NO.337 療育効果の違いは…

NO.337 支援機会が異なれば、成長にも違いが…集中の原則
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一歩一歩進むしか、たどり着く方法はないのです。近道は出来ません。


この度約1年通われていたお友達の、知能検査があり生活年齢を、精神年齢が凌駕する事ができ、めでたくCOMPASS卒業、受給者証返納される事となりました。

 このような事はCOMPASSでは決して珍しい事ではなく、例年沢山のお友達が成長を獲得され返納されており、昨年もCOMPASS本部だけでも、7名のお友達が返納されております。

 前出のお友達と、同時期に、同じ問題を抱えたお友達が今も通所されているのですが、残念ながらその成長成果は大きくかけ離れています。

成長の違いは何が原因でしょう。

お二人の家庭環境はほぼ同様でした。それぞれお母様もお仕事を持たれており、おおよそご家庭でお子様と関わるお時間は同じです。

症状はお二人とも言語遅滞で、学齢も同様で、体格差も殆ど変りません。家族構成も同様です。※詳細に関しては個人情報を配慮し省かせて頂きます。

基本的に、それぞれのご両親は、とても熱心な方々です。

本当に何が問題なのでしょう?

今回受給者証返納された方をAさん。
現在も通われている方をBさんとします。

Aさんは、当初月曜日から金曜日まで毎日来られ、支援を受けられました。土曜日の支援がスタートされると更に、土曜日も加え週6日来られる事となり、毎日個別療育支援を受け、日々問題を解決し、後半は飛躍的に成長を獲得し、誰が見ても大丈夫というまでに成長し、とてもお利口さんになられました。

Bさんは、以前通所されていた施設との関係もあり、最初は週1日からスタートされました。2か月目支援の違いを痛感され、週4日私共に、逆に週1日以前からの施設に通われました。4カ月が経過しかなりの成長を獲得する事が出来ました。この調子でと思っておりましたら、寒くなる頃、成長に安心しきったご両親が、運動をさせたいと、運動系の支援施設と、習い事を始められ、通所日数が半分になりました。そして春先には、英会話をとの事で、とうとう週1回来られるだけになりました。

果たしてお友達はどうなられたと思われますか?

残念ながら、逆戻りされてしまいました。平仮名の理解を示し、言葉もほぼ読めるようになり、発語も2語文、そして3語文まで到達する事が出来たにも関わらず、直ぐに使う言葉遣いが悪くなり、「僕」から「俺」に、言葉を注意されると、周りはそんな感じだからと放置され、2語文も単語に減り、平仮名も未定着から、激減し、一度覚えたと本人も思っていた事が、間違いが多くなり、自信を無くしそして逆戻りされてしまいすっかり成長成果も失ってしまわれました。※本記事記載にあたって、それぞれの了解は頂いております。

何度もご注意さしあげていたのですが、ようやく周りのお友達との落差に気付かれ、日々の予定を整理され、現在、気持ちを切り替えて療育に励んでおられます。

期間が同じでも、支援機会が少なければ成果は少なくなります。

坂道を一歩一歩登るのが療育支援です。

坂道ですので、ほっとけばずるずると下に落ちてしまいます。

学齢にもよりますが、週6回のお友達Aさんと、週3回Bさん、週1回のお友達Cさんを比べるとその差に違いが出る事を論理的に説明させて頂きます。

Aさん・Bさん・Cさんはそれぞれ同じ実力で、同じ程度の力があり、同じ程度に忘れてしまうと仮定しお話致します。

1日で覚える力を50 1日あたりの忘却率は20%とします。
ですから1日目に50覚えた事は、何もしなければ、2日目には40に減ります。

3日目には32 
4日目には25.6
5日目には20.4(ここから小数第2位は切り捨て)
6日目には16.3
7日目には13となります。
8日目には10.4 
9日目には8.3 
10日目に6.6
11日目に5.2
12日目に4.1
13日目に3.2
14日目に2.5
15日目に2 
16日目に1.6
17日目に1.2
18日目に0.9
19日目に0.7
20日目で0.5
21日目で0.4
22日目に0.3
23日目で0.2
24日目で0.1
※小数第2位以降は切り捨てで、25日目で0になります。
これはあくまで平均的忘却率ですので、苦手な事等になったり、不快感が強いともっと強烈に忘れます。 

