NO255.待つ事こそ療育の原点
NO255.出来るまで待ち続ける事こそ最初の1歩
保護者心得 【言語】 【ダウン症】 【自閉】 【LD】 【多動】 【注意欠陥】
多くの療育支援者も、保護者の方々の大部分は、私から見るととてもせっかちです。殆どの方は、待つ事が苦手です。私と時間の尺度が違うのかもしれません。直ぐに諦めてしまわれます。
諦めるのが早いのです。
諦めが早すぎです。何事も急ぎ過ぎていると感じます。生き急いでいるのか、生まれてからずっと、競争社会にさらされてきたせいか、現代の世の中はスピード重視すぎるのです。
即席で達成する事が好きで、世の中は、短期間で成功した者を賞賛する傾向が異様に強くなりました。慌て過ぎなのです。急ぎすぎなのです。時間をコントロールする事を忘れてしまったようです。
発達障がいの問題を抱えるお友達やそのご家族にとって、身に付けなければならないのは、不屈の精神と、時間をコントロールする術なのです。
子ども達は特別な存在で、スペシャルな存在なのです。スペシャルなのですから、対応も特別に考えなければならないのです。
記憶に置き換えてお話しますと、通例5回で覚えられる事案を2~3回で覚える事ができるお友達を秀才とすれば、1回で覚える事が出来るお友達は天才と言われる存在です。
7回、8回とかかるお友達は、覚えが悪いと思われます。発達障がいにも様々なタイプがあり、ジーニアスIQを持つようなお友達は、1回でも克服できますが、逆に20回やっても、50回やっても100回やっても出来ないお友達もいるのが現実です。
でもまだ諦めては駄目なのです。
多くの方がこの辺りで諦めてしまわれます。私どもからすれば、まだまだ諦めが早いのです。もっと時間が必要なのです。もっと時間と手間をかければ獲得する物があるのです。
4歳で出来る事が5歳になっても出来ない…6歳になっても出来ない…日々の生活にも追われます。他に出来ない事も目につきます。そして多くの方が諦めてしまうのです。ここで諦めてしまうからその後の成長が獲得出来なくなるのです。
私達は現在の療育手法にたどり着くまで四半世紀を費やしているのです。5歳のお友達が30歳になれるほどの時間を掛けているのです。
ダウンロード教材の開発に3年半、その前の企画策定に1年半、入力する教材の開発に20年 合計24年です。一足飛びに出来た物ではないのです。
私達は根本的に諦めが悪いのかもしれません。
成長するまで支援し続ける
「出来るまで頑張る。」
「出来るまでやり続ける。」
「出来るまで辞めない」
今まで2・3語程度しか話せなかったお友達がCOMPASSに来るようになって突然40語話したりするのは、ひつこいのです。諦めないのです。繰り返すのです。応援し続けるのです。
10回で駄目なら100回、1000回、1万回、手を変え品を変え支援し続けるのです。
そうして様々な成長を獲得しているのです。ちょこっとしただけで獲得できるのであれば、私達を尋ねる事はなかったと思います。ご家庭での指導だけで十分だったはずなのです。
1回の指導で数語話せる人もいらっしゃいますが、ポジショニングや、環境になれるまでに数か月かかるお友達もおられます。人間関係を樹立しなければ、事を進める事が出来ないお友達もいらっしゃいます。
あるダウン症のお友達は、初回でアイウエオが言えるようになった事例もありますが、年齢や、お友達の成長度合いにより、初語の発動までに数カ月かかる場合もあります。
同い年のお友達でA君は同じ期間支援を受けて、数百の言葉が獲得できても、B君は100以下であったり、C君は10音しか獲出来ずにおられるケースもあります。
それぞれ出来不出来が違うのです。生まれ月も違いますし、兄弟の関係等ご家庭の環境も異なります。お友達が生きている時間の流れが違うとご理解頂きたいと思います。
同じ1時間もA君にとっては、私達と同じ1時間でも、B君は1日に相当する場合もありますし、C君にとっては数カ月分に相当する場合もあるのです。指導当初は、特に時間の流れが違うのです。
ある自閉症のお友達は、個別支援がスタートする前協調性を獲得して頂くために、半年に渡って一斉指導を受けて頂きました。この時期はご両親にとっては我慢の時間であったと思います。
子ども達の成長を獲得するには、いきなり柱を立てるわけにはいかないのです。基礎工事が大切です。基礎工事をするには、土地に整備が必要です。傾斜地に家を建てる事はできません。
土地をならし、平坦地にします。沼地であれば、土壌改良しなければなりません。土地を固め、基礎工事をしてからようやく柱を立てるのです。土地がしっかりしていればしている程立派な柱を建てる事が出来るのです。
三匹の子豚のお家ではありませんが、手早く作ると脆いのです。危ういのです。煉瓦の家が強いのです。煉瓦の家も崖っぷちや、沼地に作ると倒れてしまいます。療育支援の初段は、土壌改良と同じなのです。
何杯も何杯も砂を入れる必要があるのです。椅子に着座し、立腰姿勢を保ち、学ぶ姿勢を獲得し、指導者の指示を守る事が出来るようになって本格的に始まるのです。
多くの子ども達は幼くても多くの場面で傷ついています。挫折を味わい、思う事を口にできず、素直に従う事が出来ないという場面も沢山あります。
褒められ、達成感を味わい、安心して身を任せる状態に至るには人それぞれ必要な時間があるのです。
一見枯れたように見えた植物も、諦めずに世話をし続ける事で、春芽吹く事が可能なのです。枯れたように見えても、その内部で胎動している力があるのです。
現在、COMPASSの支援人数も150名を超えようとしており、その中には我慢できない保護者の方達もおられます。
他のお友達の劇的な成長ばかりが目につき、うちの子はもう無理なのだと諦めて、支援を中断されてしまうケースです。物事には順番があるのです。成長を促すにはそれぞれ準備期間が違うのです。
子ども達の可能性が芽吹くまでお待ち下さい。
長い長いトンネルの先に、
本当の未来が在るのです。