NO77.モデリングの大切さ

モデリングの大切さ

同一カテゴリーの、「模倣の大切さ」で少しお話さしあげましたが、もう少し掘り下げたお話をさせて頂きたいと思います。

モデリングとは、検索するとIT用語等でしばしば使われる言葉ですが、個々では「まねる事、模倣する事、見本の提示、環境の付与、憧れ、自己投影」までを含めた言葉としてご説明させて頂きたいと思います。

行動をまねる、

いつのまにか、保護者と同じような態度行動をとるのは、身近なモデリングの一つです。椅子に座り方、話し方、食事の仕方、顔の洗い方、靴の脱ぎ方まで、学齢が高くなればなるほど顕著に保護者からモデリングされた行動がうかがえます。口癖や、声掛けまでまねをしますから、兄弟等で学齢が上の家族が乱暴な言葉遣いをすると、おもしろがってすぐにまねをします。お爺さんが、母親の事を名前で読んだりしているとそれをまねてしまいます。従って、保護者や、家族はまねされても良い態度や会話が必要となります。

まねるための前提条件

まず、子ども達が正しく模倣出来ると、周りが喜ぶ(反応してあげる)事が最も大切です。何かしても反応がなく、適切な刺激が与えてあげられないと、心の闇に取り込まれてしまったのではないかと思われるような時もあります。泣いたら、あやす、泣いたら何があったのか確認するとい事が大変ですが、本当に必要な事となります。お漏らしをしても、放置され続けたお友達や、泣いていても放置されていると、心を閉ざし、表情が硬化し、笑顔を忘れます。

「小さいとき手がかからなかった…」は喜んでよい事ではありません。逆にしっかりと刺激を与える事が重要で、意識的な働きかけも必要となります。

会話はモデリングの最たるもので、言語習得の基礎となります。まねる事が出来なければ、発語する事が、非常に困難となってしまいます。会話のモデリングには聞く力、見る力が大変重要な要素で、特に聴力に関しては注意が必要です。

右の耳は聞こえていたのに、左の耳の音の感知レベルが低い音は聞こえても、高い音が聞こえず困られたとい実例もございます。反応はするので、心配していなかった子が、実はほとんど聞こえていなかったという実例もあります。補聴器をつけたり、大きな声で指示をしたり、聞こえる方から話したりする事によって模倣が容易くなり言語獲得がスムースになったという事例は沢山あります。

理想のモデルが大切

「じっとしなさい。」多動症のお友達にいくら言っても保護者や、園の先生のいう事をきかなかったお友達で、担当者も手をやいておりました。そこである日静かに待つ訓練を受けた2学齢上の年長のお友達50名が静かに着座している部屋に対象のお友達を招き入れた事があります。

果たして…

モデリングがはじまったのです。静かに、着座し、きちんとした態度、行動がとれたのです。良い見本を見せる事は非常に効果的だと裏付ける事案でした。その出来事を契機として、態度行動に抑制が出来るようになり、現在は年中ですが高い能力を示しています。勿論普通クラスへ進学も決まっています。

言語障害の強いお友達で、まだ十分に発語もできず、気持ちが乗らない時には、保護者や、教師と「心理的おしくらまんじゅう」をしていたという女児を、はやり2学齢上の年長の年長のお姉さんたちばかりのクラスを見学させた事がありますが、どこ子も、先生の指示にしたがって、日記を上手に読んだり課題に取り組む姿を見せていくと、やはりモデリングが始まり、先生の指示に素直に従えるように成長したという事例があります。

特に、衝動行動があるお友達、多動傾向の強いお友達、大人の指示に従えないお友達に対しては、非常に効果的です。従って受け入れて頂けるのであれば、幼稚園や、保育園の活動も大切で、特に縦割り教育を実践されている園活動は大変有効で、療育的な効果も非常に高いと考えます。お兄ちゃんや、お姉さんに憧れてついて回ります。マネをするのです。問題行動が激減します。

良いお手本を見せる事、良いお手本に囲まれる事は不可欠です。憧れる気持ちから、自分でも出来ると感じ、そうする事が正しいと感じる事は大変重要です。「百聞は一見にしかず」なのです。

では逆に考えると、暴れるお友達ばかりいるお部屋に入ると、暴れるようになる???????

どう思われますか???

その場の価値観に影響を受けるのが人間です。

それは私達大人でも一緒です。

どうぞ大切なお子様に正しいモデリング出来る環境を与えてあげて下さい。