NO116.プライベートとは

プライベ-ト (private)とは、本来「私的な」の意味を持ち、私生活を意味する言葉であると皆様ご理解されておられると思います。

私生活において、何事もオープンで、にぎやかな生活がお好きな方は、よろしいのかもしれませんが、多くの場合、仕事と私生活は分離したいというのが多くの考え方ではないかと思います。かくいう私も、支援者として常に、冷静に判断するためにも、仕事と私生活は出来る限り切り離すべきと考えております。

ご連絡は、9時から19時までに

私共では時期にもよりますが、就業は、残業時間を別にして、午前10時から午後18時までで、前後の準備や後片付け等を勘案しても、9時から19時あたりまでが、業務時間と理解しております。20時を過ぎると「何かありましたか?」とよほどの事があったのかと考えてしまいます。

深夜に鳴り響く携帯電話…

携帯電話の普及により、担当者によっては20時をまわってからも、担当させて頂いている、お母様から、様々なご相談を頂く事が最近では、常態化しておりまして、就労管理の見地から考えましても、よほどの理由がない限り、時間外のご連絡はお控え頂きたいと考えております。

特に保護者からの信任の厚い先生に限って、夜遅くまでお電話を頂く事が多いようで、職員にも、それぞれ家庭があり、場合によっては、子ども達が既に就寝している時間であったり、一日の疲れを癒すための大切なプライベートタイムに対応しているのが現状です。
まずは、ご連絡される前に、今する事が常識的であるのか、身勝手からの電話か、緊急を要する事であるのか、今一度お考え頂く事が大切ではないかと考えております。(相手の都合や家庭の事をお察し下さい。)

私は、常日頃からストレス軽減の為に、多くの保護者に「早起き」を推奨しておりますが、だからといって職員に、朝5時、6時に電話されるのはお止め頂きたいと考えます。
職員には家族がいるのです。職員の家族が全員が起きているわけではないのです。赤ちゃんが寝ているかもしれませんし、他の家族が起きているとも限りません。職員の生活のリズムが崩れます。(夜勤明けのご主人や兄弟がいる場合もあります。)

お休みする等であれば、担当へのメールか、送迎時間の前にご連絡頂く等方法は幾らでもあります。早朝に連絡頂く必要性は全くございません。

また、早起きを説いているわけですから、これは、「早寝」とセットです。従って、夜20時を過ぎてのお電話もご勘弁頂きたいと考えます。小さい子どもは寝る時間です。私の両親も20時には床についています。規則正しい生活をしている方はみな早寝なのです。特に田舎はそうです。

ご自身の生活時間を尺度に物事をお考えになるのは危険です。

ご相談は、就業時間に…

職員によっては、深夜電話を頂いて、配偶者に叱られる、嫌がられる事も少なくございません。深夜の電話で、夫婦間で口論になったような事例もございます。特に状況を知らない配偶者からすると、何と非常識な時間に…と考えてしまう事は容易に想像頂けるのではないかと考えます。

それぞれ職員には、家庭があり、家族がおります。

家庭内がしっくりこないと、様々な業務にも影響が出て参ります。

受験を控えている子供を持っている親もおれば、病人の看病をしている家庭もあります。

職員のプライベートを考慮して下さい。

深夜電話をもらった職員が、ご相談にのっていた所、状況を知らぬ家族から、反発があり結果的に、次の日は、愛妻弁当は持たずに出勤していたというような事例もございました。現実のお話です。たまの事であれば、我慢も出来るのでしょうが、毎日毎晩となると話は別です。家族からすればいい迷惑です。

マナーモードにすれば、したで本当の緊急時に連絡がとれなくなるのも困るのです。本当に支援の必要な方もおられるのです。ご相談は常識の範囲でお願いしたいと希望します。

事故や急病は119番へ

緊急を要するような問題でも、誤飲した、けいれんを起こした等病理的問題であれば、119番で適切な対応を求めて頂くのが最善の方法であると考えます。

私どもの職員は看護の経験がある者もおりますが、医師ではございませんので、正しい助言は出来かねます。熱発した場合等も、素人判断せずに救急対応をして頂ける病院へ出向いて頂く事がよろしいかと思います。何かございましても責任がとれません。軽く見て重篤な病に発展したというお話は沢山伺っております。

頭が痛いと泣く子を、ちょっと打っただけと、翌日まで様子みしていたら、脳内出血で取り返しのつかない事になってしまったというような悲しいお話もございます。どうぞ病気や怪我は医療機関にご相談下さい。

怒りのはけ口…?

