を起点に次の施設展開が出来るよう、増員し、スキルアップできた段階で新たな施設開設に移行するよう玉突き方式がとれるよう改善し、現在新たな取り組みが進んででおります。
COMPASS熊本のような、飛び地の施設開設とは別に、施設間の距離も出来るだけ近くに設定し、いつでも大好きな先生に会う事が出来るよう考慮した取り組み準備も行っており、試験的に近郊で支援を行う為の第2施設の開設準備も始まっており、施設の併用が出来るような取り組みも行っております。
見える化でさらにスキルアップ
昨年末から、COMPASS本部と各施設を繋ぐネット化も進めており、ネット会議システムを導入してのスキルアップにも取り組んでおり、現在研修動画の作成も順次行っておりタイトル数も増え続けております。
人口呼吸の特別研修
見える化に関しては、ネット環境を整え、パソコンを整備し使い方を指導しながら進めております。通例業務におされて、通信を忘れていたり、パソコンが壊れたりと現在様々な経験を積みながら、試行錯誤を繰り返しています。
カメラもいろいろな種類を試し、広角カメラにようやくたどり着きました。マイクも雑音を抑えられる物もみつかりそうで、スピードを変化させないケーブルや、ルーターも専門家からアドバイスを頂いて離れていても即座にアドバイス出来るような環境が整いつつあります。
見える化が整えば、大好きな先生にも毎日逢える事も可能となり、様々な使い方が出来るのではと考えております。
指導力向上は次の段階へ
各施設はそれぞれ現状の精一杯の支援を行っております。施設に慣れること、学習への継続的な取り組みも始まり、発語を覚え、社会認知性を獲得する。ポジショニングが行われ、指示を通すようになり、学習体制が整えば第1段階が終了ですが、これが全てではありません。
これから旧来型の指導から脱却し、より高みに至る為の第2ステージが始まります。物事には基礎があり、応用、発展があるように、それぞれの指導にはグレードがあります。
竹を曲げようといきなり力を加えれば、割れてしまいますが、徐々に時間をかければ思う方向へ成長させる事が可能です。
春に向け、子供たちの成長をより促す為の、支援スキルの向上を目指しより質の高い支援を目指し続けております。
良い指導、良い取り組みを共有できるようにするには、やって見せる事が最も即効性のある対応で、研修動画で全て理解できるわけでもありません。人的交流も大切で、3年間で交通事故は幸い3件と少な目ではありましたが、何かが起こった時のリカバリーも必要で施設運営上のリスクヘッジを行わねばなりません。
保護者を知り、状態を把握し、職員が長期病欠になっても対応できるように準備する事も必要で、そのための人的移動も必然となっておりますのは、今までの経験則からきているものです。管理者は少なくとも2か所の子ども達の性格、家庭環境、送迎先を含めて理解できいており、何があっても大丈夫な状況を構築しています。
昨年のクリスマスイベントには保護者を含め80余名が集いました。
支援にあたって、地域性も大きな要素になっています。大分のCOMPASS中津や、吉富では、地方ならではの、課外活動や、地域を巻き込んでのイベントも行っておりますが、一部地域に限定されております。
終日支援を希望される地域もあれば、幼稚園や、保育園を併用した中で、降園後の限られた時間での支援を希望される地域もございます。自閉症の多い施設、言語課題の多い地域、重い障がいのお友達が多い施設、小さなお友達ばかり来られる施設、小中学生が多い施設、施設の大きさも大型から半分以下の広さしかない所、基軸となる支援方法は同じでも、施設環境と、お友達の傾向と、支援メンバーの得意分野の差により支援方法に違いがあるのは、小学校が同じ教科書を使っていても、差異やそれぞれの特徴が生まれる事と同様であるとご理解頂ければと思います。
檀上はすべて指導スタッフです。
コンビニではありませんが、出来うる限り同様のサービスを目指しておりますが、取り巻く環境や、人員の得意分野の違いなどにより個性が生まれる事もご理解頂ければ何よりです。