NO.351 女子力を鍛える…

NO.351 生きていく力…
 保護者心得   【自閉】 【LD】 【多動】 【注意欠陥】

今年の11月で私達の活動も30年を迎えます。10名に満たないボランティアからスタートした私達ですが、180名の大所帯となり、年内には200名を超えるのではと思われます。

30年前に10歳のお友達は、40歳…どうかすれば職員よりも年上の保護者となっており、生徒の子どもを診たり、孫が生まれた報告を聞く事も出るようになりました。

「成長成果」時々、子ども達の華々しい成長に関してのお話をお伝えしておりますが、若い時は経験不足もあり、その時代に知りうる精一杯の支援は行って参りましたが、成功事例ばかりではなく、失敗した事も少なくありません。

そして進学し、成人した後、指導した子ども達も様々な人生を歩んでおり、幸せな人生だけでなく、辛い思いをしたお友達も少なくありません。

上手く能力を開花させ、医師になった者、教壇に立ち子ども達の指導をおこなっている者、大学等の研究機関に入り研究に没頭している者もおれば、勉強が苦手なお友達は、高校にも行かずに、早く弟子入りし陶芸家になったり、美容師になったり、ある者は大工さんになって、棟梁になったり、トビ職や、左官工、配管工になった者も沢山おります。

勉強は苦手でも、お話上手で、その後コミュニケーション能力を開花させ、営業で成功した者、会社経営や、お店を経営する物から、まじめさと、体力勝負で水産業や、農業に従事し、結婚し幸せな家庭を築いている者も沢山おります。

1990年代中盤までは、出来るだけ学力に目を向けた支援を工夫しておりましたが、様々な経済ショックを経験し、子ども達が幸せになる方法は一通りではなく、視点をかえれば、もっとフレシキブルな物ではないかと考えるようにもなりました。

一つの事に打ち込み、コツコツと努力し、その道のエキスパートとなり社会に認められる存在として活躍できる者もおりますが、コツコツする事そのものが苦手なお友達がいるのも事実です。

一般に一つの事をコツコツと続けられる人は多くありません。

やる気がないわけでも、性格が悪いわけでなないのですが、仕事が長続きしないという人は実社会では沢山おられます。

人間関係に翻弄され、疲弊し、心が病み、人生を自らの手で終わらせてしまったお友達もおられるのも事実です。社会は複雑で、想定外の事も沢山起こってしまいます。

先般も勉強が苦手なお姉さんのご相談があったのですが、私は「勉学だけが人生ではない」 まず彼女を肯定し、「女子力を磨いたら如何でしょう?」というご提案をさしあげた事がございました。

気立てがよく、料理が上手で、家事もできる優しい女性がいれば、男性から結婚相手として求められるというのは自明の理かと思います。

学歴を気にする方も、一部おられるかとも思いますが、やさしく迎えてくれる女性がいる事を望む男性も少なくありません。

勉強が出来なくても、安心して家庭を任せられれば、それで十分という男性がいるのも事実です。

計算が苦手でも、スマホのアプリが電卓になりますし、漢字が苦手でも辞書機能で教えてくれます。学校の通知表は1・2・1・2かもしれませんが、視線を変えれば、勉強は苦手でも良き妻、よき母になる事は可能であると考えます。

男女平等と言われますが、男子の場合働いてお金を稼ぎ、自立出来る事がまず大切な結婚の要素になるのではと思います。※それを求められる事が多いのが現実です。

しかし、女子の場合は、良い人に巡り合い、理解ある伴侶に支えられれば、暖かい家庭を築く事が出来ると考えます。

英語は苦手でも、漢字も書けないけど、視認する事が得意なお友達は沢山おられます。

ご一緒に料理を覚えたり、家事のとりまわしが出来る事で、女の子は将来幸せを手に出来るチャンスは大きく広がると思います。

このような事をお話すると、一部の方々に叱られるかもしれませんが、「どうやって幸せを手にいてるのか?」「安心した未来を築く事が出来るか?」という視点でのお話ですので、このような考え方もあると云うことも、ご理解頂きたいと思います。

長くこのような仕事を行っていると、いろいろな職業の方達にも出会います。

サラリーマンのご家庭もあれば、自営されていたり、会社を経営されていたり、その職種も様々で、都心部であれば、風俗の仕事に従事されている保護者の方もおられるのが現実です。

知能遅滞の女の子が、夜の業界、特に風俗に落とされてくる事は決して珍しくない事だそうです。

俗に「悪い男に騙されて…」というのは決して夢物語の話ではなく、人生において「認められることが無かった女の子が陥りやすい…」とお話頂きました。

小さい時から、勉強が苦手で、「出来ない」「馬鹿か?」と罵られ続けてきた女の子が、ある日、見かけの良い男性から「かわいいね…」「きれいだね…」と言われる事で、騙され、愛されていると誤解し、その男の為に風俗に堕ちてくるのだそうです。

上記で、お料理や、家事が出来ればと申しましたが、これは「自己肯定感」を得る事だと思います。

家族から、周りから認められる事がなかったお友達は、ふとしたきっかけで、何がしかの事を認められ、自分を求められ、愛されていると騙されたとき、地獄に堕とされてしまう…

この現実を、親として、子ども達を支える現場の支援者として決して見過ごすわけにはいきません。

計算が出来ないから、「いくら借金があるのかわからない…」「愛してる…」という虚言に騙され、その男の為に身を売ってしまう現実、「愛している女性を風俗に沈める事をするわけないのに、その点に気付けない…」そして「ありもしない嘘を信じ込ませ、女の子を追い詰め…そして堕とす」そんな不幸な目にあわすわけには参りません。

まずは、出来る事から認めてあげて下さい。

話し方、様子、立ち居振る舞い、髪型でも何でも些細な事から褒めてあげて下さい。

私は最初に会ったらまず褒めます。

「可愛いね~」と言われて嫌われることはありません。

「素敵な髪留め・・可愛い靴下・・」褒めてあげる事で、自己肯定感を積み上げる事で気持ちも安定してくるのです。出来ない事、やり辛い事にでも挑戦する力が出るのです。

先月も「サンドイッチ」を作ってきてくれたお友達がおりました。前日に沢山褒めて、しっかり評価してあげたお返しでした。もっと褒められたい、次の日には、担当指導者に「おにぎり」を持参してくれたとの報告がありました。褒められ自己肯定感が満たされると、アクションにかわるのです。

愛情をもって接する…どなたも行っていると考えがちですが、つい叱ってばかりになったり、自尊心を傷つけてしまったりしてしまう事は少なくないと思います。

気付けば改めて頂ければと思います。

やさしい言葉をかけてあげて下さい。

返事が出来ただけでも大喜びして良いのです。

トイレに行けて泣かれる保護者もいるのです。

初めて歩いた時沢山喜んだでしょう?

そして、家族に愛され、守られている事を知らせる努力の積み重ねが、お子様の人生にとって大切な糧になると確信しております。

女子力を鍛えるという事は、「認める」という事です。

どうぞ沢山認めてあげて下さい。

褒めてあげて下さい。