NO63.そんなに急いでどうするの?

そんなに急いでどうするの?

「うちの子はいくら教えても〇〇出来ません…」というご相談をよく頂きます。

今回は、連休中ではございましたが、恩師よりどうしてもとご相談があり急遽ご面談させて頂く事となりました。話をお伺いすると、ご両親が焦りすぎという、よくあるご相談事例でございましたので、今回は相談者ご了解頂き、記事にさせて頂きました。

本当によくあるご相談内容です。

ご相談者の多くは、2月3月生まれの(早生まれ)ご両親が多く、ほとんどの場合は、4月生まれの子ども達との様々な比較してのご心配です。

冷静にお考え頂ければわかる事ですが、例えば3月生まれと4月生まれを比べれば、生活年齢が11カ月も違うので、力量の差があって当然なのです。

身長も違えば、体重だって違います。必然的に言語能力も、身体能力も、知能も平均的に4月生まれの方が優位に決まっています。

焦らず待ってあげる事、焦らず繰り返してあげる事が解決の糸口です。問題を克服するのが、日々の取組みとなるのですが、3歳クラスや年少では生まれてからの期間が短い分成長度合いも詰める事ができず早生まれの君は何かと不利なのですが、年中、年長と年齢が上がるに従って、日々の指導がその差を埋める事が出来る様になって参ります。

学齢を置き換えれば簡単です。小学校低学年まではその差がまだ目立ちます。男子より女子の方が体が大きかったり、勉強ができたりといった違いも目につきますが、中学になった頃には、9割近く早生まれでの差は解消され、高校大学でそんな話をする人はまずいなくなります。冷静に考えると皆様も既知の事実であります。

ですので年齢が低い時は、親として「まず焦らない事」が一番なのです。

「何度も教えたのに理解できません。」というご相談が実に多いのですが、どのような内容をどのような言葉を使って、何回どのタイミングで教えたのかが問題です。幼児に難解な言葉を使って説明しても理解できません。私達にラテン語(見知らぬ言語)等で話しかけてもいくら大人でさえ、さっぱり意味はわかりません。難易度が高い程繰り返し説明が必要なのです。さて、果たして何度説明されたのでしょうか?

3回言っても駄目なら、5回、5回でも駄目なら10回、10回でも駄目なら20回、20回でも駄目なら30回と出来るまで繰り返せば多くの場合必ず出来るようになります。少ない回数で諦めすぎなのです。

今年2月に高取保育園にお伺いし、西 福江園長先生から子ども達の身体能力の高さに関してご質問さしあげました所以下の金言を頂きました。

「1回より100回やった方が上達する。」

高取保育園の子ども達は入園した時から、毎日繰り返し様々な身体運動・感覚運動・リズム遊びに取り組まれます。0歳からスタート年長になる頃にはそれは素晴らしい身体能力を全ての子ども達が獲得しているのです。勿論、運動だけではなく、食事のマナー、挨拶等の所作も素晴らしい素養を身に付けているのです。

1回より100回焦っては駄目なのです。

現代の日本では、なんでも早く出来れば良いという風潮がありますが、療育に関しては成果スピードを求めるのは全くナンセンスであるとご理解下さい。

知能に関しての「量ある物は計られる」という考えは、一旦横に置いて頂ければと思います。

1回で覚えられない事を嘆くのは大きな間違いです。

覚えさせることをあきらめる事が一番の問題なのです。

急がないでよいのです。この年になって気付く事がいっぱいあります。1年かけて出来なかった事が、2年目、3年目には出来るようになるのです。夢がすぐ叶うのが素晴らしいというのは錯覚であり、人間のエゴです。遅いより早い方が良いに決まっていますが、全ての事項に当てはまるものではないのです。

努力し続ける事によって得る物があるのです。私共の「三葉メソッド」も20余年の熟成期間が必要でした。実践、検証、改定の繰り返しでした。特別支援学級向け指導教材の「えすぷり」も構想と準備に8年、経営革新の申請と福岡県の認定を頂くのに1年 システム構築に2年かかっています。

療育支援は、時間がかかります。でも諦めて支援を止めれば、そこで成長は止まってしまうのです。私達は、考えられないほど、ひつこく指導します。繰り返し行います。

たっぷり時間をかけると見えてくる物があるのです。

「そんなに急いでどうするの?」とは、ご両親の気持ちです。万一1年2年足踏みしても、将来自立出来うる力を養う事の方が重要ではないでしょうか?長い人生から考えれば、大した問題ではないのです。留年した友人も少なくありませんが、心配するほどの弊害はないのです。

私がお世話になった弁護士の先生は、体が弱くて中学も卒業されておりませんでしたが、大検から東大法学部に合格され余命を弱者救済の為の弁護士活動に注がれました。

昔の養護学級に通っておられましたが、「読めば覚えられる」という特性を見出され、東大の名誉教授にまでなられた先生も実在しておられるのです。

急がなくても良いのです。出来るまで待ってあげれば、繰り返し取り組めば出来るようになるのです。

1回が駄目なら100回教えてあげて下さい。おむつがとれるまで何回赤ちゃんのお世話をされましたか????トイレトレーニングだって繰り返しが必要だったでしょう?

出来るようになる事が重要で、どう取り組むかが大切です。

内容により習得には様々な手法も必要になりますので、どう取り組めば良いかお困りになったら093-475-0449までご連絡下さい。

ご飯を食べないからといって、放置しないでしょう?食べやすいように手をかければ、食べてくれるのと同じなのです。手法については様々な方法がありますので、どうぞご相談下さい。