NO48.将来予測と指導案 その7

将来予測と指導案 その7

個別指導計画は本質的には将来を見越したものでなければならないと考えます。1年経ったらどうなるのか、半年後はどうなのか、3ヶ月、1ヶ月後の獲得目標は何なのか、今週の課題は何をするかが決められており、本来は、それに従った日案が作成されているようなしっかりとした施設を選ばれる事が望ましいと思います。

1つの大目標を達成するために、本来は毎月の達成目標が決まっていなければなりません。そして月別に週の達成目標が決まり、今日何をしなければならないのか、明日は何をしなければならないのかが決まるのです。

そしてそのための障がいとなる事を想定し、その対処法を考え準備するのです。これらの毎日の積み重ねで

大きな目標に到達する事が出来るのです。療育指導は子ども達の人生を変える大目標です。障がいを克服し、成長と進歩を獲得しなければならないのです。いつまでにその大目標を達成するおつもりですか??????保護者の皆様にはもっと主体的に本気で考えて頂きたいと思います。目をそらさないで頂きたいと思います。

施設において、その日何を獲得するかという目標があるなかで、それに準じた指導がなければなりません。これは学校の指導カリキュラムと同様です。カリキュラムが存在しない場当たり的な事をしていては、力の累積は難しくなるばかりです。教えたから覚えるものではありません。知っている事と出来る事は根本的に違うのです。

学習指導には決められて順序がきちんと存在します。子ども達に、いきなり二次関数は教えませんし出来ません。数字を覚え、足し算引き算を理解し、掛け算、割り算がわかって、図形や統計等少しずつ学び、経験値をあげて、繰り返し計算の練習をし、中学になり、正負の数を理解して、Xを使う式の計算等を理解してから、一次方程式を学び、比例をならってから、連立方程式を学び、一次関数を習得してのちに、二次方程式そして最後に二次関数となるのです。通例でもここまでに小学校1年生から中学3年の2学期まで、8年6か月の歳月を必要とします。約9年後に二次関数を理解するために、各学年で手順を追って、習得すべき内容を習っているわけです。

手順のある指導を受けていますか?その場の雰囲気や行き当たりばったりになっていないでしょうか?本日の取組みを先生が説明できなければならないのです。「今日何をするんですか?」と質問してきちんとご返事を頂けないのであれば高い療育効果を期待するのは難しいと思います。

では施設でのそれぞれの取組みに関して考えてみましょう。

「うちの施設では毎日本を読ませます。」耳障りのよいお話で、読書というと悪い気がしないのですが、何歳が、何年生がといってどのような本を読んでいるのかよく聞いてみて下さい。さも全体の子ども達が読んでいるような説明であっても、実際は一部の限られた子供だけであるケースが相談の中で多くありました。読む時間を与えるのであって、指導があるわけではないのです。聞き手の勘違いとなります。読ませるだけですので、中身は辞典だったり、絵だけみていたり様々です。

そもそも言語習得が出来ていない子ども達に、読書はまず無理です。読めない子は見ているだけですか?意味がわからない子はどうするのでしょうか?小学何年生が絵本を読んでいるのでしょうか?そのお友達が、伝記を読んでいるのか、文科省推薦図書を読んでいるのかでも、その意味は全くが違います。どんな取組みなのか、どのような特性を持ったお友達がどのように取り組んで、どのように変化しているのか具体的にお伺いして下さい。この説明がしっかりできる施設や本当に読んでいる様子を確認出来れば安心してよいと思います。

時間があったら、そこにいるお友達に読んでもらうとその習得率が良くわかります。読書指導をしているというのであれば、3か月後、半年後、1年後にはその内容が進歩していなければなりません。実際はそこまでのご指導を確立されておられる先生は非常に稀な存在です。読んでいるという意味が情報発信している施設側とと受け手の保護者の間に差がありすぎてクレームに発展しているのです。

「私達は毎日絵画指導を行っています。」これも誤解を呼ぶ表現です。絵画指導というと、きちんとした美術関係の先生が、きちんと絵画指導をしているような錯覚を起こしてしまいますが、ただの「お絵かき」であったりして途中でクレームとなってしまうケースもあります。絵画指導と言われる場合は、子ども達の絵を掲示してあったりお願いすると見せて頂けると思います。構成や、色遣い等児童心理学に基づいた指導を実践されている施設もあります。施設見学の際に実際にその活動の様子を見せて頂く事が誤解を避ける有効手段です。

実際に、素晴らしい取組みをされている施設は沢山あるのです。音楽療法や、動物療法等そこで獲得出来る事ははかりしれないのです。支援して頂く療法で何を獲得したいのか、お子様の現状をよく考えて必要な支援が得られる施設を探されて下さい。説明をしっかり聞いて思い込まないようにして頂ければクレームになる事はありません。

その8につづく