NO25.社会性を育むには その1

NO25.社会性を育むには その1

社会性を育むとはどういう事であるとお考えでしょうか?私が思うに、社会性の本質とは、一言でいえば、人に迷惑をかけないとう事に他なりません。

私が考える、人に迷惑をかける行為とは以下の16の事例になります。

1〇大声を出す。(パニックを起こす&泣き叫ぶ&無用に笑う)

2〇奇声をあげる。(意思疎通ができない)

3〇虚言を呈する。(妄想を吐く&幻聴を幻覚を見る)

4〇勝手にしゃべる。(人の話をさえぎる&)

5〇静かにできない。(空気を読めない&マイペース)

6〇キョロキョロする。(落ち着きがない&極度な貧乏ゆすり)

7〇ウロウロする。(動き回る&歩き周る)

8〇指示を守らない。(離席する&教室から出る)

9〇飛び出す。(衝動行動をとる&突然動く)

10●排尿排便が自分でできない。(不衛生・清潔という意識がない)

11●唾をはく(指をなめる&鼻をほじる)

12●何でも口に入れる(何でも臭う&何でも舐める&何でも食べる)

13●暴れる(物を壊す&傷つける&投げる&噛む)

14●他傷行為がある(暴力をふるう&暴言をはく)

15●自傷行為がある(体を噛む&壁等にぶつける)

16△排便排尿の感覚がなく、自分で処理できず、臭気が漏れる。

上記16項目の内、私共の療育指導において1番から9番までは比較的進歩改善が容易であると認識しております。難しいのは●の10番台でありますが、△の16番を除き正しい価値観の獲得が出来れば16番以外は全て改善する可能性があると認識しております。

16番に関しては、神経学的な問題があり、一般的なトイレトレーニングでも解決は難しく、医療的な支援が重要で、専門の医師からご指導頂く必要性があり、私どもを含めて一般の療育施設では支援不可能ではないかと考えております。

社会性を育む為に、ソーシャルスキルトレーニング(以下S.S.Tとする)を提唱する先生方も多くおられますが、その多くは、本来のS.S.Tの一部を切り取った指導法であり、本質的な効果が得られにくい状態となっております。

S.S.Tがロバートリバーマン教授によって考案されたのは、1937年であり実に80年近くも前の事で、ボトムアップ、モデリング、ロールプレイ、ホームワーク、フィードバックという5つの過程を通して社会適応性を育もうとするものです。現在よくいわれているS.S.Tは、上記5領域の中で、ロールプレイのみを取り上げている指導が殆どで、指導そのものの本質を理解しておらず、本来の効果を得るには、非常に稚拙な支援でり、効果が得られる指導にはなっていないと言わざるをえません。

指導者にボトムアップとは何か、モデリングとは何ですか?と質問してみれば直ぐわかります。どの段階でフォードバックさせるのか、ホームワークはどのように考えるのかきちんとお応えできる方はほんの僅かだと思います。

S.S.Tは、本来は学習が成立し、定着させるための強化と消去作業を適時行う必要性が不可欠であり、対象者も強化消去を受けなければならず、その中身を熟知し、正しい指導体制をとらない限り、単なるイベントとして終わる可能性が非常に高いものであると考えております。

ロールプレイのみの指導は、しないよりましですが、非常に効果の低い、定着しがたいものであると私達は認識しております。しないよりはした方がよいのですが、単純な素人のS.S.Tは余りお勧め致しません。

ソーシャルスキルとは社会適応性の事であり、上記の○と●の15項目を出来る限り払拭する必要性があると考えます。従って見守りだけの療育支援では改善も進歩も定着も不可能であると断言致します。

社会適応性とはルールの理解です。上記16項目の殆どはルールが明確になり理解出来れば改善出来るものばかりです。ルールを理解するとは、行動の意味を知る事であり、それはすなわち「言語能力の育成が必要不可欠」であると断言致します。

意志が通じないから奇声をあげるのです。意志疎通が出来ないから思うように行かず泣き叫ぶのです。言語能力が欠如しているお友達に対して、ロールプレイは意味を成しません。

S.S.Tに取り組む前にするべき事があるのです。言語理解が出来ないから、ルールの意味がわからないから、問題行動を起こすのです。多くの場合この言語指導に手を付けず、言葉がしゃべれないまま、意思疎通が出来ないままにロールプレイを行おうとされますが、まったくのナンセンスです。条件反射的な行動はありえるかとも推測できますが、その行動の本質を理解してのものではありませんので、条件が少し違うと全く必要な行動規範がとれなくなってしまいます。

声を大にしてお伝えします。社会に適応するための第1段階は言語能力の習得です。言語以外に解決の方法はありません。一番面倒な事ですが、問題から目をそむけてはならないのです。

将来成長し、年齢を重ね、保護者の庇護がなくても生きていけるだけの力を養うためには言語習得しかないのです。幼児期よりしっかりと言語習得をさせ、社会性を養えば、十分自立して社会に適合する事ができるのです。学校に通い、就職し、家庭を持つ事が出来るのです。

ソーシャルスキルとフレーミングの効用に関しては、昨年も勉強会を行い、動画として閲覧出来るように準備致しております。現在閲覧制限をかけておりますが、月内には開示予定となっておりますので、今しばらくお待ち下さい。

お子様の指導に関してご相談がある方は093-475-0449までご連絡下さい。