信頼頂いて、何でも相談頂くのは、一面嬉しい事でもございますが、お預かりしているお子様の療育問題に一切関係のない、「ご家族間の問題」、「お金の問題」、「近隣の問題」、「夫婦の問題」、「兄弟姉妹の問題」、「嫁姑問題」等も、今必要な連絡であるのか、話す相手を間違えていないかダイヤルする前に再度熟考頂ければと思うのです。

多くの場合は、不満を誰かに聞いて欲しくてといったお電話のようです。カーッとなった気持ちが治まらず、深夜にお電話頂くと、電話を受けた職員も心が休まりません。

お子様の進路の問題、療育の問題であれば、まだしも仕事先の問題や、家計の問題、夫婦間の問題等、本来私達が関与すべき内容では全くございません。(困りごと相談センターではないのです。)

本当に必要は人は別におられます。

福祉という施設の性格上、お子様の障がいに悩まれて、苦しんでおられる方も沢山いらっしゃいます。落ち込まれて鬱の傾向が強かったり、やる気を失って育児放棄に近い状態が想定されていたり、自責の念から保護者に自傷行為がありともすると、自殺という最悪のケースが予想されるような、精神的にも目が離せない方も中にはおられます。

本来必要なのはそのような保護者の為の電話対応です。このような場合であれば、密接な対応も必要かと考えております。平素から私達も、相談員や、関係施設の先生方も注視しており、お声掛けも状態に合わせて実施しております。
精神的にも自立できているにも関わらず、ご自身の都合で、しかも療育に関係のないご相談とは話が違うのです。どうぞ本当に必要な方の為のご相談の機会を奪わないで下さい。
以前もどうでもよいような電話を頂いている間に、自殺を懸念していた保護者から着信が沢山入っていたという事がございました。幸い睡眠薬を飲んだばかりで、ご家族とも直に連絡がとれ大事に至りませんでしたが、考える度にゾッとします。これは現実のお話なのです。服用した錠剤の数も致死量よりもずっと少量だったので大丈夫でしたが、本気の自殺未遂でした。人間は脆いのです。
お友達ではありません。 
私共の職員を「親友・友達」と勘違いされている方もおられるようですが、親友とは一方通行の関係ではありません。
お子様を何とかしたい、保護者の負担を軽減したい、喜ぶ顔が見たいという支援の気持ちは誰にも負けませんが、それはお子様を介した関係です。

親友とは、助け合う関係であり、互いに喜びを共有したり、相手の為に援助しあう関係で、一方的に援助を求める関係ではありません。
友達は、一緒に遊んだり、食事をしたり、旅行に行ったり、共通の趣味等を通じて互いに遠慮せず言いたい事を言い合える間柄を指すと思います。
支援者と保護者は、親友ではないのです。

明日何を着せようか、お弁当に何を作ろうか、美容室で…等、こんな相談はご遠慮致します。違うのです。全く違います。職員はお母様のお友達ではありません。支援者と保護者の関係とご理解下さい。(基本的に相談とは、お子様の支援に関わる内容が基本です。)

お子様との関係を通して、ご家族の生き様や、姿勢に感銘し、指導者と保護者の立場を離れ、人間同士として、良き友人、理解者として一緒に食事をしたり、趣味の会でご一緒したりと、家族同士でお付き合いするような関係に至る事も稀にございますが、子ども達を数千人指導してきた私でさえそのような関係の方が、多いわけではありません。
私達は、お子様にとって、良き支援者であり、良き理解者でありたいと願います。保護者との良好な関係の樹立は必要であると考えます。しかしながら、慣れあいの関係を築きたいと望んでいるわけではございません。

時間外の相談等は、職員の善意の対応、無償の行為です。

全ては善意の行為です。
お母様のお話を伺っても、給与が上がるわけではないのです。
みんな時間外のご相談は全て無償で対応しているのです。

あくまでも善意の対応だとご理解下さい。

当たり前ですが、支援者にも心があります。

喜んで頂けるのであればまだ努力している甲斐もあります。

色々と相談にのってさしあげて感謝されるのであれば、まだしも当たり前と思っている方も多いようでその度に、知らず知らず心が傷つきます。

心が疲れます。実に悲しい限りです。

感謝して~と言っているのではありませんが、当たり前ではないのです。

療育支援により、成長した、進歩したと喜びのご連絡を頂く事は、沢山ございますが、深夜の電話に救われたと感謝の手紙やメール等を頂いたという報告は実に僅かです。当たり前ではない事をご理解下さい。

今回の記事はどうするか迷いました。第三者から見れば常識中の常識でございましたが、支援者の事も思いばかって頂きたいと決意した次第です。

ある研修会で伺った話ですが、
「利用者の権利ばかり衆目されているが、支援者の権利はどうなっているのでしょう…熱意溢れて取り組んでいても、心が枯れてしまう…熱心な人ほど、嫌になって職場を離れたり、気力を失う…」

適切な関係と、距離感を保つのは実に大変なのです。

利用者のご理解がなければ、適切な関係を維持する事は出来ません。福祉の世界や、学校現場で、頑張りすぎて、心労し、疲れ果て突然退職してしまうのは皆熱心な方々なのです。私はスタッフの心を枯れさせたくはございません。

繰り返しますが、良好な支援環境を維持するためにも、ご相談は就業時間内にお願いします。

私共の職員は、多くの場合40分から1時間以上かけて自動車通勤している者がほとんどです。途中で昼寝する事もできません。帰宅後、買い物をしたり、食事の準備をしたり、洗濯や掃除、家事全般をこなさなければなりません。学校や、園のPTAの役職に就く者も少なくありません。

職員を管理する立場としては、自宅に帰ったらゆっくりしてもらいたいというのが本音でございます。休みの日はゆっくりとして欲しいと願っております。家族との団欒を大切にし、しっかりと鋭気をやしなって、休み明けからの支援に全力を注いでもらいたいと切望しております。

素晴らし支援を実現するためには、適切な休暇と安息が大切であるとご理解下さい。