NO.368 実験心理学から…

NO.368 ニコニコしていれば…
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COMPASSでは極力明るく、元気に、そして笑顔でお友達をお迎えするようにお願いしています。それは何故なのか…

1880年台までは 人は感情が行動を支配すると考えられており、現在に至るまでその考えの根源的な物は日常生活においては100年以上前と同様ではないかと感じます。

COMPASSでは「おはよう」「こんにちわ」と朝から明るい笑顔で子ども達をお迎えするのですが、この明るさや笑顔は子ども達の療育支援にとってはとても大切な指導要因の一つと捉えています。

嘗ては心理学は、目に捉える事の出来ない不確かな学問という捉え方もされていましたが、今現在は、様々な検査機器も進み、様々な角度から私達の行動原則を推察する事が可能となっています。

その中で、原因と結果と仮定は逆なのではないかと考えた研究者もあらわれ、それらの考えの証左が徐々に証明されつつあるのが事実です。

緊張し、汗が出たから不安になったのではなく、汗が出たのを、脳そのものが不安だからだと認識するという考え方です。

男女の友人同士が、ジェットコースター等に一緒に乗った事により、ドキドキした事で、それは恋のときめきではないかと勘違いして好きになってしまったり等という話は一度は耳にした事があると思います。

脳内には様々な電気信号が流れており、全てが原因と結果が結びついて起こり得た事ではないという事が証明されつつあります。

つまり、幸せだから笑うのではなく、「笑っているから」→「幸せ」 なのかもしれないという考え方です。
自己啓発等でよく言われていた
「幸せそうにふるまう事で、幸せになる。」
成功したければ、成功したようにふるまう事で成功する。
という考え方もあながち間違えていたのではないようなのです。

私達の療育支援は、日々達成困難な事に対してのチャレンジの繰り返しです。
楽しい事ばかりではありません。
出来ずに、立ち止まる事もしばしばです。

でも、ここに「笑顔」と「明るさ」そして「元気」に「やさしさ」が加わると、子ども達の中に化学変化が起きるのです。

ご家庭での指導ではどうしても、親と子の肉親の関係から、出来ないという感情が先走り、時に怖い顔で、暗い表情で、声音をおとしたり、ため息をついたり、語気をあらげたりしてしまうのですが、私達支援者は、時に第3者の目線で、その感情を極力殺して接しています。

「もう一回」という指示も
ニコニコしながら勧めるのと、強面でやらせるのではおのずと結果は事なります。

時に強面で接しなければならない時もありますが、きちんとしたポジショニング(NO16.畏怖の心 NO41.おしくら饅頭で勝ちましょう NO92.ボス猿で在る事…)が整っていれば、ニコニコ笑顔で支援する事が出来るのです。

まず、笑顔で接する事から始めて下さい。
「〇〇ちゃん、今日も頑張ろうね。」
「大丈夫、出来るよ。」
少しでも出来たら、それを見逃さず
「やったね。バンザイ。ママうれしいよ。」とよしよし

子ども達はお母さんや、お父さんの笑顔が見たいから頑張っているのです。
一番信頼している人、一番好きな人に笑顔で褒められること。
出来なくても、落胆した様子を見せず。
「大丈夫…もう1回」
出来なくても
「明日も頑張ろう。」
この繰り返しが奇跡を起こすのです。

苦虫をかみつぶしたお顔では出来るものも出来なくなってしまいます。

私は、よくご家庭で指導している机の前に「鏡を置いてみて下さい。」とお願いする事があるのですが、「ニコニコしながら指導するためのスキームの一つです。」

恐ろし気な顔をしていないか、暗くため息をついていないか…
少ししか出来なくても、ケラケラ笑い出す事もあるのですが、その後は不思議と課題を達成する事が出来るのです。

楽しいから出来る。
笑顔だから出来る。

この事を忘れずにお取組み頂ければきっと良い結果を得る事が出来ると思います。
右に寄りすぎても、左に寄りすぎても良い支援は出来ません。
何事も中庸が大切です。

ニコニコしながらでも、押し競饅頭は出来ますし、嫌な事も笑顔でもう1回と促す事も出来るのです。

笑顔でいると、幸せを感じる事が本当に出来るのであれば、辛い事取り組みを少しでも緩和させ、楽しい取り組みに変える事が出来るよう、まずはご家族から笑顔で接してみて下さい。

私もいろんな失敗をよくやらかしてしまうのですが、しっかり謝った後は、ひたすら笑顔でニコニコしながら接するよう心掛けています。笑顔は最高の武器であり、最高の円滑剤です。家族が皆笑顔であれば、困難も乗り越えていけるのです。

障がい支援に関わる中で、沢山の素敵な方々とお出会いしましたが、皆様笑顔なのです。自殺を考えたり、言うに言われぬ困難を抱えておられても、笑顔でおられると、とても素敵で、幸せそうに感じ、実際に最大限の幸せを獲得されているように感じます。

まずは、笑顔で接してみて下さい。
その魔法は必ず、お子様とご家族を幸せにしてくれると信じます。