では推論を進めます。


1日目 月曜日
Aさん BさんCさんそれぞれ3時間の支援で、50の力を得ましたが、


2日目 火曜日
Aさんは、いったん40になりますが、指導を受けて90になります。
Bさん、Cさんはそれぞれ40に落ちてしまいます。


3日目 水曜日
Aさんは、72に落ちていますが、指導後122に上昇します。
Bさんは、32になりますが、指導を受けて82に上昇。
Cさんは32になってしまいます。


4日目 木曜日
Aさんは97.6に落ちていますが、147.6にまで上昇します。
Bさんは65.6におちてしまい、Cさんは25.6に落ち込みます。


5日目 金曜日
Aさんは、118に落ちますが指導後168に上昇
Bさんは、52.4にまでおちますが、支援を受けて102.4に上昇
Cさんは、さらに落ち込み20.4に


6日目 土曜日
Aさんは、134.4になりますが、184.4にまで成長
Bさんは、81.9に落ち込み、さらにCさんは、16.3に


7日目 日曜日COMPASSはお休みですので、
Aさんは147.5  Bさん65.5  Cさん13
週1回というのは、何もご家庭で支援しなければ、8日目まで忘れ続けるということなのです。

そしてようやく待ちに待った月曜日の8日目です。
Aさんは、118に落ち込みますが、168に上昇
Bさんは、52.4に落ち込みますが、102.4に復活
Cさんは、10.4にまで落ち込みますが、60.4になります。
AさんとCさんの差は2.7倍つまり約3倍です。
何かで休んでしまうと大幅に減退します。

数字ではこのようになりますが、Cさんの場合ほぼ最初からやり直しです。学齢にもよりますが、精神年齢が幼ければ幼い程、ともすれば指導者とのポジショニングからスタートし、人間関係構築からやり直しで、精神的にもくじけてしまいます。

これを距離で考えると、Cさんは、同じ所を何度も何度も繰り返し通る事となり、次第にやる気が無くなり、成長の芽が枯れてしまう場合も少なくないのです。

成長の機会は常に訪れますが、その進捗は学齢により低減してしまいます。今しなければならない事を決して間違えないで下さい。

運動機能に大きな問題があれば、作業療法等の支援が必要です。これは紛れもない事実ではあるのですが、運動機能はほぼ正常ならば、プロの運動選手に育てるのでないかぎり、しっかりと言語能力を習得すべきなのです。

何をおいても、「語彙能力」を養い、
考える力を獲得するべきなのです。

言語習得が山半ばの場合、英語を学ぶのは早計であり、言語的混乱を招くばかりです。
※ちなみに私が大好きで、英語の指導免許に関しては、小学校では県内でも一番早く取得していますが、適切な時期を選んで頂きたいと思っているだけなのです。

ソウシャルスキルを身に着けようとしても、その意味を把握しなければ、「きちんと」という意味がわからなければ、「ちゃんとしなさい。」と言われてもその行動の本質を理解する事はかなり難しい事となるのです。

言葉があやふやなのは、土台がゆるゆるであるのと同様です。

その上にいくら立派なお城を建てても、その城は傾くか、崩壊してしまうとご理解下さい。

能力獲得には、集中する事
集中する時期が大切です

力を分散せず。集中して下さい。

集中のその向こうに成長が待っています。迷った時は、どうぞCOMPASSにお出で下さい。ご一緒に考え、お子様の進むべき正しい道へお導き致します。