NO106.嘘は自立の始まり

「うちの子が、嘘をつくようになって…」といったご相談が何件かございましたので、私見ではございますが一言お伝えしたいと思います。

嘘にもいくつか種類があります。
誇大な嘘
責任転換
人を貶める嘘
幻想との混濁
の4つに分類できると思います。

「誇大な嘘」は、どちらかというと非常に大げさに説明する事をさします。「魚が100匹撮れた。」「家には〇〇が1000個ある。」明らかに聞いていて大げさな説明である事は誰しも理解出来る事で、どちらかというと、「沢山」「いっぱい」あるという事が伝えたいという気持ちがその大部分で、精神的な成長と共に、表現技法を理解すれば、このような説明はなくなります。馬鹿らしい、恥ずかしいと思うようになるからです。

また、自分を大きく見せたい、すごいと思わせたい、という時に誇大な嘘をつくときもありますが、これも自己実現の過程であるとご理解頂ければと思います。

同じ生き物でも、大きな犬と、小さな犬では、大きな犬が強そうに感じます。
小学生と、中学生が並ぶと、背の高い中学生が賢いと感じます。
これらは、生理学的な感覚で、少しでも大きく、強く見せる事で自分のポジションをより良い位置に置きたいという気持ちの表れで、これも精神年齢の発達とともに、減退してしまいます。

大人でも、自分を大きく見せるのに「〇〇さんを知っている。」「〇〇に話を繋げる」という人脈を披露する方がおられます。本来私達は、個人の資質や技術スキルの向上をめざし、その技量にふさわしい職域をめざすので、違和感がありますが、アジア圏の一部の国のビジネスシーンにおいては個人の資質より、誰を知っているかという事を問題にされる事が一般的で、コネクションを実装される事がよく見受けられるのですが、立場や資質の向上によりこれもなくなる事で、自己実現の一つの形であるとご理解頂ければお子様の行動も理解できるのではないかと考えます。

「責任転換」は、自分の行動が問題に起因していない事を示すもので、「知らない。」本当は自分がしたのに、「〇〇君がやった」等としらばっくれる事案ですが、事実関係が正確に現認出来た段階で、きちんと「嘘をつかない」と指導する必要性があります。自分で責任を取る事が大切である事、人のせいにするのは、卑劣な行為である事はきつく説明する必要がありますが、その際の問題としては、何か問題が起こった時にどのように対応しているかが大切な事となります。

繰り返し、ひつこく怒っていないか、手を挙げていないか、怒り過ぎていないかという点に関しては、保護者の自己確認が必要となります。誰だって、失敗すると酷い目にあうとなると隠します。私達でも、失敗すると職を失ったり、暴力を振るわれたり、生死の危険性が伴うと嘘をつかざるを得ない状況におちいると思います。ですので、そのような嘘をつかなくてもよい環境設定が大切である事もご理解頂きたいと思います。

自己防衛の為の嘘であれば、精神的な成長の一端を見る事が出来たと理解頂ければ良いと思います。必要以上の責めがない事が理解出来れば、正直に報告できるようになると思います。

「人を貶める嘘」は全く論外です。このような嘘は学齢も高くなり、高知能で、更に、悪意を持っていいますので、小学校就学前の子ども達の中で、見受けられる事は非常に稀です。劣悪な生活環境にあったり、家庭において日常的な暴力がある場合や、育児放棄等でもよほどひどい場合しか私は経験がありません。

1人で躓いて、転んで泣いているので「大丈夫?」と声をかけると、その子にやられたと言い出すような事が最初の挙動となります。このような時は専門のカウンセラーに相談する必要性があり、児童相談所等で適切な対応を取って頂く事とお勧め致します。

自分で失敗した後、大きな声で、「やめてよ~」と言い放つような挙動も同じです。多くの場合、人の不幸や、失敗を喜んだり、囃し立てたりする傾向もあり、そのような挙動が出た場合はきちんと叱るべき事とお考え下さい。

ご相談のメール等で頂いている方等でも、心配しすぎて、叱りすぎていないか一度ご自身の行動を顧みる必要性があります。友人をご家庭に招く事が出来る環境であるか。周りから恐れられていないか。保護者との対話を嫌がっていないか自問してみて下さい。

小学校高学年や、中学に入っての責任転換や、貶める嘘は多くの場合、保護者に問題がある事が大半を占めます。怒りすぎ、怒鳴りすぎ、しかも汚い、きつい言葉で責める。辱める言葉を保護者自らが吐いている場合がほとんどです。

子供が逃げる、自分の部屋から出てこない、毛布や、布団をかぶって出てこない等もこれらに該当します。しつけの為に厳しい保護者出会って構いませんが、厳しいのと、むやみに暴力を振るったり、暴言を吐くとは違います。

私共のスタッフにも、一見とてもやさしそうな、かわいらしい女性の先生がおりますが、「絶対に譲りません」彼女は絶対に「曖昧に事を進めません。」言葉はやわらかく、かわいらしい、やさしい声で、話しますが、簡単に許さない厳しい先生である事はすぐに子ども達も理解します。

宿題を忘れたの、そうじゃ頑張ってね。この意味は、するまで許さない事を示します。

厳しくても、やさしいが理想です。

逆に私は怖そうに見えますし、問題を見つけると、すぐに厳しく指摘しますので、「怖い」という印象がありますが、訂正するとすぐに許し、子供を受け入れるので、暫くすると子どもに「どっちが本当に怖い?」と尋ねると前出のやさしそうな先生とこたえます。キャラクターの問題もあり、それぞれ役割分担をしておりますが、かよわく、やさしそうな先生でもいたずらっ子を御する事が出来るのです。

幻想との混濁に関しては、現実と妄想が混ざり合っている状態で、精神年齢が幼いや、現状に満足していない場合に、このような事が起こります。赤毛のアン等で少し見受けらるのが後者であるとお考え下さい。

本当はこうしたいのに、出来ない事を頭の中で置き換えるとお考え下さい。逆に考えれば、向上心もつよく、環境を整えたり、本人の実力をあげていけば、現実との乖離がおさまり、自信を持った行動がとれるようになります。

多くの場合1の嘘が多いと思います。まずは、精神的な成長であると理解し、しっかりと受け止め内容にあわせたご指導をお願いしたいと思います。大げさな表現、単純に量を表しているだけかもしれませんので、まず言葉を教える、話し方を教えつつ、「良い子は大袈裟に言いません。」「良い子は嘘をつきません」ときちんとした設定を繰り返し行ってあげて下さい。

発達障がいの特性がある場合、言語能力の不足が言わしめている事が多々ありますので、まずは落ち着いて、正しい話し方、正しい言葉遣いを教えてあげて下さい。

そして汚い言葉は絶対に使わない、子どもに聞かせない、保育環境にも配慮頂くように、お友達との言葉遣いも十分注意して頂くとよろしかと思います。

どうしようかと迷ったら、コンパス発達支援センター本部093-475-0449までご連絡下さい。