NO76.療育期間がひらき過ぎると…

療育期間がひらき過ぎると…

療育効果は激減します。

療育支援を行うに際して私共でも「個別療育計画」を策定致しますが、

①距離の問題

②お仕事の都合

の為に毎週定期的に通所出来ない場合、お子様の状態並びに、ご家庭の療育状況にも左右されますが、少なくともご家庭での取組みが不十分ですと、療育効果を実感頂く事は非常に困難です。

残念ですが奇跡は起こりません。

また、精神年齢にもよりますが、幼ければ幼いほど、成果は得にくいとご理解下さい。

毎日支援していても難しいのです。期間がひらいて、渡した課題も全く手つかずで、進歩があるわけがありません。

記憶がうつろで、少し前の事も忘却しているような場合は、先生の顔も正確に認識できず、人間関係の樹立からスタートしなおさなくては、ならなくなる場合も少なくありません。

ご家庭で何もしなくて、通所日数も少なく、いったい何が得られるというのでしょう。

私共に来ていれば、何とかなるだろうと勘違いされても困ります。

例えば1ヶ月に2回、1年で24回通所される方と、毎月20日通所される方の成果が同じという事はありません。通例の場合、毎月20日通所されている方と同じ効果を期待されても困ります。無理です。不可能です。

毎日連日で通所されると、年間で240日、しっかり4時間指導させて頂ければ年間に960時間私共専門のスタッフに指導を受けて頂ける事となります。週に1回で月4回、年間48回、毎日来られている方の2ヶ月分です。療育結果が同じであると思われるのは如何なものかと考えます。

年間240回通所されたA君と、年間48回来られたB君、ご都合で2週間に1回の年間24回のC君が、それぞれ同じ特性(注AD/HDの広汎性自閉症で、発語も少なく言語と心理の支援を得ていたと仮定します。)で、それぞれ同じ生活年齢で、それぞれ年中の5月から年長の5月までご支援させて頂いたと仮定し、条件付けの為に、A君は年長の5月時点で普通学級へ進学が出来るほどに成長したと条件付けしますと、B君はこの時点では、知能的な進歩は若干得られても、多動傾向は依然おさまらず、嫌な事は泣いてごまかし、保護者が焦られる…というお姿が予想され、C君は、何ら変化が得られぬばかりか、他害行動も出始め、普通学級への進学は無理と診断され、退園を促され1年前より問題が大きくなってしまわれるという事が予見できます。(それぞれのご家庭は忙しく家庭療育時間は無しとします。)

当初は同じ状況であった3名が、1年経つとこれほどの差が生じる可能性あると何方も否定できないと思います。悲しい現実ですが、これが事実だと思います。

ご両親が起こす奇跡

1ヶ月から2か月に1回の通所で改善に向かわれるのは、ご両親が、私共のお願いした通りに毎日ご家庭で療育実践されている事例しか進歩は得られません。ご両親ご自身で何とか成長させようという気迫で、問題を乗り越えられたのです。

通所されるときは、ご家庭での指導方針や指導手法の勉強に来られているのです。私共は、成長されたご様子をみて、適切なテキストや対処方法をご指導させて頂いており、通所は検査、判定に近いご支援内容となります。

保護者自身が療育支援者になる気迫を持って来られています。

毎日ご家庭でしっかりと療育指導に取り組んでおられるので、私達に毎日来られているのと差がないのです。上記A君と比べても、毎日されているのですから365日です。毎日指導されているので、ともするとA君以上の成果も得られる可能性が高いとご理解下さい。

何もせずして変化は得られません。支援回数が少なければ同条件では圧倒的に不利になります。その事をどうぞご理解下さい。支援回数が少ないのに、同じ成果を期待されるのは虫がよすぎです。無理なものは無理なのです。努力なくして奇跡は起こりません。

適切な支援を行うには、

①療育支援者との人間関係の樹立や、指導室に慣れるなどが最初のステップとなります。

②環境にも慣れ、信頼関係が樹立され、お子様を観察しながら支援が始まります。

療育がスタートすると

③お子様の定着力を加味しながら、

④理解できているか観察・確認します。

⑤そしてお子様の状況にあわせて、進めたり、戻したりと指導案の再構築を行います。

⑥場合によっては、指導項目や手順の見直し、付加、削除を繰り返しながら支援を進めて参ります。

非常におおざっぱに記述していますが、療育期間がひらくと、毎度①に逆戻りするケースも少なくありません。定期的な支援で、せっかく③とか④更に先に達していて、様々に成果や進歩が得られていても①に逆戻り、退行してしまうという事例も少なくありません。

通所が困難であれば、家庭で頑張って下さい。

他の施設との併用

通所困難な理由は様々ですが、一番私共が対応に困るのは、同じ悩みを抱えておられる子ども達が沢山通われている施設に通っておられる為に通所回数に制限がある場合です。

以前何度かアドバイス致しましたが、誤解を招くので、現在は一切何も申し上げておりませんし、ここでも書きませんし、混乱を招くので書けません。(全て自己判断です)

お子様の為に、何を優先されるのかは、せめて将来、決して後悔しないように、よく調べて、よ~く考えた上で、周りに流されないように、よく考えてお決め頂く事が良いと思います。

ここで申し上げられるのは

「何を優先されるのか」

「何を解決したいのか」

「どのような結果が得られるのか」

「どのような結果が期待できるのか」

「何のために通所するのか」

「何が得られるのか」

「1年後の成長予測」

を明確にされると必要な事が見えてくると思います。

物を買う時はどうでしょうか?

自動車を買うときしっかりと比べませんか?

燃費は? スタイルは? 内装は? 装備品は? 金額は?

服を買うときも、カバンを買う時も、家を買うときもしっかりと比較されると思います。

高校進学や、大学進学でもそうだと思います。

周りの評価は?とれる資格は?どのような所に就職しているのか?偏差値は?調べた上で実力を加味して進学されたと思うのですが、療育に関しては何やら別で、私共もどのようにアドバイスしてよいか最近は途方にくれており、今では誤解が怖くて何も言わないようにしています。

この記事をご覧の方は、いろいろ調べてこのページに辿りついておられると思うのですが、皆様のように、ご自身で調べて立ち向かわれる気持ちがあると良いのですが、そうでない方が本当に少なくないのが残念です。

どうぞ読者の皆様は最新の取り組みをチェックされ、出来る事であれば、しっかりとご家庭で実践してあげて下さい。成果を狙って毎日取り組まれて下さい。

最後に、出来るだけ多く支援されるとより高い効果が得られます。僻地や、山間部で、通所がままならない方が全国に沢山おられると理解しております。どうぞそれでもあきらめないで下さい。近々(7月初旬)遠隔地においての療育支援も開始予定です。最後は、ご両親しか子ども達にはおりません。でもご両親さえおられれば何とかなるのです。頑張って下さい。毎日取り組んで下さい。諦めないで下さい。