NO220.聞こえ方も違うのです。その1

必要な音だけ聞き分ける力


NO219では視覚に関しての違いをお伝えしましたが、聞く能力にも大きな差異がございますので今回は音に関してお伝えしたいと考えます。

私達が気にならない程の音が気になる。それは私達が考える以上に大きな音としてとらえてしまうからなのです。教室で机や椅子をひきずる音、他の声の笑い声で耳を抑えてしまう等敏感に反応してしまうのです。

そのような、お友達は、よく耳を押さえるといった行動をとりますので認識しやすい事例であると思います。

最初は静かな教室で


療育施設や、学校、園での生活は騒音との戦いです。耳を押さえているのは騒音に耐えられないからです。

考えてみて下さい。大音量で耳元で音楽をかけられている状況を…頭が痛くなりませんか?それと同じ事を子ども達にしいていると考えればどうして機嫌がわるくなったり、小さく丸まってしまっているのか容易に判断できるのではないかと思います。

静けさはとても療育支援には大切です。

防音の部屋を用意する必要性はありませんが、静かな環境に身を置く事で子ども達の気持ちをまず落ち着かせる事が可能です。静かなお寺…公園…都会の喧騒から離れる事で子ども達にとっては、落ち着きを取り戻す等多くの成長を獲得する事が可能です。

あちこちで梅の花が咲き始めました。人の多い所は如何な物かと思いますが、ご家族で静かにゆったり過ごせる秘密の場所をみつけて、静かな一時を過ごす事も大切です。

ご家庭でもテレビを消して、静かな時間を共有する事で本来の姿を獲得する事も可能なのです。

森のお散歩等でも高い療育効果を得られます。静かな時間を作ってください。子ども達にも心の安寧、安らぎの場所が必要なのです。

テレビのスイッチはどうぞ消して徐々にテレビを見ない生活に移行頂ければ、獲得出来る物は格段に増えて来ると思います。

※見せたいテレビは、録画して早朝に見せましょう。強い光を浴びる事はマイナスこそあれ子ども達にとってプラス事項はありません。早起きのモチベーションも高くなりますのでどうぞお試しください。

聴覚過敏のお友達には


喧騒の中では、静寂が最大の精神安定剤に変わります。

本日もご相談がありました。保護者の方から許可を頂きましたのでご紹介さしあげます。

幼稚園のお友達で、クラスでの園生活は大丈夫ですが、発表会や、紙芝居等で拍子木を打ったり、工事の音が極度に苦手だったり、クラクションや機械音が大嫌いなお友達がおられます。

私達も黒板を爪でひっかくような音や、大きな低音をきくとゾクゾクするような嫌な音であるように、聴覚過敏のお友達にとっては、平素私達がきにならない音でゾクゾクしたり、強い嫌悪感を受けてしまうのです。

そんな時は迷わず
音を消す。
その場から離れる。
耳を塞ぐ。
ヘッドホン等で音を遮断する。

無理強いは駄目なのです。まず解決の手段を教える事で対応力を育む事が自立に繋がります。

気をつけなければならないのは、誤った認識をさせる事で、ちょっと音がしたら、怖がってみせる、その様子が女の子らしいと勘違いしていたり、周りがびっくりする事を望んでの行動もありえますので十分な観察は必要です。

生活音が苦手な場合は、耳鼻咽喉科等を受診され対応方法を模索され、専門のお医者様にご相談頂ければと思います。

苦手な音は人によっても違います。


私共のスタッフの中にも、時計のカチッ カチッという音が苦手な方も実際におられます。静かな教室で、そのカチッ カチッという音がイライラ呼び込むそうなので、デジタルにしたり、無音の物に代えたりして対応をとっています。

逆に何年も連れ添ったご夫婦で、ご主人のいびきが凄くても全く気にならないような方もおられ、これは不必要な音に対してフィルターを上手にかけておられる事例であれば散ご想像にたやすいと思います。

必要な音と必要でない音


私の愛猫のアーちゃんは、私の足音が聞こえると玄関までお迎えに来てくれます。食事の支度の時に、鰹節をちょっとでも削るといつのまにやら足元に来ています。カサッと音がしただけで、おやつを袋から取り出したと判断して飛んできます。でも祖父母が玄関に立ってもお迎えは致しません。

久しぶりに先般大学の学食に行ったのですが、周りががやがやしていても、相手の話している言葉だけを拾いだす能力が私達にはありますが、一部のお友達は、全部の音を聞き取ってしまい頭が痛くなります。フィルターがかけられないのです。

園や小学校に就学して、教室のガヤガヤ音の為に授業に全く集中できないというお友達もおりますが、これもフィルターがかけられない為であり、私達であってもガヤガヤ音があまりにも大きすぎると相手の話が聞き取れなくなりますが、自閉傾向のお友達はそのフィルターの感度が違うとお考え頂ければよいかと思います。

場合によっては、離れた席の人の話し声が耳に残ってしまうというような事例もあり、どこに注力するか、どう傾聴力を身に付けるかが訓練の課題となります。

長くなりましたので、音のフィルターを強化する方法はまた今度お伝えさせて頂きます。困っておられる方はメールにてご相談下さい。