NO190.能力遅滞でも… 呼称の違い

能力遅滞のお友達のご相談もよく頂いておりますが、特別な事例(身体的は問題)を除き多くの場合、知能面の課題はその問題の多くを克服できると考えております。

初回の面談等で同様のお話をご両親にさしあげると、本当かどうなのかとても驚かれるのですが、今年も年長のお友達数3名が私共とご両親の努力により克服する事が出来ました事を報告させて頂きます。3名とも普通学級への進学が可能となりました。それまで抱えていたほぼ全ての問題を解決する力を育む事に成功し、利発に対応できる力を養う事に成功いてしております。知能的な発達も飛躍的に進み、生活年齢を精神年齢が大きく上回る事が出来ました。

男子2名、女子1名立派に成長する事ができました。現在問題の影は微塵もありません。想像を超える素晴らしい成長を遂げる事が出来ました。

能力遅滞で多くの場合問題視されているのは、

〇言っている内容がわからない。
(説明が理解出来ない。)

〇指示が通らない。
(どう動いて良いのかわからない。)
(全く違う行動をしてしまう。)
(周りの様子を確認しなければ動けない。)

〇話の内容をまとめたり、説明する事が出来ない。

〇物を覚えるのが遅い。覚えられない。
(平仮名が読めない。書けない。)
(名称を覚える事ができない。)
(言葉の意味がわからない。)

〇数を数える事ができない。

〇いつまでもぐずぐずし行動が遅い。などが課題となります。
多くの場合は、言語理解と、言語的整理能力を身に付けていくと飛躍的な成長を遂げる事が出来るようになります。

COMPASSでは20余年に渡り開発に取り組んだ特別支援用教材「えすぷり」があり、私共の指導においては、「えすぷり」を活用しながら、言語、数量、知覚の3領域に取り組む事で、問題を克服しております。

また知覚領域は、記憶、図形認識、社会常識、科学常識、空間認識、巧緻性等その指導療育は多岐にわたっており、それぞれがオリンピックの輪のように、相互作用を起こしながら考える力、判断し決断力、覚える力等様々な力の獲得につなげております。

毎日、COMPASSでもご家庭でも様々な課題に繰り返し取組み、理解し、そして覚え、出来る様になるまで支援する事で、問題を克服しているのです。

因みに理解する事と、覚えている事は違うのです。わかっても、出来るとは限りません。そして出来るようになっても、いつでも出来るような状態になるつまり力が定着できるまでには、それぞれ個人差があり、同じお友達でも、分野によって定着までの過程は異なってしまいます。

個人の特性と、家庭環境等をよく鑑みながら指導する事が大切であり、少しの成長も見逃さず正しい評価を与え、やる気を導き出しながら指導する事が問題解決の鍵となります。

単純な質問で、
「お年は幾つですか?」と言う質問と、
「何歳ですか?」と言う質問では子ども達の認識は違うのです。

何歳ですか?と問われて、4歳と言えるお友達も「お年は幾つ?」と問われて「お年」意味を解さず応える事が出来ないという事は珍しくありません。

お名前は?と尋ねるのと、氏名はと尋ねる事の違いに似ています。同様に同じ指示であっても、言い方が違っていては毎度混乱してしまいますので、それぞれ一つ一つ丁寧に説明し、理解させ、そしてその事を覚えるまで指導する事が大切な要素となります。

微細ようで、子ども達にとっては大問題なのです。こんな事を無視すると伸ばす事が出来る本来の力を発揮する事が困難になるのです。

例えば、数字にしても
「いち、にい、さん、しい…」なのか
「いち、にい、さん、よん…」なのかでは全く違うのです。
「しい」と「よん」が同じ事を表すと認識出来ない場合も多々あるのです。
これが
「いっこ、にこ、さんこ、よんこ…」でも
「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ」でも
「いっとう、にとう、さんとう、よんとう…」でも
「いっぽん、にほん、さんぼん、よんほん…」も
「ひい、ふう、みい、よ…」も全て違う事としか思えないのです。

指導は本当にデリケートなのです。
私達は、混乱のあるお友達の場合、お友達の状態にあわせて、最初は1つの言い方しか教えません。それを理解してから次に進むのです。一足飛びではないのです。素人の付け焼刃で行っている指導ではありません。

指示行動も、指示している事の意味がわかれば、どう行動するべきかわかるようになります。そのためには同じシチュエーションを何度も理解し、把握できるまで例示し模倣できるまで示す事が大切なのです。
そして10歳まで小さかったお友達が、14歳からニョキニョキ背が伸びたりするように、伸びる時期まで準備を欠かさず行うと新たな成長が発現してくるのです。
超えられないハードルは高さを下げてあげれば超えられるのです。そして1ミリでも1センチでも少しづつ高さをあげる事で、ついには克服する力を育む事が出来るのです。

ホップ・ステップ・ジャンプと高く跳びあがるためには、力をためる事が必要で、その為の手間と時間をしっかりとかけてあげて下さい。