NO65.能力遅滞に関しての考察
能力遅滞に関しての考察
最近よくあるご相談のトップは
「ある程度は話せるが5歳なのに、検診で3歳程度の知能と診断された。」
「言葉は話せるのに何を教えても理解が遅い。理解出来ない。」
というお悩みを抱えておられるご両親です。
発話能力を有している事が条件となりますが、このような状態をもって「能力遅滞」と私共ではとらえております。
身長になぞらえてお考え頂くとわかりやすいのですが、小学校まで一番前で身長が低かったお友達が、中学や、高校になって急に身長が伸びるという方をご存じの事と思います。
同じ種をまいても、すぐに目が出る物もあれば、なかなか目がでず、目が出ても、根が張らずなかなか大きくならない。でも、毎日水を与え、適時栄養を与えていると、ある時急激な発育を見せるようになります。
5歳だからといって、全てが均一に成長しているわけではありません。時間が必要な時も多々ありますので、継続的な支援を施す事で多くの場合、その成長を加速させることが出来るようになります。
成長の時期はお子様によって異なりますが、ある日急激な変化がみられるようになります。顔つきが変わり、自信にあふれ、何にでも取り組めるようになる変化が起こるのです。
言語的な意味把握があいまいで考える力が乏しい場合は、また対応が異なります。但し知能検査が受けられるほどの言語能力があるのであれば、取組みの仕方で大幅に改善出来る可能性があると考えられます。
徹底した言語的意味把握の取組みが必要となるのです。該当するお友達は日常会話にはまず不自由はしていませんが、自身に必要のない情報等は覚えようとは致しません。時には思考を停止している場合もあります。考えていないのです。
心ここに在らず状態になってしまう事も頻繁に目にします。今取り組んでいる事と全く違う事を考えている事も少なくありません。でもこれは他の事を考えうる力があるという事であり、本質的な能力遅滞とは異なっていると考える事が可能です。重要なのは、考える必然性がなければ、考えないお友達もいるという事をご理解頂きたいと思います。
私共大人でも眠いときに無理やり何か言われても、判断できなかったりするような現象にも良く似ています。考える習慣をつける事、その為の会話がとても重要になるという事をご理解頂きたいと思います。
言語能力の不足であれば、何より言葉の意味把握に時間を掛ければ、知能遅滞を克服する事が可能です。また様々な内容について、例示し説明する事も大変効果的です。
場面設定も曖昧なケースもありますので、どう対処してよいか繰り返し説明する事によって定着がはかれます。「財布をひろったら交番に届ける」繰り返し伝え聞いた事は必ず定着し行動に移せます。
また行動規範を見せる事も大切で、本来あるべき姿を見せる事によって理解を促す手法も有効です。身体能力が同じで、対象の子どもよりも力の上の優秀な子ども達の中に入れると、「あの子ができるのに、私が出来ないわけがない」「出来て当然」という心の作用が働いて、出来ない事にも取組み出来るようになります。
逆に考えると、悪い状態の中で過ごせば、良くなりにくいという事も言えると思います。挨拶をしないグループに挨拶が出来るようになった子を居れれば、直ぐに同化し挨拶しなくなります。逆に丁寧に挨拶をするグループに放り込めば、同じように丁寧な挨拶をするようになるのです。
良い方へ同化させる事も大切です。
行儀が悪い子に、「駄目よ」と言ってもコントロールできなかったのに、周りがきちんとしている集団に入れてしまうと、「そうしなければならない」という空気に気圧されて規範が身に付くという事例も沢山あります
毎日諦めずに取り組めば、多くの場合大抵の課題は克服できるようになります。そしてこの成功体験の積み重ねが、自信の創出となり、知能的な遅れを取り戻すきっかけとなるのです。
何度もお話ししておりますが、諦めず続ける事、やる気を削がない事、正当な評価を与える事、叱らず応援する事、焦らず待つ事が出来れば必ず知能遅滞(能力遅滞)は改善します。
でもどうしてよいか判らない方は093-475-0449までご連絡下さい。